宝探し・07

「いらっしゃいませ。」


「すいません、このコロンにメッセージを付けたいのですがーー」


 店員とやり取りしている私の後ろに、落ち着かない表情の先輩が近距離で張り付いている。や、やりにくいな!


『HAPPY BIRTHDAY』の文字が刻まれるチャームと赤いリボンが飾られて、ぐっと見栄えも映えるコロンの瓶。うん、箱に詰めれば意外に格好がつく。


「ありがとうございました。」


緊張した、と気の抜けたらしいユキフミ先輩。


「腹減ったな。次の場所に行くか。」


「そろそろお昼ご飯ですか。」


「いや、ジオキャッシング第二弾!」


しばし歩いて移動して、昔ながらの個人商店がぽつぽつ並び出す通りをうろつく。


こちらをジッと見つめるおばあさんがいる。通り過ぎてすぐまた戻ってきた私達を、険しい表情で見ていた。あ、怪しい者ではありません。


「おっと、ここなのか。すいません!」


その老婆へと話しかけた先輩にちょっとビックリ。


「飲み物二つと『ボックスを一つ』お願いしまーす。」


「……はいよ。」


「??」


おばあさんが立っているのは果物屋さんの前。艶のあるイチゴや積まれたオレンジと一緒にジューススタンドも設置されていて、フレッシュなミックスジュースを提供してくれるらしい。


「お待たせ。奥にいるから、終わったら教えて頂戴。」


ストローの刺さるカップが二つと、工具でも入っていそうな武骨な金属製の箱が目の前に置かれた。


ササッとお金を払い、耳元でささやく先輩。



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