第27話『ドゥーラ王国の異変 ──アスモル遺跡の影──』

 俺はドゥーラ王国に来ていた。 そこは大きな山々が連なり、雄大な景色を見せていた。


「久しぶりだな...... 一人は」


 三人と別れて数週間、俺は馬車を乗り継いでこの国へと入っていた。


(これでよかった...... 今持っている二つのこの宝玉は危険すぎる代物だ。 関わらせると今までとは比べ物にならない危険があるはず...... 三人には安全に生きて欲しいからな)


 俺はそう思いながら、山道を歩き町へとたどり着いた。


「ここが【リューエ】と言う町か...... さて、残り一つの宝玉をどう探すか...... まずは冒険者ギルドへ行こうか」


 町を歩きながら様子を見ると、行き交う人々が沈んだ顔をしているのが見てとれた。


(なんだ...... いやに静かだな。 町の人たちの顔も暗い)


 冒険者ギルドを見つけ入ると、そこでは冒険者たちが集まり騒然としていた。


「どうする!」


「いや、どうしようもないだろう!」


「しかし、このままだと......」


(なんだ...... なにかもめているのか)


「あ、冒険者の方ですか」


 こちらに気づいた受付嬢がそう言っている。


「ああ、そうなんだけど、なんの騒ぎだ。 町の人たちもなにかおかしかったが......」


「実は...... ここ最近、モンスターが急増していまして......」


「最近...... ただ、それは他の国でも同じだったが」


「いえ、家畜や人々がモンスターへと変わる事例が起こっているんです」


「モンスター化...... そんな話聞いたことがないぞ」


「実はこの国では遥か昔あった国、バルグリア国で起こったと文献に記されているそうです」


 そう沈痛な表情で受付嬢は答える。


(バルグリア、四大国、まさか宝玉の力が関係してるのか......)


「その原因はわかっているのか?」


「......おそらく、かつての神殿だった遺跡ではないかと、何人もの冒険者が向かいました。 その中にはAクラスの冒険者も...... ただ皆帰らず混乱している状況です」


(Aクラスまでか...... なるほどそれで彼らは焦っていたのか)


「それは依頼があるのか」 


「まさか、行くおつもりですか! お止めください!」


「一応Aクラスなんだ」


 そういって冒険者カードをカウンターに出した。


「......ほ、本当だ! 失礼しました!」


 俺はその依頼を受け、【アスモル遺跡】へと向かうことにした。 



「なんだ...... このモンスターの多さ」


 俺は森の中に身を潜めて、モンスターが通るのを待った。 町の外はモンスターが多く跋扈ばっこしていた。


「確かに、おちおち外にも出られないな」


 そばには襲われたであろう馬車の残骸と馬の骨が散乱していた。


(さすがにこの数は異様だな...... なにが起こっている。 まさか宝玉が使われたのか......)


 俺はモンスターを避けながら、森を進むと、岩肌に神殿のようなものを見つけた。


「ここがアスモル遺跡か......」


 俺は中に入る。 入り口は狭かったが中は高い天井があり、大きな柱が何本も立っていた。 どうやら岩をくり貫き、細工を施したようなつくりだった。 そして汗ばむほどの熱気が漂う。


「暑いな...... ここは火山をくり貫いて作った神殿らしいが......」


 その時大型のモンスターを見つけ柱に隠れた。


(どうやら、モンスターが奥からやってくるのか...... 少しでも契約コントラクトを温存しておかないと、それに拡張スキル・エクスパンションで記憶を失うのはまずい......)


 先へと進むと部屋があった。 その広い部屋は祭壇のようで、天井には穴が開き空が見える。


(なにかいる......)


 そこには剣を持つ人影が見えた。 


(人...... いや違う!)


「グガガ......」


 こちらを振り返ると、それは肌が緑で剣を持つ、赤い目をした人型の爬虫類のような姿だった。


(なんだ!? 人じゃないモンスターか!? でも剣をもっている!)


 それは長い先のわかれた舌をチロチロと出すと、突然透けるように姿を消した。


「いない!? どこだ! まずい! 契約コントラクト!」


 キィンッ!


「グハッ」


 首に衝撃を受け俺は地面を転がった。


(攻撃!? 金属音! 剣! さっきのやつか! 首をとっさに金属に変えて斬られずにすんだ!)


 周囲を見るがどこにもその姿はない。 


(こいつ、姿を消すのか! どうする! 首を狙ってきた、と言うことは知能はあるのか! もうためらってる場合じゃない!)


契約コントラクト! 拡張スキル・エクスパンション!」


 ガキッ!!


 俺は体を金属に変えて攻撃を防ぐ。


(まずい! 防げても敵の位置がわからないと戦いようが......)


 キィィン! キィィン!! ガキィッ!!


 何度も攻撃を加えられる。 殴ろうとしても、拳が空をきる。


(それにこいつ戦い慣れしてる! 的確に急所に攻撃を加えてくる! モンスターなのに剣術でも学んだような動きだ!)


突風ガスト!!」


 そう声が響くと突風が起こり、壁に何かが当たる音がした。 振り替えるとそこにはレンドたちの姿があった。

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