第37話『世界への復讐者』
「......あれは素晴らしいものだった。 坊主が持ってきて、力を与えると言ったから使った...... あの程度のことでこんな力が手にはいるとはな」
グラウニーは恍惚の表情を浮かべた。 そして視線の先にあった鉄格子の奥にミイラ化した男がいる。
(あれは前主か......)
「あの程度のこと...... その力を得るために、誰かを犠牲にしたのか......」
「なんてこと!」
ディルセアがにらんだ。
「手下と借金のあるやつらを100人ほどな...... かまやしないだろう...... 生きていても意味のないごろつき連中だ。 もっと力を得ようと思っていたが、ファラドのやつ...... 宝玉を持って逃げやがった。 元々冒険者だったやつの能力を見誤ったぜ。 見つけたときにはもう手にはなかった」
口惜しそうにグラウニーは言った。
(元冒険者...... 宝玉を隠したのか、宝玉......)
「そうか...... お前の狙いはルードランドの宝玉か」
「クククッ...... ご明察」
「戦争して奪い取るつもりなのか......」
レンドが驚きの声で聞くと、グラウニーの口角が上がる。
「......そうだ。 その混乱に乗じて俺自ら宝玉をいただく、この地位に来るまで盗みも山ほどやったからな。 戦争している城から盗むなんて容易い......」
(そのためにここに、俺たちを呼び込んだのか......)
「俺はこれから宝玉の力でこの世界を登り詰める...... どうだ王子を殺せば俺の仲間として迎え入れてやるぞ...... 特にレンドのボウズ」
「わかっているだろ...... 俺はもう組織はやめた」
「何いってやがる。 お前も俺も人の影に生きるしかなかったはず...... 生まれはどこまでいってもついてくる...... それから逃れるには力でのしあがるしかない。 でなければいつかまたあの場所に墜ちるぞ......」
「俺もそうだと思ってた...... でも選択はどこにでもあったんだ。 心が腐って見えなかっただけ、俺はカイトさんに会って流れるだけじゃなく自分で選ぶことを教えてもらった! もう逃げない! 流されない!」
「......所詮、闇に生きたことのないような浅い人間にほだされやがって...... なら俺の成り上がる糧になって死ね!」
グラウニーは獣のように地面をかけこちらに迫る。
「
グラウニーはその風をかわして突っ込んでくる。
「レンド、避けなさい!」
ディルセアの言葉で横に避けたレンドの場所に、巨大石が地面からせり上がる。 グラウニーの剣が石に食い込む。
「ちっ...... ぐあっ!」
「
隙を見てゼノフォスの剣がグラウニーの肩口を切り裂いた。
「諦めろ...... 戦争などさせない」
「ク、ククッ、その程度で勝ったつもりか王子さま......」
グラウニーの深い傷口が治っていく。
「なんだ再生!?」
「俺は何度切られようが再生する、例え首を切られてもな...... お前たちに勝ち目などないんだよ......」
「それなら!」
ディルセアが石の魔法を唱える。 グラウニーの腕が石になっていくが、その腕をグラウニーは切り落とした。 すると切られた腕からまた腕が生えてきた。
「なっ!?」
(不死に近い再生、
「さあ、お前たちはあきらめて死ね!」
俺は
「金属だと...... だが、そんなものは無駄だ!」
「ぐあっ!」
俺は飛ばされモンスターのところに飛んだ。
「カイトさん!」
「やめろ!」
「邪魔だ!」
助けに来たレンドとゼノフォスは弾かれる。
グラウニーは倒れた俺の前に立った。
「お前は何が目的だ...... 宝玉を手に入れてなにをする」
「この力でこの世界を全て俺の支配下に置く。 俺を生んだこの世界を...... そしてすべての者に俺と同じ思いをさせる......」
グラウニーは俺の襟首をつかむとその顔を近づけそう言った。
「復讐か...... 世界への、ただそうはさせない
「無駄なこと......」
俺の前に立っていたグラウニーは倒れた。
「なぜ、そこに俺の体が...... それは!?」
倒れたグラウニーの体にはモンスターの頭がくっついている。
「これはなんだ!!」
死んだモンスターの体についたグラウニーが叫んだ。
「お前の頭をモンスターとすげ替えた......」
「なっ!? くそ! 体が動かん!」
「切らなきゃ再生できないだろ。 死体の体じゃ動かせやしない」
「き、貴様!!」
「お前は弱かったんだ...... この世界で苦しんでも耐えて生きているものはいる」
「お前に何が......」
「わからないね...... お前が同じ境遇のものを苦しめたのも、その人たちの気持ちがわからないからだろう。 ディルセア」
「ええ」
「やめろ! やめろ! 俺はこの世界を...... こ...... わ...... す」
グラウニーの頭はその恨みの声を残したまま悲しみの形相で石になった。
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