宝探し・02

 最後の追い込みで大わらわであろう、受験生である先輩に頼ってしまった自分に少し反省しつつ。


恩人(予定)の家の方角へと辺りを付けて拝んでおいた。先輩が余裕で大学に合格できますように!!


……


……


ユキフミ先輩は携帯電話をかざしながら


「さあて、お嬢様、本日は一月にしてはお日柄も良く。ジオキャッシングだ!」


待ち合わせ場所にやって来るなり宣言する。


「ジオ、キャッシング?」


「ジオキャッシングとは。GPS機能を利用した、地球規模で行う宝探しゲームです。」


何かが始まった。


「元々、宝探しゲーム『レターボクシング』なるモノが、携帯電話もない古い時代から存在していました。森や公園などに隠された宝箱を、こちらも隠された地図やヒントを頼りに見つける、謎解きを含んだアドベンチャーです。」


せ、説明が長い。


「ネットワークやGPS機能の進化によって、現代に蘇ったNEW宝探し……」


ジャジャン。先輩の取った間のせいで、そんな高らかな効果音が聞こえた気がする。


「それが、ジオキャッシングです!」


「取りあえず行きましょ、先輩。ご高説は歩きながら聞きます。」


「お嬢様の為にまあまあ時間をかけて考えたのに。アナウンスをもう少し聞けよ~。」


受験生なら勉強せんかい、とツッコミを入れなかった自分を誉めてあげたい。いや、私のせい?


「候補は取りあえず、三か所ほどに絞ってきた。」


まだよく分かっていない私だが。行き先は三か所のうちから選ぶらしい。



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