第3話 参入
「クリエイターを先に召集して、実際にテーマやモチーフから合同で決めて自由に動いて完成させる。そのまとめを僕らが担う」
芽来が提案という形で発言する。
「それだと、クリエイター選定とか依頼の仕方に形式がなくて厄介だな」
「それにそれに」
と結翔が食い気味で付け加えた。
「絶対人数多すぎて意見まとまらないし、自由に動かすとトラブルついてくるし」
「おまけに不確定な部分はどうしても多くなるから、さっきも言ったけど、後処理がめんどくさい」
一馬が頭を抱えてため息をつく。しかし、結翔は期待の滲んだ声でアッと声をあげた。
「まとめ役は僕らの実力次第なわけだからいったんいいじゃん?トラブルにならないし、真剣に取り組んでくれるクリエイターを選んで声をかけていくって言うのは?」
「その時点で幅は狭いような……」
それでは、元も子もないだろう。
「いや、この形式を先に提示して賛成できるクリエイターを集めるという発想は悪くない」
芽来の分析が、結翔側につく。一馬は内心驚いた。
「話題性とか、能力で声をかけていって、マッチングは僕らが努力すれば」
一馬の表情は変わらず深刻な雰囲気がながれていく。
「それだと、知らないうちに敵を作りそうなんだよな。それに、その誘い方で納得する人ってそんなにいるか?」
芽来はスマホを片手で開いて眺めてからもう一度会話に合流すると
「いっそ、募集という形を取るのはありかもしれない」
と少し軽やかに言った。
「募集というと?」
説明を求めたのは一馬だ。
「それで最初から必要人数を集めるつもりはないけど、一旦募集というていでこの企画に賛成する人の様子を見る。面接をして欲しい人だけ引き入れてベースを作る。その後にベースに合わせて必要な役回りを足す」
それでも、と一馬はまだ否定的な意見が強かった。
「芽来の提案にしては、不確実なところがあるような。欲しいような優秀な人材が俺らの募集を目に留めるほどには、俺らはまだ大きくないし、運の要素も大きい」
一方で結翔は考え込みながら口を開く
「運なら運で、ギャンブルはもうしょうがないんじゃない?あっちゃだめでもないでしょ」
また、教室に沈黙が流れた。
「最初に影響力のある人に声をかけて、募集から手伝ってもらう」
芽来の意見を二人はそれぞれに検討した。
「それは、悪くないかもな」
「資金繰りがうまくいくならいいかも。あとはパッションとラッキー任せだあ」
結翔が両手をあげて天を仰いだ。
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