第19話『刺客の刃と終焉の宝玉』

 更に深い階層に進む。 その間もモンスターが現れそれらを倒していった。 ただ階層を進むにつれモンスターの強さが増している。


「モンスターが更に強くなっているな」


「ええ...... かなり」


 レンドが肩で息をしている。 体力だけじゃなく、魔法や魔法剣は使う度に精神力を消費するらしい。 


(さっき指輪を使ったとき、かなりの疲労感があったからな。 剣をふるうのと同時に魔法使用だから、レンドの負担は大きい)


 そこで少し休憩を挟む。 


「うまい!! これなんすか!」


「カレーだよ」


「聞いたことないすね...... それにしてもそのオールバンクって魔法すごいっすね! なんでも出てくる!」


 レトルトのカレーをうまそうに食いながらレンドはそう言った。


「まあな。 それで精神の方は大丈夫か」


「ええ、休憩したので...... それにしても刺客はなぜ襲ってくるんですかね」


「わからないな。 かなりの使い手らしいが、ギルドの弱体化か。 それとももっと別に理由かあるのかもな......」


「そうですね...... でも、さっきの変な隠し部屋で手に入れたのなんすか」


「ああ、あれか」


 俺たちはある壁にあった仕掛けから、隠し部屋を見つけた。 そこは青く透明な手のひらに乗るくらいの球体を見つけた。


(とても、念入りに隠してたな。 ただ後から壁を埋めるようにしてたから、取りに戻るつもりはなかったのか)


遺物レリックか。 アプレイザル」


 アプレイザルで詳細な情報を調べた。


「【終焉の宝玉】《ヴェルム・オーブ》」


 価値 100兆


(なっ! 価値が100兆だと!)


(これを売れば帰れる! ただこんな高額なもの、さすがにおかしい...... なんなんだこれは......)


「高いんすか?」


「ああ高いなんてもんじゃ......」  


 その時、異様な空気を感じた。 それはモンスターが俺たちに向ける殺意に似ていた。


「カイトさん......」


「ああ、どうやら向こうからやってきた...... レンド気を付けろ」


「はい......」


 俺は短剣を抜く。


 暗がりから10人ほど黒装束の人物が音もなくそこにいた。 


「何者だ......」


 黒装束たちは答えず、両腕から刃をだして数人こちらに迫る。


「今だ!」


「【渦風】《ストームウィンド》」


 レンドが剣をふるうと、風が渦を巻き黒装束が吹き飛んだ。 そのすきに左右から更に数人走りよる。


(仲間が倒れても無視かよ!)


契約コントラクト、【鋼指】《メタルフィンガー》」


 金属と化した指で、相手の刃を防ぎ、相手の腹を蹴り上げた。


「ぐっ......」


 くぐもった声を一人があげる。 レンドも他の黒装束と切り結んでいる。


(一人一人が強いし数が多い! しかも後ろの数人のやつがなにもしていない...... こちらが疲弊するのを待っているのか!)


 俺は4人殴りつけ倒した。 レンドも2人程倒していた。


(風で倒れた2人と、残りは2人、ただ他の奴らとあの2人違うな...... 転移の指輪で奴らか俺たちをとばすか...... いや、少し情報が欲しい) 


「どうやら...... 並の冒険者じゃないな」

 

「ああ、Aクラスに匹敵する。 だがそれだけだ......」


 そんな風に話している。 余裕を感じる。


「なめるなよ! 【渦風】《ストームウィンド》!!」


 風が渦を巻いて2人に向かう。 


 大柄なごつい黒装束の1人が背負っていた大剣をふるうと、風はかき消えた。


「なっ......!」


(風を切ったのか...... 魔法剣か......)


「ここは任せた、俺は先に行く......」


「ああ」


 小さいほうの黒装束は奥へと進んでいった。


「ずいぶんなめられてるな。 1人でやれるとでも」


「問題ない......」


 淡々と大柄な黒装束はそう答えた。


「お前たちの目的はなんだ......」


「いう必要はない......」


 そう言うと、黒装束はその大柄な体とは思えないスピードで目の前まで迫る。 


「おりゃ!」


 レンドが剣を出したが、それを弾いた。


 ガキィィンッ!! 


「ぐっ!!」


 俺は剣をふせいだが、後ろに弾かれた。


(両指金属でこの衝撃かよ! !!)


 目の前にもう剣を振り上げる黒装束がいた。


「カイトさん! 【突風】《ガスト》!!」


契約コントラクト拡張スキル・エクスパンション! 【突風腕】《ガストアーム》!!」


 放たれた風を腕にして黒装束に放った。


 ドオオオンッ


 黒装束が壁に吹き飛び、土煙があがった。


「やりました!」


「いや、まだだ......」


 黒装束は壊れた壁から立ち上がる。 黒装束が破れ、中から全身鎧の男が立っていた。


「あれは!?」


「ああ、どうやら遺物レリックだな。 いくら鍛錬しても、人間があんな速さで動けるわけがない」


「その通り...... これは【天羽の鎧】《フェーザーメイル》、遺物レリックだ......」


 そう言うと鎧の男は大剣を担ぎこちらに歩いてくる。

 

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