あなたに鰻と執事の愛を もっと!
小太夫
地球はでっかい宝島!?〔いざジオキャッシングへ〕
宝探し・01〔&あらすじ〕
☆あらすじ☆
西園寺家の一人娘である、西園寺 森乃(サイオンジ モリノ)通称、お嬢様。
西園寺家で執事を務める、武部 爪牙(タケルベ ソウガ)通称、執事。
お嬢様は天真爛漫、短気で不器用、運動神経は良く、そして鰻が何よりの大好物。
執事は慇懃無礼だが爪牙耳目、合気道の使い手。趣味はチェスと料理。
相反するようで、ぴったり凸に凹がハマっているようでもある二人。
十年以上、屋敷に勤めている執事は、お嬢様とは幼馴染であり、家族の様でもあり主人と従者でもあったり。
何やかんやがあって、お嬢様は屋敷を飛び出してマンションで一人暮らしをしたり、執事が追いかけて来て鰻をさばいたり、ダンスしたり神主になる少年に出会ったり、腰が抜けたり。
脅迫状が届けられたり、屋敷に戻りボディーガードが付いたりスポーツカーに乗ったり、口説かれたり、誘拐されたり告白されたり落下したり、犬を保護したり鰻を食べたり、ケンカして丸く収まったり。
そんな二人が、ざっくり言えば結局のところ、ハッピーエンドを目指す物語。
***
憂鬱なまでに空は曇り、吐く息もうつろに白い朝。とある差し迫った事態に、私は血の気が引いていた。
♪♪ ♪♪ ♪♪
「ユ、ユキフミ先輩~~……」
「もしもし。不景気そうな声を出すな、お嬢様。俺に甲斐性を求めるな。」
「そういう相談じゃないです。むしろ私がお金を出します、助けて!!」
「待て待て、やめろ。詐欺にひっかかりたいのかよ……最初から話せ。ちゃんと聞くから、終日無料だから。」
嘆息しつつも。スピーカー越しに頼りがいのある返答をしてくれる年長者。年上の先輩といっても一歳だけだが。顔だけなら年下っぽいが。
「ソウガの誕生日なんです、もうすぐ。」
「へえ、執事さんは冬生まれか……まさかとは思うが」
「プレゼント選びに付き合って下さい~~。」
何故に用意していないのかと、もちろん問われた。それどころじゃなかったというか、まあ私が迂闊だっただけで。
脅迫状騒ぎやら誘拐、愛の告白と、走馬灯にも刻まれそうな一大事が続いたので。つい昨日、アーチェリーのインドア大会が終わり、少しばかり心に余裕が出来たのだ。
忙しさのあまりで仕方がないとはいえ、恐らく楽しみにしているであろう執事に……その言い訳が通じるはずもない。
「今までは何を贈っていたのか。参考までに聞かせてくれ。」
「ええ~と、それがですね~~……」
そもそも、ヤツの生誕を祝った記憶があんまり。おめでとうの言葉位は、これまでも気づいたら言っていたと思うけれども。
先輩の不興を買う心配より、執事からの報復が恐ろしい……つい先程まで、誕生日のことなど私が忘れていたと知ったら。
でもソウガだって。私へ贈り物をした回数など、片手で指折り数える程度だよね? 何かしてくれたとしても、職務だもんね?
「分かった。買い物に付き合うのは土曜日にするか? 俺も何か、適当に考えておく。」
「どうもありがとうございます!!」
さすが頼りになるなあ、ユキフミ先輩。自己責任でやれ、と突き放されても仕方がなかったのだが。
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