第18話 私の家に来てくれませんか

 仕事を辞める目処は立った気がする。


 というか、仕事を辞めないと桜との約束を守れないので、辞めざるを得ないが。まぁ、ダンジョン探索で生計を立てていけそうな見込みがあったから、あの約束をしたわけだけども。


 昨今の教職員に求められる法的遵守コンプライアンスは、異常とも言って良いほど厳しい。どの職種にでもいる一部の犯罪者のせいで、全体が負の印象を押しつけられる現状は、確実に教職員に負担を与えているよな。


 俺の中で既に今の仕事に見切りをつける覚悟は固まっていた。あんな酷い上司の下で激務を続けるのは拷問だ。


 ということで、堂々と桜達に会いに行くことにした。


 自宅からレンタルショップTATSUYAまでは、車ですぐだ。約束の時間までまだ数十分はあったが、家を出ることにする。学校では口うるさく5分前行動だと言ってきた俺が遅刻するわけにはいかない。


 ……そうか、もうそんなことを言うこともなくなるんだな。

 TATSUYAの駐車場に車を停めると、時刻は15時40分だった。


「店内で時間潰すかなぁ」


 そういえば最近忙しすぎて読書もできていないな。仕事辞めたらマンガを読む時間も出来るんだろうか。


 よし、今のうちにヤンジン(集談社から出ているヤングジンジンという青年マンガ誌)でも読んでおこう。


「あっ! 柴田先生!!」


 店内に入ろうとしたところで、呼び止められる。見れば制服姿の桜がいた。卒業式からそのまま来たのか、普段は一つに纏めている長い髪を、ハーフアップにしていた。普段見慣れない姿だったせいか、大人っぽい女性の魅力を感じた。


「お、おう、早いな。桜」

「先生もちゃんと来てくれたんですね! それにこんなに早く来るとは、さては私と会えるのを楽しみにしてましたね!」


 どうやら元気が戻ってきたみたいだな。例の松井事件では、結構なダメージを受けていたようだが、今は本来の明るさを取り戻している。


「卒業式は大丈夫だった?」

「うん。山井先生がずっと側にいてくれて、松井は近づいてこなかったよ」


 それは良かった。せっかくの最後の学校行事である卒業式だ。良い思い出で終わらしてあげたかったけど、山井先生がしっかりやってくれたみたいだな。


「で、他の子は?」

「あっ、えっと、うん。ちょっと。色々予定が入っちゃって……」

「そうなんかぁ。それは残念だなぁ……」


 これはあれだな。自分では良い担任だったと思っていたけど、実はそうでもなかったのかもしれない。いや、でも卒業式の後なんて、先生と会うより友達同士でわちゃわちゃしたいよね。うん。俺が嫌われているわけではないはずだ。


「別に先生と会うのが嫌だから来ないって訳じゃないからね! 本当にみんな用事で!」

「いやいや、大丈夫だよ。それより、桜」


 俺の表情から何を考えているのか察したのか、慌てて桜が誤魔化すが、別に大丈夫だ。それより大切なことは。


「卒業、おめでとう」


 本来なら、卒業式の中で皆に伝えたかった言葉。それは叶えられなかったが、桜にだけでも伝えることが出来て良かった。

「――うん! ありがとう、先生!!」


 そう言って両手を広げてくる桜。


「うん?」

「もう、こういうときは、は、ハグが必要だと思います!」

「はぐ!?」


 ハグ。HUG。ぎゅってするやつ。俺が? 桜と? それは犯罪ではないですか。周りを見渡せば、駐車場に停車してる車があるだけで、人影はほぼない。でもだからといってこんな公共の場で!?


