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「…つまり、この子が色々な悪さをしていて、僕達が飼うのは普通なことって思わせたってこと?」
ある日突然僕の家にやってきたお兄さんは、両親も呼んだ上で僕に説明をした。
『丙種の妖怪は、自分を無害に見せようと認識を歪める。君が見たインターネットの雪女の飼い方も、本来はハムスターの飼い方だ。』
そんな事を言われても、拾った僕はこの子を立派に育て上げる責任があると思う。
腕の中で僕の服を掴んで不安そうにしているユキメに大丈夫だよ、とギュッと抱きしめる。
お兄さんはそんなユキメを睨みながら
「……とにかく、そんな認知を歪める丙種を一般家庭で飼うのは見逃せない。今回はこの辺り一帯の気温が下降しているのを観測できた為発見できたが、今後これを正常と我々が認識してしまう可能性がある。」
なんだか難しいことを言ったが、要するにユキメは僕達とは一緒にいられないということ。ユキメは離されまいと、もっと力を入れる。
「この子が、人間世界の常識を持って過ごせるようになったら、また君たちの元に返すこともできる。丙種でも人間世界で過ごしている者もいる。……そんな不安そうに見ないでくれ、まるで私が悪役だ」
「…だったら、ユキメがどう過ごしているか時々見に行ってもいいですか?そういった丙種?の子達がたくさん過ごしているんですよね?」
あれ?私たち離れ離れになるの?とぎょっとしながら抗議するように僕をぺちぺち叩くユキメを離しながら僕はお兄さんに聞く。
「……そうだな、特に出入りが規制されている訳ではない。重要なのは人間世界で問題を起こさずに過ごせるようになること。…その子もよく懐いているし、そんな子がどの様に過ごしているか気になるだろうしな。施設を訪問する許可を私が出しておこう」
お兄さんは何か眩しいものを見るように目を細めながら、許可を出してくれた。
その間もペチペチと抗議されたが、教育が終わらないと僕達とは過ごせないらしい。
「ユキメを、お願いします。」
ごめんね、と思いながらユキメを両手で差し出して、お兄さんに受け取ってもらう。
ユキメは観念したのか涙目で僕を睨むがお兄さんを叩いたりはしない。
「あぁ。…私を叩いたりしないから、すぐ一緒に過ごせるようになるだろう。確かに預かった。」
こうして、僕達の元からユキメはいなくなった。
雪女と子供の事例 ―相互理解は大事― 栄養剤りぽべたん @ripobetan
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