生まれてしまった私たちへ

鉄と涙の匂いが支配する牢獄で、少女は生きる理由を完全に失っていた。
「生まれてこなければよかった」
そう呟く少女に、同じ牢に囚われた女性は静かに語りかける。
負の感情の意味、努力の価値、人が生き続ける理由——。
彼女の言葉は、少女の“浅はか”な考えを否定せず、ただゆっくりと再構築していく。
絶望の中で、人は何を見つけるのか。
そして少女は、自分の荷物を“重荷”ではなく“財産”だと捉え直すことができるのか。
会話だけで進む、静かで深い再生の物語。