心身ともに蹂躙され、飼い殺しにされなければ生きていけない。
その境遇も、この今も、誰も助けてくれなかった。
「商品」として管理され、消費される主人公・天音の周囲に現れるなにか。
飼われる外、侵される内に共鳴したもの。
誰も目を向けず、誰の手も届かなかった者たちへの、救済とは。
途中で「ホラー」ジャンルだと気づきましたが、
「現代ドラマ」かと思って読んでいました。
ダークウェブが増殖していく過程を追っているようで、
人間の醜さがこれでもかというほどに詰まっています。
だからでしょうね。
すべての結末を読み終えた今、自分の中に一握りの恍惚を感じるのは。
いえ、これは。もっと別の・・・・・・。
暴力を振るう親から逃げてきた主人公は、男に金で飼われる生活を送ることになります。そして暴力と借金と支配で麻痺した感覚の中に異物のように怪異が忍び込むことで、主人公の湿った日常が更に湿り気を帯びていきます。
恐ろしい支配の様子と生々しい暴力描写に加えて、不気味な雰囲気がひたひたと忍び寄ってくる気配がとても嫌悪感たっぷりに書かれていてホラーとして恐ろしい描写が秀逸です。ただ恐ろしいだけではなく、主人公も無垢な少女ではなく「助けられない」ことで周囲に対してよくない感情を持っていることもリアリティがあって「人を助けるとは」ということを考えさせます。作中登場するアプリは大変恐ろしく、現実でもこういうところから道を踏み外すのだろうと思わせる怖さがありました。
終盤の全てが積み重なって一気に崩壊するシーンはカタルシス満点で、悲しい境遇を生きてきた主人公が全てを崩すのはやっぱり気持ちがいい。悪が成敗されるのが好きな方、じっとりしたホラー描写が好きな方にオススメです!
タイトルから強く興味を惹かれた。
絶望の中にいる者の精一杯の訴えのような、他者を責める呪いの言葉のようにも聞こえる。世の中には色んな憎しみや絶望があるが、「誰も助けてくれなかった」という事実ほど悲しく、恨めしいことはない。
主人公は苦しい家庭環境から逃げたが、逃げた先の男から搾取される生活を強いられる。救いのない境遇は読んでいてずっと辛く、苦しいのだが彼女がどんな選択をするのか、目を離すことができなかった。
怪異の描写は五感全てを刺激するようなリアリティさがあり、物語の世界にのめり込むことができる。
これは誰にも助けてもらえなかった者達の叫びと復讐の物語。