「……」


 顔を真っ赤にしながら、期待のこもった眼差しで見上げてくる桜。

 仕方ない。


 卒業祝いの挨拶みたいなものだと必死に言い訳をしながら、軽く桜の背に腕を回す。想像以上に華奢で柔らかな感触に緊張するが、一瞬だけ抱きしめ――その瞬間、目の前に現れたモノに驚くが、それはすぐに意識の外へ追い出された。桜がぎゅっと強く抱きしめてきたからだ。


 どれだけの時間が経ったのか。一瞬なのか一秒なのか一分なのか。俺の胸の中にいた桜がぱっと離れた。


「えへへ」


 満面の笑みで嬉しそうな桜。俺も恥ずかしかったが、同時に、これで本当に教師という仕事に一区切りがついたと、心の底から実感した。


「で、先生。この前の土日で、何があったんですか?」


 卒業生にジュースの一杯も奢ってくれないんですか、と脅迫を受けた結果、TATSUYAに併設されているカフェに連行された俺。最近カフェに強制連行される事件が連続で勃発している気がする。


「ん? 土日?」


 頼んだドリンクとケーキがテーブルに置かれ、一息ついたところで桜が尋ねてきた。桜が頼んだチーズケーキ美味そうだな。


「先生めっちゃ格好良く――ほ、細くなってスタイルも良くなってるし、若返りましたよね?」

「お、おう」


 よくぞ気づいたと言うべきか、丸わかりする程の変化があったのか。どちらもかな。


「うーん……言っても良いけど、誰にも言うなよ?」

「もちろんです! 先生との約束を私が破ったことがありますか?」


 そう言われると、確かに俺の言うことはしっかり聞いてくれていたな。多感なお年頃で反抗期真っ只中な子が多いなか、なんでこんなに素直に聞いてくれるんだろうと逆に心配になったこともあるくらいだ。


「ダンジョンに入ると恩恵ギフトが貰えるって知ってるか?」

「うん。クラスの男子に結構ダンジョンに行ってる子がいるから、よく自慢話で聞かされてたなぁ」

「あー。そういえばウチのクラスにも何人かいたなぁ」


 ちなみに例の松井君は違うクラスの男子だ。あの憎き森野先生のクラスだな。


「武山とか、ダンジョン探索にハマって学校来なくなったもんな」

「まだ花音と付き合ってるよ、武山君。花音が言っていたけど、この前もダンジョンでお小遣い稼いだんだって」

「ほえー。やるなぁ」


 18歳になれば保護者の許可さえあればダンジョンに潜れるようになった昨今。高校生とダンジョン探索者の二足の草鞋を履く奴が結構増えてきた。その分、残念なことにダンジョンから帰らぬ者になってしまう人数も増加の一途を辿っている。


「実は俺も、やむを得ない事情があって、この前ダンジョンに入ったんだよ」

「えっ!? 先生が?」

「うん。先生が。さすがにドキドキしたわ」

「先生、運動できなさそうだもんね」

「そんなことはないぞ。動けるぽっちゃり系として巷では有名だったからな」

「ふふっ。そういえばそうだったですねー」


 強がる子どもを微笑ましく見守るオカン的な視線と、全然信じていない口調で微笑む桜。実は結構運動には自信があったんだけどね。今は見た目から運動できそうな感じになってるが。


「まぁ、そのダンジョンで便利な恩恵を貰うことができてさ」

「便利なギフト?」

「そ。【空飛ぶ吼えるケモノ】ていう恩恵で、いろいろできてしまうんだな、これが」

「いろいろ……それが柴田先生が変わった理由なの?」

「うん。その恩恵のお陰で、何の努力もなしにダイエットできたわけだ」

「それは……ダイエットに苦しむ女の子が聞いたら発狂しそうなセリフだね」


 我ながらとんでもないことを言っているが、桜は素直に聞いてくれている。ダンジョンというファンタジーが身近にある世の中で育ってきた若い世代だからこそ、俺の言っていることを違和感なしに聞くことができているのかもしれない。


