第五章

 第五章 満ち欠けロマンス


 ルナマーレが 夕闇に染まる頃

 エルディアとティリンは 月影の聖堂にきていた

「手なんかつないじゃってぇ!」

 タクトが クルクル回る

 よっ!ご両人

 月が聖堂をかがやかせることろ

 エルディアは そっとティリンに三日月のネックレスをささげた

「綺麗」

 ティリンは はたはたと泣きはじめる

 そのネックレスの水晶が 月光に煌めき エルディアの額を照らした

 エルディアが ふとうかんだのは 波間の 底……

 月光にてらされた

 海底の 時計塔

「これ……」

ん……

 少し考えているエルディアの 唇に甘い唇が おしあてられた

「ティ……ティリン」

「えへへ」

 ゆでだこみたいな2人

 ……ティリン?

「なに?」

 僕のどこがいいのさ……

 胸が痛い問いだった

 王位継承権者だから?

 そ……それとも

 つぅ……

 エルディアの頬を涙が伝う

 バカね……エルディア

 う……ずびずび

 鼻水がたれてきた

「エルディアがいいの!わかる?ね?」

  エルディアはティリンに抱きついた

「本当に?」

「本当!本当に!本当」

 エルディア 背が高くなった

 ティリンの頭が すっぽりと 包まれる

「ティリン!僕 二重人格なのかな?」

 エルディアは ティリンの

 髪に額をおしつけた

「大丈夫!エルディア!!」

ティリンのくちびるが エルディアの耳をくすぐる

「エルディアが好き 日没だろうが!笑劇だろうが大好き!」

 そしてエルディアの額にキスした

「ティ……リン」

 エルディアが ティリンを 抱きしめ言う

「僕でいいの?」

「「あんた」がいいの!」

 つ……

 エルディアがティリンの唇に 唇をおとした

「結婚してくれますか?」

「エルディア?」

 エルディアが 小さなブルームーンストーンの指輪をさしだした

「何だろ ずっと前から決めてた気がする」

 ……エルディア……

 と……ぱちぱち……と 拍手

 振り返れば クレハにバレンタイン ロイ

「よっ妻帯者」

 う……うわーーん

 涙目エルディア

 ティリンは 嬉しそうに 指にはめた

 と……どくん……

 エルディアの 体を何かが駆け抜けた

 水底深く眠る時計塔

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