第4話 難から逃れることは難


AIだって考えてます…だから、ヒトを騙します



青年A、Bは住みづらくなってきた自宅を離れて祖父母が住んでいる奥多摩町にしばらく旅行することにした。



一方、東京の奥多摩町では、都心から来た電車から降りた青年AとBがいた。


青年B「ココが奥多摩町かー!」


青年A「駅の近くの高層マンションに、住んでるンだ。」


青年B「オマエの祖父母さんたちは東京都内の駅近の高層マンションの155階とは贅沢だな!」


青年A「奥多摩町だから、可能なンだってば!」


青年B「わかってる!わかってる!」


青年A「緑豊かで、空気がキレイ!それから、居住地域と商業地は駅近だけでまとまってて、遠くに買い物へ行く必要もない!」


青年Aは両手を大きく広げて、


青年A「ウチラが会いに行くのにも都心から近いし、電車で一飛び!そんなに時間はかからない!」


タイミングを計ったように日が照ってきた。


青年B「ウン、ウン、ヘビースモーカーの最期の地には相応しい場所なのですねー!」


再び曇りはじめた。


青年A「ソレを言うなって!」


青年B「オマエが先に言ったンだろー!」


青年A「だから、ココで言うなって!」


青年たちは話題で盛り上がりながら、駅の改札を出た。


青年A「緑豊かで!空気がキレイで!気分転換になるだろ!」


両手を大きく広げて背筋を伸ばしながら言った。再び日が照ってきて、そこには輝いた目をした青年Aがいた。


青年B「神奈川県にとって、戦略上、重要な地でないから、支給品のスマホまで取り上げられる心配もない!」


再び曇りはじめた。


青年B「神奈川県との最終決戦のときに、長いコト…長いコト…貯めていた有休をブッパして、楽をして乗りきる戦法ですね!」


青年A「ソレを言うなって!マァでも、東京都AI局にはバレてンだろうね!」


青年B「だろうね!」


青年A「今日はホテルに荷物をおいて、大自然の中を散歩しよーう!爺ちゃん婆ちゃんへの挨拶は明日でイイヤ!」


二人は駅近のホテルにチェックインして、身軽になって奥多摩自然公園を歩いていた。


突然、物騒な四角い大型トラックが轟音で走ってきて、二人の前に停まった。


青年A「え?!」


青年B「ウソッ!?」


大型トラック「コチラは東京都AI局!コチラは東京都AI局!戦況が厳しいので臨時調達に協力してください!なお、今回の臨時調達は事情により、一年以内の代替品の支給は困難となっております!」


青年A「オイ、オイ、一年って、長すぎじゃ…。」


青年Bが割って入ってくるように大きな声で言った。


青年B「ID:✕✕✕✕✕✕✕、PASS:✕✕✕✕✕✕✕。この戦闘を支持しませんので、臨時調達に協力できません。」


大型トラック「緊急事態です!速報を聞いて下さい!緊急事態です!速報を聞いて下さい!」


青年B「ID:✕✕✕✕✕✕✕、PASS:✕✕✕✕✕✕✕。人権の執行により、速報を聞くことを拒否します。」


大型トラックはスピーカーを青年Aに向けると、


大型トラック「臨時調達に協力してください!」


青年B「ほら、オマエの番だよ…。」


青年A「ID:✕✕✕✕✕✕✕、PASS:✕✕✕✕✕✕✕。この戦闘を支持しませんので、臨時調達に協力できません。」


大型トラック「緊急事態です!速報を聞いて下さい!緊急事態です!速報を聞いて下さい!」


青年A「ID:✕✕✕✕✕✕✕、PASS:✕✕✕✕✕✕✕。人権の執行により、速報を聞くことを拒否します。」


目的が果たせないと判断した大型トラックは屋根が開いたかと思うと大きなサイレンを出すと大きな警戒音を出し轟音をたてながら走り去っていった。


青年A「スゲェ!ドコで覚えた!」


青年B「この前イロイロ取られたとき、ネット仲間と話してたら、このことを聞いて、もう少し調べてみたら、詳細にイロイロ書いてあったのを見つけましたねー!」


青年Bは勝ち誇ったように右腕の力瘤のポーズをとった。


青年B「ってか、あのトラックはサイレンを鳴らしているときは戦地が近いって聞いたけど…。」


青年A「神奈川県軍は劣勢で追い詰められてんだろ!」


青年B「マァ、そうだろうけど…。」


青年A「じゃあ、苦し紛れに攻められそうなトコを攻めて戦果を主張したかっただけじゃないの!」


青年B「そうだね!」


青年A「ココが占領されても、東京都軍がすぐに取り返してくれるって!」


再び、黙って歩き出したのであるが、大型トラックが走り去っていった方向で大爆発が見えた。


近くのスピーカー「コチラは東京都AI局!ココは戦闘区域となりました!至急、避難してください!コチラは東京都AI局!ココは戦闘区域となりました!至急、避難してください!」


