第四章

第四章 恋人の聖地……


「なーなー!」

 ロイがエルディアの 袖をひいた

 ここはルナマーレ……太陽が輝いている

「ここだろ?太陽王様とシャリー様の新婚旅行だったとこって!」

 ロイはくっついて離れない

「すげーなー真っ白な町だな!」

 ロイ君 よっぽど珍しいらしい

「ほら……みろ!あそこ可愛いなあ!クレハちゃん!」

 クレハは バレンタインの 手をグイグイとひいて

 次あっち!次こっちと あるきまわっている

 エルディアが 顔を覆った

「なー……」

 ごんっ!

 抱きつかんばかりに 擦り付くロイの 頭にゲンコツ

「僕らの 邪魔!なんでパートナーみつけないんだよ!」

「いいじゃんかー!」

 ファイア!

 あちちち!

 ティリンの 魔法がロイの おしりを焼いた

 ティリン……金の髪を 巻いて 唇には 花の蜜色の口紅

 爪には 桜色の マニキュア

「き……」

 エルディアはティリンをみて固まってしまう

「き……?」

 小首をかしげると 金の髪が風に香った

「綺麗だ」

 ぼ……

 ティリンに真っ赤になられて エルディアあたふた

「ん……と……あ……ありがと」

 妙に……妙に ときめいて エルディアの手に汗がにじんだ

「手……つなご……」

 手汗を 知ってか知らずか ティリンが エルディアの 手を取る

「綺麗ね……」

 カモメが 青い空を 行く

「クッキー屋さん!」

 ぽふ……タクトが顔を出す

「エルディア……アーモンドクッキーよろしく」

「ふ……」

 エルディアが ルナマーレ名物の アーモンドクッキーを タクトにあげていると ティリンが エルディアの 横顔にみとれていた

「ティリンおいで……」

 オレンジピールの クッキーを ティリンに渡す

「好きだろう?」

「す……すき!」

 単語に真っ赤になるティリン

「すき……よ……あの……その エルディア」

「ん……………………?」

 イマイチうといエルディアくん

 この場合

 告白だろーが!

 タクトが つんのめった

「バレンタインさまー」

 クレハったら

 ティリンが顔を上げた

「あーあ!色男……バレンタインもかたなしだな」

 笑わないでくださいよ!

 ルナマーレの青空に バレンタインの声が悲しく響き渡ったのであった

 

 

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