「でも、ダイエットそれだけじゃないよね、先生が変わったの」

「ん?」

「雰囲気というか、威圧感というか……凄味があるっていうか……」


 桜自身も上手く言語化できない変化を感じているようだ。内包されるステータスが人外になったわけだから、それが影響を与えているんだろうな。十中八九。


「そうだなぁ……」


 別に俺の持っている力全てを説明する必要はない。でも、多分俺は誰かに聞いてほしかったんだと思う。一人で抱え込むには、大きすぎる力だったのかもしれない。それか、普通に可愛い女の子にスゴい自分を見せたかっただけか。うん。後者の気がするな。


「やっぱり、これかなぁ」


 財布から500円玉を取り出す。あ、1円の方が良かったかも、と出した後に思ったが、出し直すのは恥ずかしい。


「ここに普通の500円玉があります。確認してみて」

「うん……確かに」

「いくよ」


 軽く軽く力を込めて、硬貨を半分に折る。一瞬で潰れ曲がる500円玉に、くりくりな瞳をさらに大きくして驚く桜。うん、やっぱり小銭は力の証明に使いやすいな。勿体ないけど……。


「ウソ……手品?」

「これがハンドパワー(物理)です」


 とアホな返しをしつつ、テーブルの端に置いてあったペーパーホルダーから、一枚テーブルナプキンを抜き取る。


「それだけじゃないぞ。このペーパーを千切ってみて?」

「これを?」


 不思議そうにテーブルナプキンを受け取った桜は、簡単に二つに千切った。それを返して貰い――。


 【全てはあなたの心のなかにある】スキルを発動させ、破れたテーブルナプキンのステータス――耐久力を上げる。


「じゃあ、もう一回千切ってみてくれ」

「えっ?」


 何で同じことをさせるのかと困惑した表情を浮かべる桜。しかし、テーブルナプキンを受け取ると表情が一変する。


「ウソ? なんで?」


 さっきは簡単に千切れたテーブルナプキンが、堅い板のようにびくともしなくなっていた。


「何か分からないけど、俺はいろんなモノの設定を変更できるようになったみたいなんだよね」

「設定を変更?」

「うん。対象物に"設定"されているステータスを弄ることができるみたい。だから俺の力をもの凄く強くして硬貨を潰したりとか、このペーパーの耐久力を上げて千切れなくしたりとか、そんなことができるようになったみたいなんだ」

「……ほう」


 したり顔で頷く桜だが、これはあんまり理解できていないな。ゲームとかしてると簡単にイメージできそうだけど、ゲームとは無縁の女子高生にとっては不思議な出来事で終わってしまうのかもしれない。


「まぁ、めっちゃ強くなって、探索者として第一線でやっていけるようになったってこと」

「探索者……って、先生、仕事辞めるの!?」


 今日一番の驚きをここで見せてくる。退職こっちの方が衝撃強いのか?


「お、おお。やっぱりダンジョンって男のロマンだからな。いつかはやってみたいと思ってたけど、たまたまちょうど良い力を手に入れたからさ。一念発起してやってみようかと。実際、教員よりも儲け多そうだし」


