第2話 攻撃される





翌日は凛は同じ時間に、同じ場所に来た。

ミナは来ていた。長い髪を後ろに束ねていて

昨日よりは少しおとなしい雰囲気だ。

男物のダボダボなTシャツに黒いショートパンツで生足だった。


「じゃ、いくぞ」


凛は無造作に言う。


「昨日と同じでしょう!折角のやり直しなのに」


まず、メシだっ!個室の焼き肉屋に入る。

宇宙人はベジタリアンの真相から確かめるのだ。異星の人類を名乗るのだ。宇宙人で間違いなかろう。嫌がる様子もない。


「宇宙人は肉食うのか?」


呆れているが一応答えてくれる。


「食べますよ」


にっこり笑うミナは面倒くさい男だったかと

落胆する。


「こっちの人間と変わらんね。都市伝説に本物の話し有るの」


ミナは面倒くさそうにする。


「ないねぇ。宇宙人じゃないからね。DNAは

同じです」


解せぬ!この星のホモ・サピエンスとは違うと

言ったぞ。


「凛は、パラレルワールドって知っている」


同時並行世界か。解釈として異世界となるか?

いや並行する世界で有り、異なる世界と言うには近すぎる。お隣さんだろうか?

遥か彼方の宇宙人よりリアルだな。

牛タンに噛り付いてるミナはどうでもよさそうに食事を楽しみ。飲んでいる。


「私に魅力を感じてるの?」


ミナの生足を眺めて頷く。


「あぁ〜足だけかよ」


顔を振る。違うぞ!


「胸かぁ〜てめぇは、身体だけかよ!」


激しく顔を振る。違うぞ。凛はミナの目を見つめる。


「顔かよ。はぁ~っ」


「だからさ、視線で判断するなよ。違うだろう

何処から来たのか分からない美人。ミステリアスな瞳とかだな…」


何を言ってるんだろうか。俺は。


「瞳も身体よね。優しい話し方とか、こう色々有るでしょう。ロマンが足りないね」


浪漫にこだわる女か。


「昨日の今日では、分からんね。身体でも良く

ない?魅力的なんだからさ」


ミナはぶつぶつと文句を言っている。

店を出てふらっと真っすぐ歩いた所に有る

公園の前迄来た時に敵意が放たれた。

凄まじい豪音と共にレーザーをバーストさせた

様な感じの熱線状の光が放たれる。放たれる直前に凛はバリアーの盾を構築しミナを背中に隠す。凛達に弾かれたバーストレーザーはビルを直撃した。コンクリートビルが爆発的に四散して破砕されたコンクリートが飛び散った。

ミナは人命救助に動く。凛はレーザーを放った

馬鹿たれを追う。西野だな。バーストしたようなレーザー光線を放つ男は西野だ。甦ったか?

西野は前世で3回抹殺しているが、奴も透明人間だから死んでも直ぐに生まれ変わる。

死んでも直ぐに生まれ変わる死なない魂生命体なのだ。それが透明人間だ。焦げ臭いコイツだ。手が焼けた馬鹿たれを体術で絡め取るように組み伏せる。現実的な西野は酷く弱いバーストレーザーを躱せれば、簡単に捕まえられる。

今生の西野はヒョロとした青年だった。今度は殺さない。


「凛、その男なの犯人は?」


ミナが飛んで来た。


「殺さないでね。コイツは殺すと直ぐに生まれ変わるクソ虫野郎だからさ」


西野は笑う。


「クソ虫はお前だ!風瀬伶依(かざせれい)

貴様に勝てれば俺は消滅するんだよ」


クソ虫が前世から言いつづけているクソ理論だ

凛に勝てれば蘇る事なく往生すると謎理論を

展開してくるクソ虫野郎だ。

髪を鷲掴みにしてアスファルトに叩きつける。


「5回目だぁ!殺せよぉ〜クソ野郎!」


「お前はこの時代の警務所の独居房に70年は

いてもらうぞ。最高の医療を与えて殺さぬようにな。長い時間に苦しめばいい」


最初にミナと共に凛に接触して来た連中が

駆け付ける警官に話しをしている。管理者に

引き渡すのか?


