第15話 世はまさに、大世紀末時代!

さあ、戦いだ!(cv政宗)


この世界は例によって、中世ナーロッパ。


それも、群雄割拠の戦国乱世だ。


……なんか、ファンタジー世界って乱世ばっかりじゃない?と思うかもしれないが、ゲーム世界なんだから治安が乱れているのは当然じゃない?


そりゃ俺もできることならみるくふぁくとりーの世界に転生しておっぱい揉みまくりたかったよ?でも、そうはならなかった、ならなかったんだよ。


それにホラ、あれだよ。


戦国乱世じゃないと本編主人公みたいな訳の分からん奴が成り上がる余地ねーんだわね。


これが現代日本くらい安定しててみ?……まあ、武力で王様にはなれねえよな?安定してるもん、政権を取りたいんなら選挙で勝つしかない。地下鉄にサリンをばら撒いたって、国の王様になんてなれやしない。


でも、この世界は逆。


乱れているから、民衆共は強い存在を望む。


こんな世の中だ、民衆共は誰もが、理不尽に奪われて蹂躙された経験がある。もしくは、それを知っている。


だから、自分達を守る「強い」支配者を望むんだよ。


結局、支配者側が望む望まないに関係なく、支配者の「属性」ってのは民衆が決めるんだよなあ。


現代日本なら、まあ人によって様々だろうが、基本的には「手取り額面を増やしてくれる総理大臣」をみんなが望む。


戦国乱世ならば、「村を焼かれないように守ってくれる戦上手な領主様」を。


そして民衆が望んだから、そんな感じの支配者が上に立てる。そういうもんだよ、政治ってのは。


だがそれにしたって、この世界は野蛮だ。


言っちまえば、喧嘩で勝ったら偉くなれる世界だぞ?よろしい訳がない、全てにおいて。


無論、ゲーム的な都合があるのだろう。


ストラテジーゲームだもんな?戦争をやるのがメインのゲームだ。


ストーリーの都合もあるし……、純粋に、「世が乱れるのも当然では?」みたいな腐りっぷりが各所に見える国であるのもなあ。


マジで今、後漢末期みたいな感じだからさ……。だから劉備みたいなポジションの主人公が湧いて、デカくなる訳で。


まあ俺は学がないんで、三国志は横山版と恋姫とSDのことしか知らんが……、この世界の宮廷は全員十常侍だし、領主は何進とか董卓とかばっかりという感覚。


こうなったらもう、曹操になって赤壁で勝つしかないんだよね。まあ曹操はダブルエックスだし大丈夫だろう。ウチにはトールギス……いや、呂布ポジションの武将もいることだし。


とにかくそんな訳だから、この辺境で多少ドンパチしても、中央は何も言わないだろうよ。あいつ等は賄賂の要求しかしねえ。カスだよマジで。


……あーあ、どっかにBF団の方の孔明とか落ちてねえもんかな?




「……という訳で、我が主人、スターライト子爵は、ワルバッド辺境伯を説得するおつもりです。ダークエルフ共と手を切るのであれば、全面的に謝罪し、軍を引くとも」


「ふむ……、使者殿のお話はよーく分かった。返答に手紙を認めるが故、一晩お待ちくだされ」


はい。


俺は、柄にもなく愛想笑いを浮かべて、あちら側の使者を適当にもてなした。


いやァ、マジで舐め腐ってんな。正義厨はこれだから。


ここで俺が話し合いに応じたら、他の奴らも「軍隊を並べれば、コイツとは有利に交渉できちゃうんだな!」と思われるようになる訳だろ?だから俺に退くって選択肢はない。


その辺り考えてないのか、考えられないのかは分からんが……、「正義」って言っときゃ何やっても許されると思っている。


俺と同じ穴の狢、おんなじカスの分際で、掲げている看板が「正義」なら何やっても許されちゃうんだもんな。


暴力チラつかせて要求通そうとしてんだからカスだよ、カスカスカス。俺とおんなじカス野郎確定だゾ♡


最も聖なるナイスガイは、右頬を殴られたら左頬を差し出す。ホンモノの聖者、正義ってのはそういうもんさ。或いは月光菩薩の化身か?憎むな殺すな赦しましょう……ってなもんだ。


それができずに力に力で対抗している時点でカスだよ。何をどう言い繕ってもな。


まあもちろん、説得したとて俺のような悪人が聞き入れる訳はない。所詮は綺麗事だ。


だが、本当の意味での正義とは、己の死をも厭わずに、その「綺麗事」を貫き通すことのはず。暴力を振るわれた「程度」で、暴力でやり返すような野蛮人が、正義なんて言葉を掲げちゃあダメだよ。


「ご主人様、どうなさるのですか?もしや、使者を留めおきながら、敵軍に奇襲などという……」


「やらんやらん!そんなことしたら、俺が『悪者』になっちゃうだろォん?」


「既に悪者かと存じますが」


「まあそれはそう。……でも、今回は違うぞ?今回は、相手も『悪者』だからな」


「ええと……?失礼します、仰っている意味が……?」


「そろそろ来るかな」


その時、俺の屋敷に、伝令らしいお兄さんが走り込んでくる。


「伝令!伝令ーーーッ!!!先ほど、スターライト子爵家の兵が、ワルバッド領ヌスッタ村に侵攻!村人を虐殺し、畑に火を!!!」


ほーら、来た来た♡


「ンッンー!こーれはよくない!よくありませんなあ!まさか、スターライト子爵家の目的が、『ダークエルフ討伐のフリをした、軍事侵攻だった』だなんて!」


「ちょっ……?!ご主人様、何をしたのですか?!」


うるせえぞ、メイド。


事実は一つだ。


歴史書に記される、真実は一つ!


「『スターライト子爵は、ワルバッド領を侵略するつもりだ』!ワルバッド領を守る為!みんなで戦うゾ!正義は我にありィ……♡」




「……本当のところ、何をなさったのですか?」


「んー?ダークエルフ共に、スターライト子爵の兵隊を一隊分暗殺させて、その死骸を死霊術で操って、うちの村を焼かせた」


「外道ですね」


「いやいや……、焼かせた村は、スターライト子爵家の近くで、スターライト子爵家の影響力が強いところでな。この村は俺のやり方に全然従わないんで、もう要らないかなーって。管理コストが維持コストを上回っちゃったんでさあ」


「……」


「なーにを感化されたんだか、『ワルバッド辺境伯は、もっと民のことを考えて欲しい!』だとか直訴してきちゃってさあ……。バカじゃねーの?って話だよな。こんなに優しい領主はそういないのによ」


「……優しい?ご主人様が?」


「ああ、優しいね。俺は少なくとも、平等にやっているからだ。人間も、ダークエルフも、同じだけ取るし、同じだけ与えている。法を守っていれば殺さないでおいてやってもいる」


「それは、当たり前のことでは?」


「ハ!他所はできてねえだろ、その当たり前がよ!確かに、ダークエルフは人間の尺度から言えばカスだよ。だが、だからと言って害獣のように『退治』することが正しいとでも?」


「王国の方針では……」


「権力者が言っていることが正しいのなら、やはり俺が正しいことになるな。ワルバッド辺境伯の名は、辺境の子爵風情とは比べ物にならないほど上だ。王家だって、そこまで強く大きい訳ではない」


「……ですが、自領の民を殺してまでのことですか?」


「安心しろ、殺してないから」


「そう……、なのですか?」


「ああ、……殺したのはフリだけだ。ちゃんと治療してから、男は新大陸に送って農奴に、女は娼婦にした」


「こ、この……、ド外道ご主人様!!!」

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