母親に先立たれて一人で生きる少年が、死神のお姉さんに出会う短編現代ファンタジーです。リアリティの面では若干のツッコミどころもあるのですが、少年と死神のやりとりが面白く、一気に読めました。
少年と死神のお姉さんが、短い時間でお互いをささやかに支え合う様子が、上手く書けていたように感じました。やりとりは最小限なのですが、短編ですから必要最小限にしたのは正解かもしれません。その上で、大事なところはちゃんと書けていると思います。
ラストは、あえて含みを残す表現で終わっているのですが、抑えが効いていて良いなと思いました。短編らしく、余韻を感じさせてくれる幕引きです。
ほんのり心が温まり、読後には前向きな余韻が残ります。好きなタイプの物語です。
最初の一文から、「ただいま」と言っても誰もいない部屋の空気や、頑張るしかない高校生の息苦しさがじわじわ伝わってきました。
そこに突然現れるのが、魂を刈る“こわい存在”ではなく、「仕事やめたい」と本気で嘆く綺麗な死神というギャップがたまらないです。
死にかけた僕と、仕事に押しつぶされそうな死神。
立場も世界も全く違うのに、「どれだけ頑張ったら報われるのか」というしんどさの部分で、ふたりが少しずつ重なっていくのが、とてもやさしく描かれていると感じました。
お茶を挟んで、お互いの本音がこぼれていく会話も魅力的です。
励ますというより、「頑張るって大変ですよね」とそっと寄り添うような言葉のやりとりが、読んでいるこちらの胸にもじんわり染みてきました
「救われる」とはどういうことなのか
読後、自分の毎日にも優しくなれるような、そんな作品でした。