後悔からのその話

智太 是下

第1話 夢か、現実か

これを読んでいる人はどんな人だろうか、若い人かもしれないし、少し歳を重ねた大人の人かもしれない、これまでの人生を歩んでいく中でみなさんは、どれだけ後悔したでしょうか。


俺は数え切れないほどしてきました。何も無いのに何者かになりたくて、能力もないのに望みは高い、努力もしなければ、貴重な人生という時間をただ無意味に無駄に惰性的に過ごして行く日々、そんなどうしようもないクズでカスで甘い自分でも、まるで物語に出てくる主人公たちのような存在になりたかった、俺は、俺自身が大嫌いだった。


これからここに書く物語は、俺にとって、こうであったなら、こうなってくれたら、どれだけよかっただろうと思った時に神様か悪魔がくれたチャンスか、現実を逃避して壊れた俺が妄想している。そんな話かもしれないし、もしくは私は今夢を見ているのかもしれない。


だってそうだろう?こんなに自分にとって都合のいいご都合主義のようなまるでアニメやマンガ、小説の中に出てくるような展開が現実に起こるわけがないのだから。












俺の名前は三浦晴人、現在、20歳、18歳の時に高卒で卒業したあと社会人になって勤めた会社が残業代が出ない所謂ブラック企業と言われる。会社に就職し、パワハラや、サビ残、6度にわたる異動や転属配置転換を経て、順当に精神を病んでしまい、3ヶ月で会社を退職、それからバイトを転々としながら働いていたが、精神的にきつい事を言われると逃げる癖がついてしまった自分はどこで働いても1ヶ月と続かなくなってしまい、かれこれ2年ほど実家でニートをしている。最初のうちは転職活動をしようと気持ちもあったが今はもう何もしたくない。そんな自分にもひとつ、楽しみにしていることがある。パチンコだ。親に返す宛もない金を借りて、打ちに行っている。

そんな何気ない俺のニート生活の、変わり映えしない1日、それが起こったのは、そんな時だった。



「しんどい」


その日は少し俺も気分が落ち込んでいた。パチンコで6万も溶かして家でふて寝を決め込んでいた時だ。俺は目をつぶり、目を開ける。ごく自然に行う動作をしている時だった。突然部屋が綺麗になった。




「は?なにこれ?俺のパソコンどこいった?」



部屋からは、パソコンやスマートフォンなどの電子機器が無くなり、部屋の布団、椅子、机などの配置。その全てが変わるという異常事態に俺は頭が真っ白になっていた。




「やばい、なにこれ」



理解が追いつかぬが何かとてつもなくやばい事が起きているという事がわかった俺は、リビングの方に歩いて行き家族に会いに行くために足が動いていた。



「おはよう、朝ごはん何食べるの?サンドイッチ?早くしないと遅刻するよ?」


そこには母がいた。いつも通り朝に早く起き父や兄や俺や妹などに美味しいご飯を作ってくれる。優しい母。



「どうしたの?顔色悪いけど、もしかして体調悪いの?」


「嫌、大丈夫、寝起きでまだ、寝てるだけ、」


「高校の入学式、楽しみで眠れなかったの?」


「へ?」

今母はなんと言った?高校?入学?俺はこの会話で気付かされた。気づいた時には歓喜していた。今自分は過去に戻っている。



実感などない。夢かもしれない。そんな気持ちは湧いてきたが2年間ニートをしていた俺はもし夢で覚めてしまうのならばと、ここでも逃げた。



「やっぱり、ちょっと体調悪いみたい」



「大丈夫?コロナじゃないでしょうね?少しでも体調悪いなら休みなよ?連絡しとくよ?」


「うん、今日は休む」

自分のもしかして、という気持ちを押し込み、朝食を作ってもらった後に、先程出てきた部屋とは別の部屋に向かう。



「あった」



そこには高校の頃から使っていた自分の自室がしっかりとあった。高校の頃は兄が大学入学してから、実家を出ており、寝室と自分の部屋があったのだ。パソコンやスマートフォンなどもそこにあり、そこからは早かった。

現在の日時や今の状況などをネットで調べた。調べた結果やはり出てくる答えはひとつだけだった。



「俺、やり直せるのか?」

俺は、4年前の15歳高校1年生。20XX年4月1日にタイムリープしていた。

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