第31話『選別の儀式』
俺たちは次の日、聖堂に向かった。
「ここは聖堂だ...... 許可なく立ち入ることはまかりならん」
そう門の前にいた白い鎧の男たちは槍をこちらに向ける。
「教主さまにお目通りいただきたい」
「ならん。 上級信者でも中に入るには許可が必要だ」
「いいのですか? 我々はAクラス冒険者のパーティーですよ」
そう言ってゼノフォスは冒険者カードを提示した。 それを見た門兵の顔色が変わる。
「少々お待ちください!」
一人が中へと慌てて走っていった。
しばらくして神官らしき人物と戻ってきた。
「失礼しました! 私は神官長【ボロウ】と申します! こちらにどうぞ冒険者さまがた」
そうにこにこと満面の笑みでボロウは中へと招いた。
(ゼノフォスの言った通りだな。 Aクラス冒険者の名前で簡単に入れた。 所詮権威にすがる者たちか、とても聖職者とは思えないな......)
俺たちはボロウの後を追い聖堂の中に入る。
「これは......」
聖堂内部は黄金の細工が施された豪華な内装で飾られ、そこかしこに宝石や陶器など価値のありそうなものが並べられている。
「悪趣味......」
吐き捨てるようにディルセアが小声で言う。
「さあ、こちらに教主の【ブガルガ】さまがお待ちです」
ボロウが言い、部屋にはいると、巨大なソファーに座る太った老人がいた。
「おお! Aクラス冒険者のカイトさま! お待ちしておりました! 教主のブガルガです!」
そうわざとらしく大きな声をあげ、握手してきた。 その太い指にはいくつもの金の指輪がはめられている。
「どうも......」
「信者だったとは、知らず申し訳ありません。 知っておればこちらにお招きしたのですが......」
「いえ、一信者ですので...... ですが私たちは外にいたので、この教団の修行のようなことはしておりませんが、なにやら力が授かると言われたのですが......」
「ああ、それは...... 冒険者はモンスターと命をかけ戦います、ゆえにそれは修行のようなもの...... 望まれるのであれば、ふさわしい力を授けようとは思っておるのですが......」
含むような言葉使いでこちらを見る。
「ええ、もちろん。 教団へと寄進は考えていました。 これをお納めください」
レンドとゼノフォスが木箱を置く。 その箱を開けると中から金貨の山が入っていた。
「ほおぉ! これは、これは! さすがにAクラス冒険者さま! これほどの善行を施されるならば、それなりの力がなくてはなりませんな! 順番がありますゆえ、数日ここに留まりくだされ!」
「はい、ではお願い致します」
俺たちは聖堂に泊まることを許された。
「結局は金ですか......」
レンドはため息をついた。 ゼノフォスは苦笑いしている。
「まあ、この悪趣味な建物からなんとなくそう思ってたけどね」
ディルセアは不快そうに言った。
「だが、潜り込むことには成功した。 あとはどうやって宝玉のありかを調べるかだ...... その前に与えられる力のことだ」
「ええ、ですが魔法を与えるのでしょうか......」
ゼノフォスが考え込む。
「全員に魔法を...... あり得ないな。 ひとつでもかなり高額だ。 いくら選抜するとはいえ、魔法を簡単には与えることなんてできないだろう」
「そうね......」
「でも中も信者がいますよ。 歩き回るわけには......」
レンドがそう言うと、ディルセアが話し始めた。
「ここまで歩いて来た所から推察するに、隠すなら地下にあるわ」
「どうしてそう思うんだよ」
「ここは古代の城跡でしょ。 私は古代の建築の知識もあるの。 こういう構造の建物を考えるに、あの中央の地下になにか隠してるはず...... 少しだけ床の模様にずれもあった。 多分塗り直したのね、新しい様式だったわ」
ディルセアは自信ありげに答えた。
「さすが学者、建築まで詳しいのですね」
ゼノフォスが感心する。
「......とはいえ確実にあるところを見つけないと、怪しまれるわ...... 空洞か素材の違いがわかればいいけど」
「それなら試してみる......
俺は持ってる短剣で右腕を金属にすると石壁に当てた。
(この力を使うと俺の記憶がかなり失うな...... だが)
「
俺は価値を調べるアプレイザルを拡張して、金属の腕で壁を伝う音の響きを感じると、その響きがアプレイザルかよって地下の存在を教えた。
「確かに奥の部屋の地下に大きな空洞がある...... この先の通路を挟んだ部屋から行けるようだ」
「やっぱりね」
「じゃあ、そこに宝玉が......」
「......決まりですね。 夜に向かいましょう」
ゼノフォスが言い、みんなうなづいた。
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