宝探し・03〔目的地〕

 ユキフミ先輩の見せてくる携帯電話の画面には、何やら地図が表示されていた。ぽつぽつ、色のついたマークが地図上に何か所も記されている。


「何でも揃うショッピングモール、雑貨屋とブランドの店が並ぶ通り、そして意外におススメ、実用品の多いホームセンター。」


説明が続く。


「今言ったうちのどれかへ。執事へのプレゼント探しに付き合う代わりに、俺の宝探しゲームにも付き合って貰う。」


「ああ、そういう?」


「そうそう。この地図にマークが付いているだろ、隠してある宝物のマークだよ。」


「…………結構な数がありますね。」


取りあえず見せてくれた地図は、ショッピングモール周辺らしいのだが。四、五か所のマークが打たれている。


「驚くだろ。お嬢様の高校の近くにも、宝物が隠されているみたいだぜ。プレイヤーが近所に数人はいるっぽい。」


「えっ、そうなの?」


ペットボトルのキャップ位だったり、郵便ポスト位あったり、大きさや形状は様々で。宝箱といっても大抵は『見つけました!』と書き込める用の紙が入っているだけらしい。


一般人の迷惑にならぬようルールも沢山決められていて、地面に埋めたりはせず、自然も壊さない状態でひっそり置かれているとか。


「へえ。私達の知らないうちに、ご近所でこんなゲームが行われているとは……」


「興味深いだろ。じっくり探してみたいと、思ってはいたんだが。なかなかチャンスがなくてな~。」


「知っちゃうと、探してみたくなりますね。」


お嬢様なら分かってくれると思っていた、と嬉しそうな先輩。


「プレゼント探しと合わせると、一日がかりになるな。お嬢様はどこに行きたい?」


提供された候補地は三つ。おススメらしいホームセンターも気になるが。


「ブランド物と雑貨屋さんを色々とのぞきたい……かな?」


私の担ぐリュックを軽く叩いて、じゃあ出発だ! と元気良く宣言して先輩が進み出す。



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