第4話 ギルドの中にて だそうですよ。

ギルドの中に入る。

ギルドの中は木と紙と鉄の匂いがした。木と紙というのは図書館などで嗅ぐので分かるが鉄というものがどうにもそぐわない。武具や血の匂いなのだろうと予測することができるが、普段嗅ぎ慣れない組み合わせが異物感を思わせる。


またピロンという電子音が聞こえた。

今度の情報はなんだろうか。



※ インフォメーション (こっちのほうが情報が伝わりそうなので今後はこうします。)

ギルドではクエストを受けることができます。クエストを受けることで金銭やアイテムを得ることができます。また訓練所や酒場といったものが併設されているので上手くご利用ください。


次の目標:ミリアの指示に従って受け付けに行く。



あるあるなギルドなんだと情報からも理解できる。なかなかにわかりやすい。


「情報をうけとれましたか?では続きを案内しますね。」


ミリアはゲーム的な情報を認識しているらしく、それに疑問を抱いていない。それに対して疑問を抱いたが、そんなものだろうとオレはチュートリアルを続行した。


受付へ向かうにつれてギルドの奥の方が見えてきた。

そこには多くの人々が忙しなく動いている様子が見れる。まるで役所のようだと感じる。それが忙しさからくるものなのか、受付の形が同じように見えるからのどちらかは全く分からなかった。


ミリアという少女が分かるとは思わなかったが質問を投げかける。


「ギルドはいつもこんなにも忙しないのか?」


ミリアは少々困った顔をした後に少し悩んでこう答えた


「少なくとも普段は忙しそうにはしていなかったと思います。たしか異邦者のアレコレで忙しくなっているってお姉さんはいっていた気がします。」


「そうか、ありがとね。」


異邦者とはオレらプレイヤーのことで間違いないということが確定したな。

しかしプレイヤーによって忙しくなっているということはかなり急にくることが分かったのだろうか。


「ここが受付です。とりあえず私の案内はここまでです。あとはシステム様に聞いてください。」


システム様?


「あぁ、ありがとうね。」


その会話が終わると同時に受付の方が話掛けてきた。


「異邦者の方ですね。ではここに手を置いてくださいますか。これによってギルド員である証明ができるギルド証ができますので。」


実に事務的だ。やはりここは役所なのではないだろうか。


「は、はい。わかりました。」


出された金属質の何か、形状は箱というしかないものだった。これでどうやって個人証明を行うのだろうか。


数秒が経過したときにチンという電子レンジのような音がなり、箱の後ろから何かが出てきた。それは長方形をしている。そこにまるで免許証のような感じの表面になっている。名前と写真にギルド員であることの証明だろうか。


そしてそれを受付の方に渡される。

近くで見てもこれ、免許証とかマイナンバーとかそういうものだと確信できた。


「それはギルド員であることを証明するものです。無くさないようにしてくださいね。」


その言葉が終わるとピロンという電子音が聞こえた。


※ インフォメーション

プレイヤーにはアイテムボックスがメニューに存在しています。自らのアイテムをメニューの中に入れようと思えば入ります。また無限にアイテムを置いておけるので上手く活用しましょう。取り出したいときはメニューから取り出しましょう。


その案内を見てギルド証をアイテムボックスの中に入れる。


「では、ギルド員となったので研修を始めます。そこのドアの先に研修の為の人員がいますので、そこに向かってください。」


そして案内のままにドアへ向かう。


「なんというか役所だったな。これも役所あるあるのたらい回しみたいな感じがしているしな。」


小さな小言が出てしまったがこの後はどうなるのだろうか。





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周りが一般的なVRMMOをしている中、一人だけホラゲーの主人公をしてる奴 @sinimukuro

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