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「細谷くん! あの星、何て言うの?」

「えっ? どの星?」

「ほら? あそこで青白く光ってる大きなひしゃく形のあの星? 」

私は、細谷くんの方に身体を寄せて、右手で、目的の青白く光る星大きなひしゃく形の7つの星を指さす。

夜の学校、それも誰もいない夜の屋上

普段は立ち入り禁止の夜の学校。

そして、夜の屋上。

だけど、今日は……

雲ひとつない満天の星ぞらの下

寄り添う二つの影

重ねる二人の身体。

細谷くんは、私の方を振り向いて、優しい笑顔で、私が指差した青白く光る星を指差しながら、

「あぁ! あれは、北斗七星だよ?」

「北斗七星? 7つ並んでるから」

私は、細谷くんの言葉に、首を傾げる。

そんな、私は、さらに細谷くんは、言葉を続ける。

「そう。だけど、北斗七星は、星の並びに名前をつけただけで、実は、おおぐま座のしっぽなんだよ?」

「すごい! 細谷くんって! 本当って、なんでも知ってるだね?」

そう! 無邪気頬笑むきみに、僕はいつの間にか恋をしていた。

もし、この感情に名前をつけるとしたら、僕は、間違えなく初星(はつこい)と名前をつけるだろう?



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天体感情(てんたいかんじょう) なつかわ @na_tu_ka_wa

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