第20話『青き球体と銀髪の脅威』

「どうやら、お前らの狙いは遺物レリックのようだな。 だがそれ以上近づけば、遺物レリックを消し去る」


 そう言うと、俺は刺客の落とした刃を拾い、目の前で売り払って消して見せた。


「手品...... ではなさそうだな。 どんな魔法かはしらんが遺物レリックを消し去るのはやめろ。 この世界の平穏が崩れるぞ」 


「世界の平穏......」 


「我々が必要としているのは遺物レリックだけだ。 透明な球体だ。 貴様ら冒険者などに興味はない......」  


(嘘ではなさそうだが......)


「......それで、抵抗せず渡すと思うか」 


「それはお前たちが必要とするものではない。 我らの目的のものなら必要な金を渡そう」  


「冒険者をやったのはお前らだろ。 それを信じるとでも」 


「騙そうとした上、こちらが金を持ってると知ったとたんに襲ってきたからな。  まあ、結局はただの価値のない遺物レリックだったが......」 


(やつらが欲しいのは遺物レリックなのは間違いないな。 ここは......) 


「......俺が欲しいのは100万の白金貨だ」


「か、カイトさん!?」


「......目当てのものなら払おう。 まずはその遺物レリックを見せろ」


 鎧の男はゆっくり離れた。 間合いをとることでこちらに警戒させないつもりらしい。


(なぜそこまで、この玉を欲しがる...... 何か嫌な予感がする)


「これだ......」


 俺は最初に手に入れた鍵を見せた。


「確かに遺物レリックのようだが...... それは我らの欲しているものとは違うな」


 落胆したように鎧の男は言うと、踵を返し黒装束のそばに寄る。 すると黒装束たちの姿が消えた。


(奴らも転移の指輪のようなものを持っているのか)


 鎧の男は奥へと向かっていった。


「なんすか。 あの鎧、あいつの欲しがってたのあの玉ですよね。 しかも100万白金貨を払うなんて......」


 レンドは首をかしげる。


「ああ、絶対にヤバイものだな。 渡すと何かよくない感じがする」


「ええ、確かに...... それでどうします」


「あいつらに持ってることはばれてない。 もう襲われないが......」


 奥からすごい音が聞こえる。


「これは!?」


「戦っているのか。 ゼノフォスか! 行くぞ」


 俺たちは奥へと向かった。



 そこでは巨大なサイのようなモンスターとゼノフォスたちが倒れていた。 その前に鎧の男と、もう一人鎧と剣を持つ銀髪の男がいた。


(先にいったあいつか! あの)


「どうした【ガーランド】、なぜそいつらが生きている」


 銀髪の男はこちらを冷たい目で見ている。


「【リゼルダイン】こいつらは持っていなかった。 持っていたのは鍵だ」


「ちっ...... ここははずれのようだな。 おい、冒険者、今後ダンジョンに入るのはやめろ。 次は見つけ次第殺す」


 そう射るような目を向けると、銀髪の男リゼルダインと鎧の男──ガーランドは姿を消した。


(何者だ...... あの玉を探しているのか。 ただ渡してはいけないと俺の勘がいっている)


「ゼノフォスは......」


「気絶してるようですけど、息はあります」


 レンドがほっとしたような顔でいった。


 俺たちは転移の指輪で地上に戻った。



「......すまない助かりました」


 ゼノフォスがそう言った。 俺たちが地上に帰ると、Aクラスの合格が言い渡された。 そこにはあの銀髪の男はいなかった。


「かまわない。 それであの銀髪は? 確かリゼルダインと言っていた」


「......ええ、途方もない強さだった。 ダンジョンマスターと戦い疲弊したとはいえ、あの銀髪の男の剣も遺物レリックだったのでしょう。 攻撃を弾かれ、なす術もなかった......」


 そう肩を落とす。


(このゼノフォスがなす術もない...... か。 確かリゼルダインとか言っていたな)


「まあ、万全ならもう少し戦えたとは思うますが...... それであいつの目的は遺物レリックだったのですね」


「ああ、そう言っていた。 青い手のひらに乗るような透明な球体だそうだ。 俺たちは持っていなかったから助かった」


「青い球体...... 私の剣を持っていかなかったからおかしいとは思っていたが......」


(戦っていたら、レンドとの連携を使ってもガーランドとよくて相討ち、あのリゼルダインとは戦えたかどうか......)


「ダンジョンには入るな...... か」


「カイト君、私を君たちと同行させてもらえないですか」


「なぜだ」


「当然リベンジのためです。 負けっぱなしは性にあわない。 それに仲間たちは当分動けないんですよ」


(確かにゼノフォスがいればかなりの戦力になる)


「まあ、レンドに聞いてみてから......」


「それで彼は?」


 その時、宿のドアがあいた。


「カイトさん! やっぱりあいつ、逃げてました!」


「あいつ?」


「ほらダンジョンで冒険者を狙っていた【ブラム】という男です! 仲間を見捨てて一人だけ姿を消したんですよ!」


 憤慨したようにレンドは腕を組む。


「まあ、ギルドが追うだろう。 それよりゼノフォスが仲間になりたいんだと」


「へ?」


 レンドは微笑むゼノフォスを見て呆気にとられていた。



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