第8話 グライスハーヴェン家荘園(樵の村と漁村に到着)
グライスハーヴェン家の荘園である農村で一泊した領主一行は、再び荘園を巡るため出発する。
「これから向かう荘園は森の中にある。今まではモンスターが出なかったが、森に入るとモンスターが出て危なくなるから、気を付けるように」
父レオポルトは、これから向かう森の荘園への道中の危険性を説く。
グライスハーヴェンの主要街道やノイ・グライスハーヴェンの周辺ではモンスター狩りが頻繁に行われたり、平地であったりで治安が良かった。
しかし、農村で一泊した後に次の荘園を向かうと鬱蒼とした森が広がり、モンスターが現れる様になる。
出てくるモンスターはファンタジーの定番であるゴブリン、イノシシ型のボア、オオカミ型のウルフと言ったモンスターであった。モンスターたちに遭遇はするものの護衛の私兵たちによって、たちまちに駆逐され、危険を感じる様な状況には至っていない。
「もうすぐ、森の荘園に着くぞ。ここから幾つかの荘園は樵の村だ。木を切り出したり、炭を焼いたりしている」
父レオポルトは、もうすぐ荘園に到着すると告げると、森の中の荘園について説明してくれる。
森の中にあるグライスハーヴェン家の荘園は樵と炭焼きの村々であった。村の周囲を囲む森から木を切り出し、木材や炭に加工する。加工した生産物をノイ・グライスハーヴェンや周辺の荘園へ供給していた。
森の中にいくつかある荘園は、村の周囲は森に囲まれているため、見るところは少ない。また、森に囲まれているため、狩猟も盛んであった。
森の荘園で捕れた獲物は、余剰物は周辺の荘園へ運ばれて消費されている様だ。捕れた獲物によっては、グライスハーヴェンの領主の元へも運ばれることがあるらしい。
木材、炭、肉は海沿いの港街グライスハーヴェンにとって重要な産品であり、荘園群で消費されない余剰分は、領主である代官レオポルトの元へ運ばれ、港街で販売されている。
森の村々での視察を終え、次の荘園へと向かう。次の荘園へ向かう途中で、森を抜けると土地が開け、嗅ぎ慣れた潮風の匂いを感じる。
「もうすぐ到着する荘園は漁村だ。港街グライスハーヴェンを治める我らにとっては見慣れた光景かもしれぬ」
父レオポルトが、これから到着する荘園は漁村だとレオに言う。
父レオポルトは見慣れた光景と言うが、グライスハーヴェンの代官屋敷以外、殆ど港街に出たことの無いレオにとっては、見慣れた景色とは言い難い。
レオが港街の代官屋敷の外に出たことが無いのは、街が大きく治安が良いとは言い難いからである。
船乗りは一様に気性が荒い者が多く、グライスハーヴェンを地元としない外からやって来る船も多い。そんな船乗りたちを相手にする港湾労働者たちも自ずと気性が荒い者たちが担う様になる。そう言ったヤクザ者たちが、口論になったり喧嘩になるのは港街では日常茶飯事であった。
なので、護衛を付けたとしても代官の嫡男のレオに危険が及ぶことを避けたいため、レオが代官屋敷から出ることは稀なことなのだ。かえって、グライスハーヴェン家の荘園を巡るほうが安全とも言える。
森の中を抜けてすぐの荘園は大きめの漁村であった。この漁村に領主が宿泊出来る施設があるらしい。
領主レオポルト一行は漁村の宿泊施設の前に泊まると、肌が浅黒くガタイの良い男たちが出迎える。
彼らはこの荘園の留守居役と漁村の長や上役たちであった。
宿泊施設に入った後、旅の汚れを落とすと荘園の者たちの歓待を受ける。
荘園の者たちが用意した夕食は、魚介がふんだんに使われた漁師料理で、港街グライスハーヴェンで普段食べている魚介料理とは全然趣が異なる。
元日本人としては、この漁師料理の方が口に合うかもしれない。父レオポルトも普段の港街で食せない漁師料理に舌鼓を打っている。その辺りの感性は親子なのだと感じさせるものであった。
夕食が終わった後、レオは与えられた部屋へと戻る。明日からは海沿いの漁村の視察を行う。元日本人としては漁村で美味しいものが手に入るのではないかと楽しみであった。
「漁村でスローライフってのも良いなぁ」
レオは今日食べた漁師料理を思い出し、漁村でのスローライフを頭に思い浮かべる。
漁村には何が待っているのか。レオが求めているものがあるのか。
それはまだ、レオにも誰にも分からない。
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