「見事な防御力と戦闘力だな。昔の風瀬伶依さん。今は成瀬凛さん」


最初の管理側のコンタクトで凛に(飛べ)と言った勘違い野郎だ。西野は封印環を足首に付けられ力を封印されて警官に引き渡した。


「お前ぐらいなら、何時でもあの世行きになるよ」


睨み付けて言った。勘違い野郎は中野と名乗ってから。


「あんたと戦うのは、遠慮するぜ。勝っても死なないし。俺が生まれ変わって何も知らないのに襲われたくないからなぁ~」


中野は、次の世も強くなれる保証がないと言う。…まぁ普通はその世での努力にも依るが

一定程度の生まれ付きの戦闘的なスキル持って無ければ強くはなれない。ガリ勉になって別方向で出世するしかない。

が凛や西野は何度、生まれ代わったって自動的に同じスキル、同じ能力で生まれる。

それしかないのかと何度も別スキルの訓練をやってみたが無駄な努力だった。

結果それしか与えて貰えぬらしい。管理者も

何故、凛や西野が無限に繰り返し記憶を保持したまま生まれ代わるのか、把握してはいないようだ。


「質問だ。この西野…か?コイツみたいな不死の魂生命体はどのぐらいいる」


もともと肉体が失われても全ての魂生命体は死なない。コイツらが言う不死とは記憶の保持したまま生まれ代わる事を言っているのだろうな。つまり肉体が滅んでも自我が失われない生命体と言う定義の様だ。


「俺に絡んでる奴は10人ぐらいだろ…他は知らない」


「お前は、コイツらをどうやって見極めてる」


知らない。教えない。来世の我が身が可愛いのだ。過去の人生で努力して、失敗して得たものだ。自分達で考えろ。心を閉ざして読まれぬ様にする


「自分から俺に絡んで来て生まれ代わりを告白したから、認識しているだけだ。奴等に聞けよ」


西野は口を割らない。同種の人間の中では

タブーになっている。心を閉ざした反応も確認した。凛は知っているな。

ミナも心を閉ざしてる。中野は組織の中でも

厄介な男なのだ。


「ほう〜知らんと言うか?」


無視して歩き出す。勿論、このミナは貰う。

ミナの腕を掴んで歩いて行く。折角美味いメシと美味い酒でほろ酔い気分になってたのに付いてない。


「私も、アイツ(中野)等の仲間だよ」


ミナの綺麗な顔を覗き込む。


「裏切る女になれば凛ちゃんに愛されるよ」


ミナは溜息を付く。管理者が分かっていない。

そんなに簡単な話しではない。

が、本人は気付いていないが、今現在はこの星に住む生命体の中ではこの成瀬凛が最強なのだ

管理者も手が出せないレベルに成っている。

1回目に記憶を保持したまま生まれ代われば

保持しているスキル能力は10倍になると試算しているのだ。管理者のデーターだ。

この成瀬凛は、連続で絶える事なく14回生まれ代わっている化け物なのだ。未来に生まれてくる訳でもなくこの時間軸にだけ生まれ代る。

凛と交戦状態に陥れば管理側が負けるとAIが予想している。この14回の生まれ代りをAIが見破った。過去のネットワークに埋もれていた情報から見破った。成瀬凛が過去世に発信した情報なのだろうか?詳細は極秘だ。

不死の魂生命体が自分達の手口を隠すのとおなじだ。気が向かない。好みの男では有るが。

化け物なのだ。しかし抱かれないと特別な関係にはなれない。


(待てよ。地球人類から1言。化け物はお前等だろう)


一般人からみれば管理者側は化け物なのだ。

高いスキル能力でやって来て、この国の政府すらコントロールする異星人類だろう。凛にしてみればミナに言われたくない。

ミナは心を隠すのがヘタだ。いい情報提供者になっている。


「読まれてた?」


ニコニコしている。読まれたかったのか?


