第4話
「くそっ!数が多すぎる!」
飛来物墜落地点。そこへたどり着いたヘイムル達は信じられないものを見た。盆地に、異様な小高い山ができていたのだ。
生い茂る緑の中にところどころ明らかに自然物ではない滑らかで無機質な壁をさらしていた。
そう、神代の遺跡のような。
…調査をするために拠点を作ってミュルクルたちをつなぎ、いざ周辺の調査を行おうとしてすぐのことだった。
いつの間にか三人に向かって木の上から大量の駆動音が落ちてくる。サソリの形をした全長1メートルほどのからくり仕掛けの生命体。ジャールン・ビートだ。
奴らは尾から溶解液を飛ばし、その手についたハサミで人の骨など容易く粉砕する。
ヒルムは器用に矢を近距離から敵の関節に打ち込み右手につかんだダガーでなんとか凌いでいる。
ハルドルはあいも変わらずその自慢の戦斧で敵を叩き潰しているが、いかんせん溶解液を警戒しているからか満足に動けていないようだ。
この場で唯一神代の魔物に特効を持つ遺物の雷神の魔導剣を持つへイルムは警戒されているのか尽く避けられまともに攻撃をさせてもらえていない。
「2人とも!ここは分が悪い!いったん撤退しよう!」
「撤退っつったって、どこに?!」
「隊長。8時の方向に洞窟。狭い場所で雷の権能を借りて一網打尽にすべき。」
「ヒルムよくやった!では、俺が殿でハルドルを援護しながら交代する!ヒルムは先に洞窟へと先行して危険がないか調べてくれ!」
「「承知!」」
…数分後、三人は天井に仄かな明かりの灯る洞窟内にいた。
いや、正確には通路と言ったほうがいいだろうか。明らかに人工物のそれと思われる舗装された床のそれは所々ヒビが入っているが、不思議と埃や塵は少ない。
魔物たちは、三人が通路へ入るやいなやまるで興味を失ったようにしばらく周囲を徘徊し、去っていった。
「これは、念のため外に出た瞬間魔物に出くわさないようしばらく様子を見たほうがいいかもな。ちょうどいい、この際だから少し遺跡の情報も持って帰るか?…」
ヘイムルが呟きながら壁にもたれかかる。
「かぁぁぁ!暇かよぉ!なぁヒルムの嬢ちゃん、ホントに敵はいねぇのか?」
「無駄なことするな。敵に動きはない。でも、崩落してる場所もある。足場も不安定なところが…隊長!そこだめ!」
そうヒルムが叫んだ瞬間、ヘイムルの座っていた直ぐ側の壁のヒビが地面まで広がり、床が割れた。
「うえぇええぁぁああぁ!?」
とっさのことに反応するまもなくヘイムルは間抜けな声を出しながら暗闇に落下していった。
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