第18話『刺客の影と光の剣』
「あいつら、ちゃんとギルドに報告しますよね」
レンドはそう聞いてきた。
「どうかな......」
「えっ?」
「俺たちがここで死ねば、追われることもない。 逃げてる可能性が高いと思う」
「じゃあなんで逃がしたんですか!」
「お前は、あのままあいつらを見殺しにできるか?」
「そ、それは......」
「あんな奴らのために罪悪感を持つのもごめんだしな。 あとでギルドに追わせればいいだろ」
「でも、それじゃ先に殺された冒険者が無念でしょう......」
「ここで死んでた人たちは奴らの手口じゃない」
「えっ? どうして?」
「金目あてなのに、死んだ冒険者の持ち物を物色したあとがなかったからな」
「確かに...... じゃあ、誰が......」
「わからないが、まだ冒険者を狙うやつはいるってことだ」
レンドは周囲を見回している。
(これがギルドの弱体化を狙うものたちの仕業か、それとも......)
奥の暗闇がより一層不気味に感じる。
「かなり深く降りましたね」
俺たちは十数階層降りた。 その途中、他の冒険者パーティーも疲弊して、引き返すものが多くいた。
「残りは数パーティーってとこか」
「ここまで見つけたものは、ほとんど美術品みたいなものですね」
「ああ、ただ売れたからかなりの額にはなった。 これが終わったら、別の仕事をするか生きることができるぞ」
「......その話ですか」
前から俺はレンドにそう伝えていた。
「この仕事はリターンとリスクが大きすぎる。 ほとんど最後は依頼中に死ぬといわれているだろう。 さっきの奴らも、それがあるから端的に金を得たがったわけだしな」
「......それは、そうですけど、俺はそれを覚悟であなたについてきた......」
「だが、やはり俺はお前には死んでほしくない...... この試験が終わったら、生き方を変えないか」
「もう少し考えさせてください......」
レンドはそう考えるように答えた。
「ああ、帰れたらの話だ」
俺たちは先を進む。
「うわあああ!!」
そう悲鳴が聞こえた。 俺たちはそこに向かう。
そこでは人より何倍もの巨大な赤いサソリが、冒険者の一人をそのハサミでつかんでいた。
「レンド!」
「はい! 【列風】《ピアシングウィンド》!」
切り裂くような風が赤いサソリのハサミに当たる。 切れはしなかったが、捕まっていた冒険者の男は落ちた。 仲間たちは男を担ぎ上げこちらに走ってきた。
「た、助かった!」
「ああ、もう疲れてるようだ。 俺たちがここを押さえるから、お前たちは脱出しろ」
「あ、ああ」
ボロボロの冒険者たちはそのまま去っていった。
「で、でも、俺の一番威力のある風でも無傷ですよ!」
「ああ、あの、甲殻は容易には切れないな」
その時、一筋の光がサソリに向かい、その固いハサミを両断した。
「ええ!! あの固いハサミが簡単に切られた!」
「あれは......」
光が収まると、そこにいたのはゼノフォスだった。
「待ってくださいゼノフォス!」
後ろからパーティーのメンバーがやって来た。
「君たちは見ていてください」
そう微笑むとゼノフォスは襲いくるサソリを光る剣で一閃した。
「す、すごい、あれを一太刀でなんて!!」
「ああ、さすがに強いな」
(あれは魔法剣か、それか魔法なのか......)
「やあ、カイト君、やはり君たちはここまでこれたのですね」
「なんとかだがな」
「謙遜を、まだ実力を出しきってはいないでしょう」
「それはお互い様だろ」
「ふふっ、そうですね。 それより......」
微笑みを絶やさない、ゼノフォスが真剣な顔をした。
「カイト君じゃないてすよね。 刺客......」
その整った顔の冷たい瞳がこちらを見据えた。 その手は剣の柄にある。 俺も短剣に手を掛けていた。
「......それはお前じゃないのかゼノフォス」
しばしの沈黙があった。 その時、ふっとゼノフォスは微笑む。
「いや、たぶん君じゃないですね。 すみません、どうやら数パーティーが毒牙にかけられていたようでね。 疑い深くなってるんですよ」
そう言って柄から手を離した。
(こいつじゃないのか......)
「殺してる奴らは何が目的なんだ......」
「わからないですね。 ただ、かなりの使い手だ。 君も気をつけた方がいい」
そう言うと微笑んで仲間と共に先に進んでいった。
「......刺客、あいつじゃないんですか」
「まだ確定とはいかないな...... ここからはさらに慎重にいこう。」
「で、でも、もしあのゼノフォスって人だったらとても敵わない......」
「大丈夫だ。 風の魔法剣も扱えてるし、自信をもて。 俺との連携もある。 最悪、転移の指輪で脱出できるしな」
「わ、わかりました」
(とはいったものの。 ゼノフォスが刺客の可能性もある...... もしそうなら戦うのはかなり厳しい。 違うのなら、何者がなんの目的で、冒険者を襲っているんだ......)
歩く先の暗い通路が果てしない闇に包まれているように俺は感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます