第06回 笑顔は可愛い
「では第六回、プロジェクトキュートの定例会を始めまーす。今回は、こちら。はい『笑顔は可愛い』」
「遂に可愛いだ」
年が明けても私たちは、毎週末会合を続けていた。
「でも、具体的には何するの?」
「笑顔の練習」
「練習?」
「見せたい時にいつでも作れるように」
「作り笑いって事?」
「一番素敵な顔を見せたいシーンとかもあるんじゃない?」
「あるのかなー?」
分からなかったけど、今日はこれをするっていうなら何でもいいか。
「はい、スマイル」
「イッ」
カシャッとスマホが鳴る。今日はおじさんのスマホだった。私とコーちゃんはスマホを覗く。
口は横に伸びてるけど、どこか引き攣っていて。皺くちゃで。目も殆ど瞑っていた。
「不細工」
「じゃあ、ここから良くしてこうか」
用意していた鏡の前で二人で顔を動かしていく。
「真似して」
コーちゃんはギューッと顔を潰して皺だらけになる。
「アハハハ、コーちゃん変な顔!」
「お。頂き」
コーちゃんがすかさずスマホのレンズを私に向けた。
「今のは良かった」
スマホに映った私はとても楽しそうで、これまで映った私の中で一番可愛かった。
***
「どうした?」
お父さんが、夕飯を食べながら話し掛けてきた。
「え、何?」
「楽しい事でもあったか?」
「そうでもないけど。そんなだった?」
「そうか。いや、そんな気がしただけだ」
夕食の洗い物を済ますと部屋に戻って電気を落としベッドに潜り込んだ。
今日はヘトヘトだ。使ってなかった顔の筋肉が悲鳴をあげていた。明日は筋肉痛だろうな。
でも。
声をあげて笑ったのっていつぶりだろう。
次の更新予定
2025年12月23日 09:00
Project Cute dede @dede2
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