第7話 グライスハーヴェン家荘園(農村)の視察

 レオを含めた領主レオポルト一行が、グライスハーヴェン家の荘園の村々へ視察へと赴く日がやってきた。

 レオポルトとレオの親子は、朝食を終えて最終的な準備を終えた報告を受けた後に、屋敷の前の馬車へと乗り込む。

 荘園領主レオポルト一行の馬車は、グライスハーヴェンからノイ・グライスハーヴェンへやって来た主要な街道へ続く道とは逆の道へと進んで行く。

 グライスハーヴェン家の所領である荘園の村々へと続く道だ。


「これから向かう荘園は主に農村だ。この道の終わりの方は海に続いており、漁村が複数ある」


 レオは父レオポルトから道沿いにある荘園についての説明を受ける。これらの荘園群の中には買い取ったものや過去のグライスハーヴェン家当主が資金と人を集めて開墾させた荘園も含まれているらしい。

 結果的に道沿いの村々は全てグライスハーヴェン家の荘園となっていた。他にも荘園は分散して保有している様だが、荘園が集中しているのが本領のノイ・グライスハーヴェンの周辺地域なので、父のレオポルトはレオを同行させたとのことである。


 領主一行が始めに着いたのは、ノイ・グライスハーヴェンに最も近い村であった。小さな村ではあるものの、田畑が広がっており、領民たちの顔は困窮している様には見えない。

 ノイ・グライスハーヴェンは小さな町であったため、自由民である領民の比率が多く、農園も農奴だけでなく自由農の農民が所有している場所もある。

 しかし、この村はほぼ農奴で構成されているそうだ。誤解されがちではあるが、農奴と言っても奴隷と言う訳で無く、小作人たちのことを指す。

 この小さな村の農奴(小作人)たちは、荘園領主であるグライスハーヴェン家の農地を耕し、税を納めている。小作人であるため、貢納や施設や器具の利用料があるため、負担は大きい。

 だが、後にフェネデールから話を聞いたところ、グライスハーヴェン家の荘園の貢納や各種利用料は他の荘園よりも安く、農奴であっても生活しやすいらしい。グライスハーヴェン代官として得られる富が大きく、荘園に還元して善政を布いている証拠なのだろう。

 その後、小さな村の様子を視察したが、何の変哲も無い農村であった。畑や蔵など視察したものの、特に問題は見受けられない。

 最初に訪れた農村は、小さい町であるノイ・グライスハーヴェンが近いからだろうか、そこへ農作物を供給しているからか、比較的豊かに見えた。


 その後、いくつかの農村を視察し、宿泊する施設のある少し大きめの荘園へと到着する。宿に着いた頃には夕方になっており、視察の汚れを落とすとすぐに夕食となった。

 夕食には荘園の代官などが加わっており、小さな宴会となっている。毎回、この荘園が宿となる役割を担っており、荘園領主用の宿泊施設が置かれていた。


「レオ、今日見てきた荘園はどうであった?」


「領民たちの顔つきは明るく、飢えや貧しさは見つけられませんでした」


 最初の農村を視察して以降、 各荘園を見てきたが、質素ではあるものの困窮している様には見えなかった。

 父であるレオポルトは嬉しそうに頷く。


「荘園の農奴とは言え、困窮させる訳にはいかぬ。荘園の民たちあっての領主よ」


 父のレオポルトは荘園領主として至極真っ当な考えを抱いていた。他の荘園領主たちはどうか分からないが……。


 夕食を終え、泊まる部屋に戻って身体を休めながら考える。

 今日、視察した荘園は至極平凡な農村であった。本当にただの農村である。これらの農村でレオが望んだスローライフを過ごすことが出来るのだろうか?

 前世で読んだラノベやアニメで観たスローライフを送れるのだろうか?

 レオは自身が望むスローライフについて改めて考えることとなるのであった。


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