聖獣といえば、どんな動物を思い出しますか?
一角獣、獅子、龍、鳳凰……そしてもう一体。獏です。
このお話の世界では、獏が一番偉いのです。
主人公はそんな聖獣家の跡取り息子のヘリット。
他の聖獣家に比べて目立つ能力がなく、ヘロヘロ獏扱いされることにコンプレックスを持っている彼。
この物語は、ヘロヘロな青年の成長譚です。
ヘロヘロじゃない、そう思っていたヘロヘロな青年が、少しずつ旅を通して仲間達と共に強くなり成長し、やがて一人前の男になってゆくのです。
最初は何もできないとヘリットを馬鹿にしていた聖獣家の仲間たちも、旅を通して少しずつ彼らの間に絆が生まれます。
そして、ヘリットを見守ってくれる、頼れるんだか頼れないんだか分からない相棒。
個性豊かで、挫けそうになっても諦めずに進み続ける彼らの姿を見ていると、よわよわ一般人の自分の心の中も不思議と元気づけられてしまいます。
さて。
このお話の世界では、獏が一番偉いのですが、どうしてかというと――?
どうして獏家が一番偉いのか。
どうして●●●には●●●●なのか。
さまざまな事柄は、とても深いところで複雑に絡み合っていて、
読み進めていくと、この物語が、世界が、とても綿密に考えられていることに気づかされると思います。
答えはぜひ、物語を読んで確かめてください。
聖獣の力を受け継いだ五つの家の跡取りたちが、魔物に乗っ取られた王都を取り返すべく、力を合わせて奮闘する物語です。
……などと一言で済ませるわけにはいかないくらい、ものすごい苦労と軋轢とトラブルと命の危機に見舞われ、これでもかと翻弄された五人+一匹の物語です。
序盤、弱虫で「力を持たない」獏家のヘリットだけがポンコツなのかと思っていたんです。
違いますからね。他の四人もまあまあ大概ですからね。
直情的で力を制御できないミホス。
興味あることだけに突き進んで騒音を立てるライカ。
プライドが高くて尊大な振る舞いをするシュリン。
ひとり冷静に見えてとんでもない闇を抱えているマイヤ。
それぞれ能力はあっても、軽く受け流せないくらいの欠点もある若者たちなのです。
当然、旅路もなかなく上手くいきません。すぐ険悪な雰囲気になるわ、なけなしの金を使い果たしちゃうわ、魔物の罠に引っかかるわ……
だけど困難を乗り越えるうち、少しずつ、本当に少しずつですが、お互いを受け入れて協力し合えるようになっていきます。
『葬られた記憶の館』で、それぞれが自分の弱さと向き合うシーンが印象的でした。
気付けば、彼ら全員を大好きになっていました。
なんという愛すべきポンコツたち。
ひとりひとりの力は小さなものだし、噛み合わないことの方が断然多かったけど、その分うまく連携できた時に叩き出せる力はすさまじい。
そして苦労しながら戻ってきた王都で、究極の選択を迫られた彼らの取った選択肢とは——?
伝説の英雄たちだって、完璧超人ばかりではなかったかもしれない。
あなたの身近にもいそうなタイプの若者たちの冒険譚、ぜひぜひお楽しみください!
いつも惰性でやっていることを、ある時「仕事だ」と言われたら、
皆様どう思います!?
ましてそれが……ほとんどの人間の楽しみであると言ってもいい「寝ること」だとしたら!!
物語の舞台は五体の聖獣が国を守る王国。
獅子、龍、鳳凰、一角獣は勇気・雷・風雨・癒やしの力で民から崇められているが、
中央に描かれた「獏」だけは、みすぼらしく役立たずな存在として笑われていた。
なぜなら、ずっと寝ているからです!!
ヘリオット・バクはそんなわけで半ば政略結婚のための駒として扱われております。
しかし聖獣祭の日、
ヘリットは一角獣家の娘シュリンとの結婚を拒み、
獏家の塔に閉じ込められていた牢獄から脱走します。
雷と嵐に紛れて王宮を抜け出し、
彼は「獏家」という名前すら捨てて、ただの「ヘリット」として国を去り申した。
この先生特有の言葉遊び満載に描かれる長編にございます。
続きももちろん楽しみです。
ご一読を。