 ウソです。ダンジョンに挑もうなんて思ってもみませんでした。

 ただ、桜はきっと、辞めるきっかけを作ったのが自分自身と勘違いし、責任を感じてしまう娘だからな。そんなことは本当にないのに、気にしたら可哀想だ。


「……私と松井のことが原因ですか?」

「違うって。それは本当に違う」

「でも……!!」

「桜」


 敢えて真面目な声色で、桜を見つめる。焦った表情の桜が、ぴたりと動きを止めた。


「俺を信じろ。お前に嘘はつかない約束だろ?」


 それは、以前交わした桜との約束。小さな約束だったが、桜にとっては多分大切な約束なんだろう。一つ呼吸を置いて、穏やかな表情で「分かりました」と頷いた。


「……というわけで、俺はこれから探索者になるのさ」

「……でも、大丈夫なんですか? ダンジョンは危険って言いますよね?」

「無理しなければ、多分大丈夫なんじゃないかな? 俺、世界で一番強いみたいだし」

「……え?」


 何言ってんのこの人って感じで、心配そうに見てくる桜。


「いやいや、本当だって。これ見てみなさい」


 Dカードを取り出し――突然目の前に現れたカードに桜はびっくりしていたが、その表記を見てさらに驚きを深める。


「ええっ!? こ、これっ! 【ランク】が1位になってますけど!?」

「ふふふ。驚いたかね。これが私の戦闘力53万の力なのだよ」

「えっ? 戦闘力? この能力値のことですか? "不明"ってなんてますけど……53万なんですか?」


 あれ? このネタって、もう桜世代には通じないの? ちょっとスベった感じで恥ずかしいんですが……。


「い、いや……もう忘れてください」

「う、うん……よく分からないけど、ごめんなさい。でも、この【ランク】って……」


「全人類間における強さの指標らしいよ。なんでか分からないけど、ダンジョンの不思議パワーで測定できるみたいだね」


 Dカードをこれでもかと見つめていた桜が、顔を上げる。


「柴田先生、お願いがあります」


 桜が姿勢を正し、ゆっくりと言葉を紡ぐ。凜とした表情だが、どこか切羽詰まった気配を感じる。モンブランをつついていたフォークを置き、こちらも自然と姿勢を正すことになった。


「私をダンジョンに連れて行ってくれませんか?」

「……は?」

「私をダンジョンに連れて行ってくれませんか?」


 俺が聞き取れなかったと思ったのか、一語一句繰り返してくる。いや、聞こえているけどね。


「いや、どうして? ダンジョンなんて危険なとこ、行くべきじゃないよ……俺が言うのもなんだけど」


 最近では、レクリエーションの一貫でダンジョンに行くというレジャー的な要素も出てきたみたいだけど、そんな雰囲気で行くって話ではなさそうだな。


「私は……行かないとダメなんです」

「行かないと駄目って……なんで?」


 基本的に現在の我が国の情勢的に、ダンジョン探索を義務づけていることはない。他国には兵役と同じようにダンジョン兵役みたいな、探索を義務づける国もあるみたいだけど、今のところ日本にそんな動きはなかった。


「……もともと、大学生になったら探索者になるつもりだったんです」

「桜は岡大だよね? そこなら無理に探索者にならなくても大丈夫じゃないか?」


 岡山県下有数の国立大学だ。就職が厳しい世の中ではあるが、そこまで困るような大学ではない。そもそも桜は優秀だ。本来なら東京や京都にあるトップの大学にも余裕で合格できる力はあった。


 それでも岡山の大学を選んだのは――。


「もしかして、お母さんの調子が良くないのか?」


 俯いた桜が小さく頷く。


「ダンジョンで産出される治癒ポーションなら、もしかしたらってお父さんが……」

「そうなんだ……」


 治癒ポーション――キュアポーションとも呼ばれる治癒薬だったはずだ。


 怪我を治すポーションはヒールポーション、病気を癒やすポーションがキュアポーション、それぞれにランクがあり、『ハイ』を冠するポーションはより効果が高いという。現在はハイポーションまでしか見つかっていないようだが、その上のランクもあるのではと思われているようだ。


 そんなポーションを桜が必要とする理由は、母親の病気だ。


 1年ほど前、突然に脚が動かなくなるという奇病を発症した。最初は足の指の痺れだったようだが、病状は徐々に進行し、1年経った今は下半身不随になってしまっている。


 病状が出てきた時点で、桜の父親が大病院の医者だったこともあり、すぐに入院、精密検査等を行った。筋萎縮性側索硬化症や脊髄小脳変性症といった難病に似ている症状だが、原因は全くの不明。検査では筋力の低下はなく健康そのものなのに、病状だけがどんどん進行していくという状況だった。


