第6話 ノイ・グライスハーヴェン

 ノイ・グライスハーヴェンの屋敷にて一夜を過ごしたレオと父レオポルト一行は、一夜を明けると食卓にて父がレオに声をかける。


「レオ、本日は本領を視察するぞ」


 父レオポルトはグライスハーヴェンの代官職務の傍ら、自領の領地経営を行っているため、荘園の状況について報告が上がっていることは把握している。

 なので、自領の状況が報告通りなのか視察するつもりなのであった。


 グライスハーヴェン家当主レオポルトは嫡男のレオ、護衛の兵士やノイ・グライスハーヴェンの留守を任せている家臣などを伴い、馬に乗って本領の町中を視察する。

 然程広くない町であるため、馬車だとかえって身動き取りづらい。領主であるため、徒歩と言う訳にもいかないのだ。

 朝食を終えた後、準備が整ってから視察を行うこととなった。


 ノイ・グライスハーヴェンの領主一行の視察において、レオは傅役のフェネデールの馬に乗って同行している。

 領主レオポルト一行は、表通りを進む。領民たちは領主の姿を認めると往来の中心を避け、道を開ける。そして、頭を下げていく。

 昨日、馬車でノイ・グライスハーヴェンの表通りを進んだ際も、領民たちは頭を下げ、領主一行に道を開けていた。


「若様、御父上は領民たちに敬われております。ノイ・グライスハーヴェンの民たちは代々の領主様たちのおかげで豊かな生活を送ることが出来ております。若様も何れはこの町の領主になるのです。代々の御当主様たちの様に立派におなりくださいませ」


 レオはフェネデールからこの町の状況を聞きつつ、諭される。

 確かに、領民たちの顔を見れば、その顔には明るさがあり、困窮している様には見えない。また、領主を徒に恐ている様子も見受けられないので、フェネデールの言う通り、グライスハーヴェン家は敬われているのだろう。


 町の中の表通り沿いの商店や宿屋などを視察し、町の状況の実態を確認していく領主レオポルトは、時に領民たちに話しかけ、詳しく領地の状況を把握しようと努めていた。

 その後は、小さな市場や商店の密集地、神殿、集会所、蔵・武器庫、役場などノイ・グライスハーヴェンの主要な場所を確認し、帯同した文官や留守居役の家臣たちと現状と報告を一致させ、状況を把握していく。

 ノイ・グライスハーヴェンの視察を終えた領主一行は、本領の屋敷へと戻ってきた。

 本領に戻った後、父であるレオポルトは領主として家臣たちと話し合う必要があると言うことで、屋敷の執務室へと向かう。

 レオはフェネデールとともに与えられた部屋へと戻ることとなった。


「レオ、明後日以降は他の荘園を視察に行くこととなる。泊まりがけになることもあるので心せよ」


 夕食の席で父レオポルトから、今後の予定を伝えられる。明日は領主としての雑務をこなし、明後日以降に他の荘園を巡る様だ。


 夕食を終え、自室に戻ると傅役のフェネデールから他の荘園についての話を聞く。

 本領のノイ・グライスハーヴェンは小さな町だが、他の荘園は殆どが農村か漁村であり、領主が宿泊出来る施設がある村は限られるらしい。

 各村は商店などもごく限られており、本領ほど商業活動も活発では無いとか。

 荘園の村々の話を聞き、レオは期待を胸に抱く。


「荘園の田舎なら、スローライフを送れるかもしれない」


 果たして、これから向かう荘園の村々はレオが期待する様な場所なのか。スローライフが送れる様な場所なのか。

 それはまだ、レオにも誰にも分からない。

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