「抱かれたくないなら、帰れ!」


今度は困った顔になる。


「それも困るのねぇ。ハニートラップを仕掛けてくる仕事だしさぁ。あんたに抱かれるだけで3億円。信頼されたら10億円だよ」


ハニートラ仕掛けるのを認めるかね。引っかかる方も困るよなぁ。ハニトラちゃんを連れて

マンションに帰って来た。凛とミナの声だけの演技を5分ぐらい。凛は早漏野郎の汚名を着てやった。

演技後ゲームで遊び出すミナに凛は呆れている。ミナは結構な演技力で凛は起立してしまう。よせばいいのにミナは表情豊かに演じるから魅入ってしまう。ノートに書く。

(この貸しは返せよな!)

(色々な情報提供したからチャラで〜す)

このクソガキが。まぁ情報提供は事実だ。

自分では管理者に勝てないと思っていた。

逃げる必要は無くなる。邪魔なら無視するだけだ。待てよ。俺が本当に最強ならの話しだ。

何処かの異世界物のヒーローなら自分で自分の力を試し確かめる事ができるが、現代社会で試せば即戦争だ。自分が管理側と相対的にどの程度の強さか全く知らんのだ。有益な情報だったのか?本当に有益な情報なのか?ミナがこっちを見て笑っている。雑巾を全力投球する。


「いったいな!最強なんだから手加減してよね」


生まれ代るたびにスキル能力の向上はしているのは自覚が有る。然し何倍とかは分からん。スキル能力は数値化できる物ではない。コイツは俺をマインドコントロールするのか?

それはない。おっぱいは有るが知能は大した事ないからなぁ~笑。

雑巾が全力で投げ返された。本当だ痛いな。

少し湿気ているからさ。

雑巾はどうでも良いのだ。本当に地球人類の中で最強なんだろうか?その気になって管理者を攻撃したら、酷い目に遭わないか?まぁ俺を殺すと死ねると(謎理論)で攻撃してくる。10人程のスキル能力を持った透明人間を軽くひねって皆殺しにするぐらいは楽勝だがな。管理側と戦う事を想定した事すらない。三田村からのテレパスが入る。明日の早朝に中央公園に来いと

呼び出された。コイツも(謎理論)を振りかざす西野の仲間だよ。時間を止めるから注意が必要だ。コイツ時間軸を止める前に息を吐く。

それを合図に凛は身体に薄い膜状のバリアーを張ると外の時間が止められても膜の中の凛の時間は止まらない。三田村を瞬殺してしまう。

コイツは前、前、前世から抹殺しているゴキブリ野郎だ。その他にも音波攻撃をしてくるコオロギ野郎とか、コイツは煩いのでギロチンの刃を瞬間移動させて首を落とす。秒殺だ。

いずれにせよ(謎理論)を信じてる限り、お前等は強くなれない。俺の教えを乞えないからだ。

単純な馬鹿を焚き付けたのはゴリラだ。

頭に来たので透明人間の殺し方を実験的にやってみた。まだゴリラが復活した話は聞かない。

どちらにしても管理側の知らない筈の話しだった。中野は西野を知っている。微妙な反応を読みとっている。ゴリラでは無く管理者が仕掛けていると見ていいな。西野や三田村やコウロギでは凛を殺せないと理解で来た筈だ。透明人間のくせに、高いスキル能力を持っているのに

管理者の言いなりかよ。情けない馬鹿が!

呼び出信頼など無視する。


「泊まっていいよねぇ。凛は紳士だから泊まってあげるよ」


図々しい女だ。ヤラセてから言えよ。


「か・え・れ」


えぇ〜泣きだす。ハニートラップに成功しているのに返されたら怪しまれる…


「知らんわ!」


泣き得でナミは凛のベッドを占領した。

このクソガキが!抱きついて触りまくって、宿泊代金を回収した。Dカップは鷲掴みに相応しい形をしていた。凛はソファーで寝る。

ミナが管理組織の人間で無ければ本気で惚れる

な。好みのど真ん中だ。怪しさを感じるね。

睡眠中に攻撃の気配を潜在意識が感じただけで凛は飛ばされる。敵のど真ん中でも熟睡で来てしまう。明日の風に従おうじゃないか。

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透明人間 摩訶 @9513570

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