第3話

過去にあった現実ほんとう

変わりようのない、不変の手枷。


ーーー嵐くん、私を忘れてね。今から私は死にます。


 死に損ねた、ボロボロの君の前で僕は怖気づいていた。

 自分の身を投げ打ってまで、君を助けようと思えなかった。ここまでの絶望に、堕ちた者は僕には手に余る。

 断じて君が大切ではないとか、そういう訳では無い。君のことは大切で失い難いものだ。けれどそれ以上に、自分が大切で大事で……。


 つまり、自分可愛さに君を見捨てたのだ。それだけ僕は自己中心的で自分本位でしか物事を図れないような。そんな、最低で最悪な人なのだ。




 2歩進んで3歩下がるとは、言い得て妙である。実際のところ、廃人とまではいかないが、人間らしい生活か?と言われると、絶対に違うと言い切れる生活をしている。

 つまりは、一歩下がる。または、そのままの現状維持。という、如何にも代わり映えのない、味気ない生活だ。生きる意味?それは、君への贖罪の意識だけ。


 それが僕の命綱だから。

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