第26話『反射の剣と石の掌』

「鬱陶しい...... 邪魔だ。 反射リフレクト......」


「うわぁ!!」


「ぐっ!!」


 リゼルダインの青い剣が光ると二人が弾かれた。


(やはり、ゼノフォスの読み通り、リゼルダインの遺物レリックの青い剣は反射か...... それなら物理的に倒すのは難しい)


 俺はファザードの下半身に触れる。


契約コントラクト、【骨掌】《ボーンハンド》!」

  

 右の掌を骨に変え、リゼルダインに向かう。


「それが、ガーランドの言っていた魔法とやらか...... 交換など無駄なことを、失せねば斬る!」


 リゼルダインは素早く剣を振り下ろしてくる。 俺は骨の左手で受ける。


「なに...... 切れない」


「ディルセア!!」


 ──大地のうねりよ、そのものをとらえて、包み込め──


 ディルセアの魔法で右腕が石化し始めた。 その右手で青い剣をつかむ。 


契約コントラクト拡張スキル・エクスパンション!」


「そんなもの、反射リフレクト...... なっ!」


 俺の左手に触れておいた青い剣はそのまま石化していき、反射されない。 


「くっ!」


(遅い!!)


 骨の拳で剣の石化部分を砕いて、その鎧を殴りつける。 


「ぐはぁっ!!」


 鎧がへこみ、リゼルダインは地面を転がった。 


「貴様......」


 その時、ファザードの腕が振られリゼルダインを弾くと、壁へと吹き飛んだ。 そのまま動かないリゼルダインに、ガーランドが駆け寄るのが見えた。


「......行くがよい、その宝玉がここから離れれば、我は消えるだろう...... 眠らせてくれ。 そして宝玉を封印してくれ」


 ファザードは懇願するように言った。


「......みんな」


 俺のもとにみんなが近づく。


「転移!」


 転移する瞬間、ファザードの体が光の粒子となって消えていくのか見えた。


 そして次の瞬間、俺たちは森の中にいた。


「よし...... 行くぞ」


 俺たちはその場から去った。



「なるほど、それでこれが運命の宝玉フォーチュン・オーブか...... 伝説を目の当たりにするとは......」


 ヒュライドが感慨深げに赤い宝玉を覗き込む。 あれから俺たちは図書館に戻ってきていた。


「あれは反射の青い剣を石に変えたんですね」


 ゼノフォスがうなづいて言った。


「ああ、普通の攻撃だと、ただ反射されるからな」


「それにしても無茶なことを、交換が失敗でもして、石化したままだったら、普通に斬られてたわよ!」


 ディルセアは腕を組んで不機嫌な顔をした。


「まあ一か八かだったが、ガーランドに見せたのは風の魔法を腕に変えたもの。 リゼルダインが契約コントラクトの性質を完全には把握できてないだろうからな。 ただあれで倒せたとは思えん......」


「ええ、強かった。 でもあとは、意志の宝玉ウィル・オーブと終焉の宝玉ヴェルム・オーブは一体どこにあるんですかね?」


 レンドは俺のほうを見ながら言った。


(そうだレンド、終焉の宝玉ヴェルム・オーブのことはまだ伏せておこう)


「......ふむ、そのファザードの話ではヴェルザグが支配した国に置いてある可能性が高いな」


 ヒュライドさんがそういうと、ディルセアはうなづく。


「そうなると...... かつての【リサーラ王国】、現在ゼアルード王国、【バルグリア国】、現在の【ドゥーラ王国】、そして【スリアム国】だった【バルジ教国】のどれかでしょうね」


「ゼアルードか厄介ですね......」


 ゼノフォスが眉をひそめる。


「そういえば隣国だったような......」


「ルードランドと敵対しているのに、そんなことも知らないの?」


「カイトさんは、ゼアルードに属そうとするディセンタを倒してこの国を救った英雄だぞ!」


 そうレンドはディルセアに腹立たしげに言った。


「......本当かしら」


 ディルセアは半信半疑という顔をしている。


「本当ですよ。 我が姉イオリシアを助け、ディセンタの悪事を露呈させたんですよ」


 ゼノフォスがいうと、ディルセアが片眉をあげる。


「まあ、いいわ、今は信じておいてあげる」


「ゼアルードは置いておいて、俺はドゥーラとバルジに向かう」


「そうですね。 ドゥーラが近いので向かいましょう」


「わかったわ」


「わかりました」


(いや、これからはかなり危険になる...... リゼルダインに手の内を見せた。 ディルセアとレンドは......) 


「レンド、ディルセア、これを......」


 俺は遺物レリックの鍵を売り、ディルセアに文献とレンドにお金を渡した。


「えっ...... カイトさん、これは」


「......なんのつもり」


 レンドは困惑し、ディルセアは不快そうな顔をした。


「これ以上はお前たちは行かない方がいい。 ゼノフォスは王子だろ。 ディルセアは研究があるだろうし、レンドも他の生き方を探せ」


「............」


「そんな!」


「......ふざけてんの。 今まで命だってかけた、それなのに......」


「正直、リゼルダインやガーランドは俺たちで戦えるかわからない。 あの強さはモンスターの比じゃない...... お前たちはそこまで命を懸ける必要はない」


「確かに、私には王家としての責務はありますが......」


 ゼノフォスはそう真剣に聞いている。


「俺はカイトさんに......」


 レンドは金の入った袋を握り言葉を失う。 俺は胸が痛む。


「私は知りたいの...... この先に何があるのか。 宝玉の謎、ヴェルザグ、ブレンバルトにもつながるはず!」


 ディルセアは語気を強めそう言った。


「死んでもか」


「それは......」


 ディルセアは躊躇ちゅうちょした。


「研究ならここでもできる。 必要なものは俺が提供する。 これ以上の宝玉への接近は死ぬ可能性がある。 三人には死んでほしくないんだ」 


 そう三人をおいて俺は一人ドゥーラに向かうことにした。

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