宝探し・06〔お宝発見〕

「ん?」


 久々に見たな、公衆電話が店の横にある。その脇の地面にレンガブロックが幾つか置いてあり触れたら。そのうちの一個が。


「軽い……あ、見つけましたよ!」


レンガかと思いきや。似せたケースになっていた。


喜び勇んでケースを開けると、情報通りに小さいメモ帳っぽい物が入っていた。発見した時の日付けと名前らしき一覧が、ずらり書き込まれている。ゲーム参加者は結構いる!!


「やったぜ、シートに名前書いておこ。さすがお嬢様、勘は良いはずだと信じた俺の勘は間違っていなかった!」


「勘以外は私に期待していなかった、みたいな言い方……」


まあ謎解きとか、やれと言われても不可だが。頭脳労働は専門外です。


携帯電話でシートを撮影して発見した証を書き込むと、カモフラージュされたレンガを元通りにしておく。


「ジオキャッシング、初成功。ご感想は?」


「面白い!」


「街中だけじゃなく、もっと山奥とか島とか、観光地に隠されている宝も多いらしい。どれだけ発見できるか巡っての旅行、とかも楽しそうだな!」


「あはは、トレジャーハンティングだ。普段は目を向けない秘境にばかり行っちゃいそう。」


「別に、見つけた中身に金銭的な価値はないけれどな。一緒に過ごした思い出が宝物だぜ~!」


「どこかで聞いたみたいなキャッチコピー……」


決め台詞をドヤ顔で披露した先輩だが、本日はオリジナリティーに欠けている。やはり、勉強に脳みその容量が割り振られているのだろう。


お値段に糸目をつけない品も見ておこうと、ブランド品を取り扱う店に入っていく。普段遣いが出来る物が良いだろうか……スーツにも合う物……おやっ、執事が使用しているコロンを発見。


「ここって、俺達みたいな若造がいても大丈夫?」


「平気ですから、別に。堂々と振舞っていて下さい。」


こそこそする方が怪しい。先程の雑貨屋に比べれば値段設定は高めだが、大人である執事に贈るのならば。少々奮発しても構わないだろう。



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