 それもあり医学部に入学を決めた桜だったが、母親と離れたくないという想いから地元での進学にしたという経緯があった。


「最近、進行が早くなってきているかも……って。お母さんも私の前では元気に振る舞うんだけど、ツラそうな顔を見てしまって……だから、私の誕生日が来週だから、そしたら探索者になれるから!」


 思い詰めた表情が痛々しく、俺の心が疼く。なんでこんな良い子が、辛い目に遭わないといけないのか。おかしいだろ。


「……でも一人で行くのは不安で、怖くて。先生に無茶なことを言っているのも、危険な目に遭わせてしまう我が儘なことを言っているのも分かってる。でも、お願いします……私に出来ることなら何でもするから、お願いします!」


 頭を深く下げ、懇願するような声を絞り出してきた桜。多分、色々な意味で辛いんだろうな。母親の病気の苦しみ。危険なことを頼まざるを得ない自身への不甲斐なさ。それでも、俺に取ってこいと言うのではなく、自分も危険を甘受するところに、桜の優しさがあると思う。


「ダンジョンで探したいのはキュアポーションなの?」

「うん……岡山ダンジョンだったら、16階層のハベトロットっていうモンスターがドロップするって噂があるんです」

「16層か……」


 確か日本のトップ探索者のパーティーが48層に到達しているということだったので、俺なら問題なく行けそうな気はするな。


 一階層一階層が数キロ規模で作られていることを考えると、16階層まで行くなら日帰りは難しいのか。


 ただ、対象のモンスターにさえ出会え、そいつのドロップリストにキュアポーションがあれば、ドロップ調整で一発ツモれるんだが……。


「ん?」


 いや。ちょっと待て。最近、見なかったか。キュアポーション。


「先生?」


 突然そわそわし始めた俺に、戸惑う桜の声が聞こえる。それに待てとジェスチャーを示しつつ、インベントリを探る。すぐに見つかった。


「えっ? 今のは? これ?」


 しまった。慌てていたので、インベントリから直に出現させてしまった。まぁ、今更か。


「キュアポーションだ。とりあえずこれに触ってみて。多分合ってるはずだから」

「え……でも、これ……どうして?」


 ダンジョン産のアイテムは、目の前で対象として意識するだけで、そのアイテムの名前が脳裏に浮かぶ不思議商品だ。


 恐る恐る差し出された透明な多角形の瓶に触れた桜も、その不思議な感覚に戸惑った声を上げる。いや、戸惑いは俺がソレを持っていたからか。


「これで効果があるかは保障できないけど、試してみたら良いよ」

「い……良いの? あっ! もちろんお金は絶対に払います! 一生懸けてでも!」

「いやいや、一生懸けんでいいって! お金も気にするな」


 そんな台詞、女の子が言ったら駄目だって! 相手が相手なら、酷い目に遭わされちゃうよ。


「ただ、あくまでもノーマルなキュアポーションだから、もしかしたら効果は出ないかもしれない。そこは覚悟しておいて」


 俺の解析さんによると、このキュアポーションは軽度の疾病に効果を発揮するとのことだ。


 ただどこまでが軽度かはイマイチ分からない。”軽度”が症状を指しているのか治療の容易さを指しているのか、そこから不明だった。全てはダンジョンの意思ってやつか。


「……はい。先生、勝手なんですけど、親に連絡しても良いですか?」


 俺が頷くと、スマホを手に席を立ち、店外に慌てて駆けていく。相手はすぐに出たようだが、桜のテンションに怯み気味なんだろうな。桜の手振りがどんどん大きくなっていく。


 多分、『大丈夫なのか』とか『騙されていないか』等言われているんだろう。まあ確かに、突然娘が待望のブツを手に入れた、それもタダでとか言ってきたら疑うよな。あ、意気消沈で戻ってきた。


「先生……ごめんなさい……」

「どうだったん?」

「……えっと」


 しばらくの沈黙の後、桜が口を開く。


「……私の家に、一緒に来てもらっても良いですか?」

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