20251201

くたくたの身を引きずって電車に乗り込む。

車内は満席。席からあふれた乗客たちは吊り革に沿うように並び、まるでおしはかったかのように車窓を向いている。

やがて発車ベルと共に扉が閉じ、電車は走りだす。ガタンゴト、ガタンゴト。規則正しく車体が揺れる。時折、上り方面の電車がうなるような叫びを残して、走る電車の横を通り過ぎていく。

車内に響くのは軽やかな日本語のおしゃべり、ひっそりと交わされる英語の会話、誰かのスマートフォンから漏れでる流行の曲。

各駅停車の電車は駅に着くたび、律儀にドアを開く。乗り込む人や降りる人がいようといまいと関係ない。

やがて乗り換え駅にたどり着く。すると乗客たちは待ちわびたようにドアへ向かい、ホームに降りる。

銀色の箱が次々に人々を吐き出す。残された人々はシートにゆったりと腰を下ろす。

ドアが閉まる。寂しくなった車内を窓越しに晒しながら、電車は走りだす。

ガタンゴト、ガタンゴト、と遠ざかる音をホームに響かせながら。

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