第25話『騎士王の記憶と青き剣』

 俺たちはスケルトンを拘束した。


「ですが、このままだと再生しますよ」 


 レンドは怯えながら、スケルトンを見ている。


「いや多分しない......」


「なぜですか? 確かに再生はしていないようですが......」


 ゼノフォスは首をかしげる。


「この神殿には結界が張られているんだろ。 だから外に背骨を転移した」


「転移...... 転移の指輪ですか!」


 レンドは気がついたようだ。


「なるほどね。 結界の外に飛ばしたら消滅か、おそらく再生はしないわね」


 そうディルセアはうなづく。


「あとは、俺が少しずつ転移していく。 レンド、あの宝玉を取ってきてくれ」


「はい!」

 

「やめろ...... それを奪うな」


 スケルトンがそう言った。


「すまないが、あれを悪用するものがいる。 だから安全な場所に移すんだ。 お前はもう死んでいる安らかに眠れ」


「悪用...... 私が死んでいる......」


 スケルトンが言葉につまる。


「......そうか、私は死すらもやつに奪われたのか......」


「やつ?」


 ディルセアが言う。


「そうだ...... 全て思い出した。 我は宝玉、わが国、民すら全て奪われ、さらに我らをアンデッドとされた......」


「誰がそんなことを?」


「わからぬ...... だがフードをかぶり実だ命令と称していた......」


(どうやら敵意はなくなったな。 体の一部が結界を越えたからか......)


「ディルセアこの拘束を解いてくれ」


「わかったわ」


 ディルセアは石を戻しスケルトンの拘束を解いた。


「それで宝玉はなぜここにある。 なぜ守っていた」


「かつて大国を倒してその時手に入れた。 しかし危険なものだと感じて封じたが、何者かが我を殺し、その守護とした」

 

「ここにあった...... あなたは何者なの?」


「......我はファザード・バスタール」


「【騎士王】か!」


「知ってるのかゼノフォス」


「バスタール王国の王として、名君だったといわれていた剣の達人です」


「バスタールって! あの試験の遺跡ですか!?」


「ああ、みたいだな。 それで番人のようにつかわれたのか」


「......ああ、そうだ。 だが、なんとか意識を取り戻せた」


「呪縛を跳ね返すなんてすごい精神力ね」


「......お前たちのお主たちその宝玉をいかにするつもりだ」


「今これを狙っている者たちがいる。 そいつらは何かを企んでいる。 それを阻止するために、さがしに来た」


「......嘘ではないか。 お前たちからは邪悪な感じがしない。 いいだろう持っていけ、そして封印してくれ。 私では壊せなかった」


「ああ。 誰か来る......」


 カツカツと足音が響く、部屋の前に、試験のときの鎧の男たち、リゼルダインとガーランドがいた。


「どういうことだ? なぜここに人がいる」


「お前たちはあの時の、どうやら警告を聞かなかったのだな......」


 リゼルダインは冷たい目でこちらを見た。


「こやつらがお前たちの言っていた者か......」


 ファザードがそう聞いた。


「ああ」


「なれば......」


 ファザードが上半身を動かし、その巨大な腕でリゼルダインたちに振り下ろされた。 衝撃と土煙が舞う。


「やりましたよ!」


「いや......」


 ファザードの掌の上に二人はいる。 どうやらかわしていたらしい。


「この者たち...... 並みの使い手ではない。 お前たち早くここを出ろ...... 私がここを抑える」


 ファザードが両腕で二人を攻撃している。


「転移の指輪」


 俺たちはその場から転移しようとした。


 ──この世界の理よ、それを破る、愚か者どもの企みを阻止せよ──


「なんだ...... 発動しない」


「どうやら、リゼルダインとやらが、その効果を阻害しているようです...... やるしかありませんね」

 

 ゼノフォスとレンドが剣を構えた。


「どうするリゼルダイン」


「貴様は骨と戯れていろ」


 リゼルダインはその剣を抜いた。 青い剣身が鈍く光る。


 ゼノフォスたちとリゼルダインが交錯する。


 キィィィン!!


 金属音が神殿内部に響く。 ゼノフォスたちは切りあっている。 戦いながらリゼルダインはこちらに意識も向けていた。


「銀髪のあいつ、あの二人を相手に全く押されていないわ」


「ああ、かなりの使い手だ。 ガーランドが参戦する前に、あいつを排除して転移しよう。 隙を見つける」


(インターバルは終わっているが、契約コンストラクトのことはガーランドから聞いているはず...... その上、あいつの間合いに割って入れば切られる。 どうする、記憶を失ったとしても何を交換する......) 


 その時、視界にファザードの下半身が見えた。


「やるしかないか...... ディルセア、合図したら俺に向けて石化の魔法をかけてくれ」


 そう言って俺は走った。


 

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