第5話 ツギハギの平和、ボロボロの友情
ボロボロなほどありがたいものです
最終局面となった横浜市では、いたるところで千葉県と神奈川県の戦闘マシンが戦っていた。
ココは横浜市のスーパーマーケット、女学生AとBは買物に来ていた。
女学生A「もう、どこへ行っても千葉県で買物できるのはココだけになっちゃったね…。」
女学生B「生活の最低限は保証されてるケド…アタシなんかコートが破けたから…服屋さんへ行ったケド、戦闘区域になってて買えなかったのよ…。」
女学生A「アタシなんか、シャツが破けてるから、コートが脱げなくなっちゃった…。普段なら、こんなシャツを着ないけど、他は洗濯中だから…。」
女学生B「早く、千葉県に占領されてしまったほうがいいのかしら…。」
女学生A「最近は戦争で勝った方も、負けた方ほどでなくても生活水準が下がるらしいわ…。」
女学生B「えー!ホントなの?!」
女学生A「なんだかんだ言って、勝った方も出費がバカにならない上に、負けた方にも人権を認めなきゃいけない時代だから…。」
女学生B「そうね、そういう時代だものね…。」
女学生A「ココのスーパーマーケットは横浜市が生活基盤だから、最後に攻撃するのが決まりらしいから、ココが攻撃されたら、ここら一帯は終わりね…。」
女学生B「あ~ぁ、明日か、明後日には千葉県民になっているのかな?」
館内放送「只今、このスーパーマーケットは、山梨県に占領されました。」
この放送に周囲は騒々しくなった。商品棚のものはわしづかみにされてドンドンなくなっていった。
館内放送「繰り返します。只今、このスーパーマーケットは、山梨県に占領されました。買物を済ませたら、近くに住まいの方は至急帰宅してください。買物を済ませたら、近くに住まいの方は至急帰宅してください。なお、このスーパーマーケットの東側では、まだ千葉県と山梨県の戦闘が続いております。危険なので戦闘区域は避けて帰宅してください。遠くから来店の方は、サービスカウンターに相談をしてから帰宅準備をしてください。」
女学生A「えー!?」
女学生B「ウソー?!千葉県じゃないンだ!東京都に山梨県が攻め込んだって聞いたけど…あっという間にココまで来たの?」
女学生A「ウチの近くって、千葉県が迫ってたよ…。帰りたくない!」
女学生B「ココが山梨県ならば、アタシ家は今、山梨県なの?そんなのイヤ!しばらくココにいようよ…。」
女学生A「どうしょうか?スマホが無いから家に連絡取れないよ…。」
バタバタする中で人にぶつかりながらも、指差した先では公衆電話に長い列ができていた。
女学生B「仕方ないから、今は買物をすませましょ…。」
女学生A「そうね…。っていうか、ウチの買物ってほとんど非常食と水分モノばっかり、こんなつまらない買物は飽きちゃった!」
女学生B「ウチも同じ、戦争が終わってもしばらくこういう生活らしいわね…。」
女学生A「新しい物流が確立するまでは、一週間くらいはそうなるらしいワね…。」
女学生B「しばらくはスーパーマーケットが使えるだろうから、毎日、決まった時間にココに来ない?」
女学生A「じゃあ、平日は一緒に学校帰りで、休日は正午にココに来て、 後かもしれないけど、一緒にお昼食べよ…。」
女学生B「そうね、そうしよう!」
二人は買物を済ませて外に出ると、神奈川県の戦闘マシンが降伏したのか、神奈川県マークの作業用マシンによって何体か解体されてゆくのが見えた。その周りを山梨県マークの何体かの戦闘マシンたちが警備していた。女学生二人は近寄って行くと、一体の山梨県の戦闘マシンがこちらを向いて止まったときに、彼女らは足を止めた。
女学生B「これ以上近寄らないほうがいいみたいね…。」
山梨県の戦闘マシンが一体こちらにゆっくり歩いて向かってきた。
女学生A「そうね、生まれてからずっと、平和だった神奈川県も終わりなのね…。」
夕方の風が妙に心地よかった。コチラに来た戦闘マシンは彼女らの近くに来ると向きを変えて背後を通り過ぎて行った。
女学生B「神奈川県の最後の風…。」
耳を澄ますと、遠くで戦闘音が聞こえた。
女学生A「あれ?!ウチの方向から聞こえる!」
女学生B「今は帰らないほうがいいンじゃない?絶対、戦闘区域ばっかりになってるよ…。」
女学生Aは少し出た涙をハンカチで拭うと
女学生A「少し心配だけど、人権があるから大丈夫か…。」
女学生B「大丈夫!大丈夫!」
よく見ると女学生Bの目にも少し涙が光っていた。ゴドンと神奈川県の戦闘マシンの武装がすべて外された。山梨県の戦闘マシンは時々こちらを見ながら警備していた。
館内放送「只今、山梨県と千葉県のAI局の会談の上で県境が確立されました。このスーパーマーケットの東側の戦闘区域はなくなりました。」
これを聞いても人々の一部は帰宅しはじめて少し周りの人が少なくなってきた。
館内放送「なお、西側では山梨県と静岡県の県境が決まってませんので、戦闘が続いております。遠くから来店の方は帰宅するときは戦闘区域に近づかないでください。」
女学生B「アタシたち、AIよりずっとずっとエライはずなのに何もできない…。」
女学生A「もう少しココにいようよ…。」
いつもの買い物よりつまらないものであったが、ここで帰ってしまうと、二度とあえなくなりそうな気がしてて、二人は日が暮れるまで黙って座っていた。
指示に従えば、必ず安全というわけではありません…
AIだって…
自分を強化したいのです…
ヤバい時は維持したいのです…。
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