第28話『アスモル遺跡の真相 』

「なぜここに!」


「カイトさん、今はそんなことは後です! 敵の情報を!」


 レンドが言う。 レンドたちは俺に駆け寄る。


「ああ、こいつは爬虫類のような人型で姿を消せる。 しかも剣術を使う」


「姿を消せる!? なんなのそれ!」


「取りあえず背を合わせよう」


 俺たちは背中を合わせて四方に目を向ける。


「静かに動く音があるはずだ...... 俺が一度防ぐからそこに攻撃を行ってくれ」


「ええ」


 皆がうなずく。 しばらく沈黙が続く、地面を這うような音が近づく。 それが加速する。


(来る!)


 俺は音のしたその前に飛び出す。


 ガキイィィン!


 虚空に金属音が響いた。


裂風ピアシングウィンド!」


光閃ライトスラッシュ!!」


 ガキッ!!


 風と光が轟くと固いものに当たる音がすると、モンスターが二人の剣撃で後ろに飛んだようだった。 


「固い!!」


「ああ、やつには鱗のようなものが体中にあった」


「見えない上に、斬れないですか...... 厄介ですね」


(あれは......)


「ディルセア、俺が合図したら俺に石化を頼む......」


「また...... わかったわ」


 何もない空間に這う音がしているが、警戒しているのか近づかず周囲を回っている。 


(よし、もう契約コントラクトが使える...... あとは)


 その時、地面の音が消えた。 そこにモンスターがうずくまっている。


「あれは!」


「ディルセア!」


 ──大地のうねりよ、そのものをとらえて、包み込め──

 

 俺の体が石化し始める。 そして俺は後ろを向く。

 

 ガキッ


 石化した体に剣が食い込む。 俺は見えないその体に触れた。


契約コントラクト! 拡張スキル・エクスパンション!!」


 俺の体が爬虫類の体に変わると、目の前に石像となったモンスターが現れる。 そして地面に落ちると砕け散った。


(くっ、二度も拡張スキル・エクスパンションを使った...... かなりの記憶が失ったようだ...... もうかつての世界のことをよくは思い出せない)


「それにしても、よくあれが飛んでくるとわかりましたね。 こちらの警戒を感じて、あんなことまでしたのに」


 ゼノフォスの見ている方向にモンスターの体がある。 どうやら殻だけのようだ。


「脱皮か...... これでこちらの注意を引いて後ろから襲ったのか」


「まあ、無駄だがな...... あれを」


 俺は地面を指差す。 そこには点々と血がついている。


「血ですか......」


「ああ、最初の二人の攻撃で傷ついていたんだろう。 それには気づかなかったみたいだな」


「なるほどそれは私も気づかなかったです。 しかし見たことがないモンスターだ。 ただこの剣はかなりのもの。 冒険者のものを奪ったのでしょうか」


 ゼノフォスが砕けたモンスターを見ている。


「あっ...... これって」


 ディルセアが声をあげると、そこに石になった冒険者カードが落ちていた。


「まさか......」


 レンドはこちらを見た。


「ああ、どうやら失踪したAクラス冒険者らしいな」


「なぜ、モンスターに」


「わからない......」


「......か、返せ......」


「なんだ......」


「カイトさん! あれ!」


 祭壇の上に丸々と太った人の顔をした小さな鳥のようなモンスターがいる。


「返せ...... 我の力......」


「なんだ」


「我の力を奪った...... 返せ」


「まさか、あれは」


 ディルセアは指を指した。 その鳥の首には何か紋章のようなものが彫られた金の輪がかかっている。


「あれはバルグリアの紋章よ......」 


 ディルセアがそうつぶやく。


「我の宝玉...... 返せ......」


「宝玉、まさか」


「ええ、多分、バルグリアの王、【ブラネスク】......」


「あのモンスターがブラネスク......」


 レンドは言葉を失っている。


「まさかヴェルザグにモンスターに変えられたのか」


「かもしれないわ」


「返せぇぇ!!」


 ブラネスクは口から黒い霧のようなものを出した。 それは飛んでいた蛾にあたると、蛾は巨大化し始める。


「モンスターに!」


「こいつがモンスターを作り出していた元凶か!」


「ここは俺が! 【渦風】《ストームウィンド》!!」


 レンドの放った風は渦となり巨大蛾とブラネスクを壁に飛ばした。


「やったか!」


「......いや」


「返せ......」


 つぶれたブラネスクは再生しながらよみがえる。


「死なないのか...... ディルセア、石化を」


「ええ」


 ディルセアが石化の魔法を放つ。


「我の力...... ち...... か...... ら」


 ブラネスクは悲しげな声をあげ、石に変わっていった。

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