第六章

第六章 波間へと……


「エルディア……?ねぇ?エルディア?」

 真っ青になって急に動かなくなったエルディアに ティリンが すがっていた

「バレンタイン様!これって?」

「感応力です!呼ばれてらっしゃるのでしょう」


「おい……お前ら!」


 どこか遠くで聞いた声

「だ……れ?だっけ?」

 不意に時計塔が 逆に回転し始める

 そして 0時で静止 ごーんごーん……

 どこかで鐘が鳴っている

 遠く遠く?

 エルディア!

 皆の悲鳴を聴きながら

 エルディアは 時の指間をこぼれていった



「おい!チビ起きろ!こんなとこで寝ると風邪ひくぞ!」

 エルディアは 岩礁の上で寝ていた

 塩が満ちてきていて 波がつま先を あらっている

 声をかけたのは 金の髪に緑の瞳の青年

「ど……とチビじゃないやい!」

「ただチビっていっただけだろ!」

 青年が頭をかく

 その仕草どこかで?

「なあお前?」

「エルディア……」

「え……?」

「お前じゃないエルディア!」

 青年はちょっと考えたふうで

「お前には名乗ってやるよ太陽王が

 一子ライトだ!覚えておけ」

 つん……と 横をむく

 え……もしかして太陽王3世のお世継ぎの ライト?

 エルディアが 岩場をとんとんと 渡ってくる

「ほ……他に誰がいる?」

「王子さまね」

その風体は あそびまわって 泥だらけの青年

 お前あれだろ!いいとこのボンボンだろ!

「?」

 お爺様にしちゃお口が悪い……

 な!いい店あるんだいこうぜ!

 ライトがエルディアの 肩を抱く

「俺を見て最初に名乗ったのは……お前が初めてだ 仲間にしてやる」


「おい……お前ら!俺も仲間に入れろ」


 暗紫の髪 紫の 瞳の 耳のとがった青年

「名は?」

 ライトが問うた

「名乗れない……」

「あっそ!別の探しな……」

「あ……あの」

 エルディアは流石にすげないとおもったのか

 振り返った

 月影カフェいくんだよ

 来る?

「……か……ねーよ……」

「ん……?」

「んな……女みたいなとこ行かねーよ!」

 青年がかけ去った

「ああゆーのが 増えてさ」

 ライトが エルディアに言った

「父さんさ 帝王学その5だとか……気品が……とか うるせーんだ」

 きーーーーーーーん

 どこかで 水晶で音叉を打つような

 音がしていた

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