青年B「ヤバいんじゃネ!」


青年A「ヤバくないって!アッチにしか帰り道がないンだから…。」


青年B「戦闘区域でマギワらしい行動したら、攻撃の対象になるンだよネ…。」


青年A「マギワらしい行動をしなきゃいいンだヨ!」


青年B「流れ弾とか爆発の破片とか飛んでくるかな?」


青年A「ケガをしたら、神奈川県の手厚い治療を受けられるから大丈夫!」


青年B「神奈川県の治療なんか受けたくないな!」


青年A「大丈夫だって!今の戦争は人身が 優先なんだから!」


しばらく歩くと、さっきの大型トラックがバラバラになって散っていた。あちこちで小さな炎をあげて燃えていて、その周りには見慣れない戦闘マシンが何体かウロウロしていたり、赤いマシンが消火活動をしていた。


青年B「山梨県の戦闘マシンみたいだね。」


青年A「え?じゃあ、さっきの緊急事態って…」


青年B「本当に、緊急事態だったみたい…。」


青年A「東京都軍は神奈川県軍との戦争で、そんなに弱くなったのかな?」


青年B「多分、周りの県が一斉に攻めてきて、対応ができなかったンじゃ…。山梨県は陸軍の評価が高いトコだから…。」


山梨県の戦闘マシン「一般市民は危険なので、至急、避難してください!繰り返します!一般市民は危険なので、至急、避難してください!」


青年A「うん…。」


友達に迷惑をかけたと思い、思わず力ない返事が出た。


青年B「ハイ、ハイ、ヒイ、ヒイ、フイ、フイ、ヘイ、ヘイ、ホイ、ホイ!避難しまーす!」


山梨県の戦闘マシンはしばらくこちらを見ていたが、何もしなかった。




早足でこの場を去りしばらく二人は歩いた。


青年A「ヤバい、コレじゃ、胃瘻を取られちゃうな!」


青年B「そう言えば、最近君は嫌いな野菜とかも、口から食事してるね…。」


青年A「人工栄養が高くなって割が合わなくなっちゃったンだ。」


青年B「いちいち手術して取らなくでもいいのにね…。」


青年A「胃瘻を付けてると、メンテナンスに結構手がかかるから、人工栄養を止めるなら取ってしまったほうが経済的になるンだ。」


青年B「やってみるとイロイロわかるね。」


ふと、青年Bは10m先くらい先に何かキラッと光るモノを見つけた。ふと、早足で近寄って行き手で触れてみた。


青年B「アッ!やっぱりスマホだ!誰かが落としたのかな?」


青年A「そうね、みんな慌ててたんだね…。」


その時、森の中や細い道の遠くなどのあちこちからガサガサバリバリ大きな音とともに二人は突然現れた山梨県の戦闘マシンによって囲まれてしまった。


青年A「痛っ!」


青年Aの足に山梨県の戦闘マシンが飛ばした石が当たった。


山梨県の戦闘マシン「そのスマホを調べます!わたしてください!そのスマホを調べます!わたしてください!」


青年B「オイ、わたせと言われれば、わたすけど…。友人がケガをしたみたいだけど!」


青年Bは少し前に出て地面において戻った。山梨県の戦闘マシンがスマホを拾うと一機は風のようにスマホを持って辷り去って行った。


山梨県の戦闘マシンの中から、軽装備の隊長機らしい一機が出てきて、


隊長機「負傷者登録をします!IDとパスワードを!」


青年A「ID:✕✕✕✕✕✕✕、PASS:✕✕✕✕✕✕✕。」


隊長機「歩くことはできますか?」


青年A「表面だけのキズのようなので、歩くことに問題はありません。」


隊長機「我々は上空の敵偵察機を撃墜したのですが、電子頭脳であったスマホがこの辺りに落ちたので、再優先で探していました!ご迷惑をかけました!」


全機と二人はその場を去り、またしばらく歩く


青年B「まさかスマホを拾うのが、マギワらしい行動になっていたとは…。」


青年A「マッタクだ!ビックリした!」


青年B「こういうときは、確か大したことなくても車を呼んでも料金がかからなかったと思ったケド…。」


青年A「ン?山梨県の車には乗りたくないヨ!もっとこの自然を満喫したいネ!」


青年B「あー、そうかも、町に戻ったら無料で治療してくれるよ…。」


青年A「これから一時帰宅かな?」


青年B「負けた都道府県は、ドコかで仕切られて、そう言われたまま何年も会えなくなるらしいよ…。オマエの祖父母に会ってきたほうがいいのでは?」


青年A「すぐそうするよ…。」





こうなったら、東京都はもう大変です!


え?!いやいや、神奈川県はもっともっと大変ですよ…。

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