1-4

 その日の夜もベコと一緒に寝たはず・・・夜中に眼が覚めるとピン子が私の手首に喰らいついて寝ていた。


「えぇー 何で ピン子なのよー」


「ニャンふぁー」


「ニャンふぁーじゃぁないのよー ちゃんと 返事して!」


「フガァー しょうがないな つぐみちゃんのことは大好きだよ あのね 変な男に惑わされないようにと 見守ってるの! わかったぁー ちゃんと男を選べよなぁー」


「へんな男って?」


 そのまま、私眠ってしまったみたい。朝 起きると 朝顔のプリントの半袖短パンのパジャマで、側にはペコが寝ていた。私、夢を見たのだろうか・・・あんまり、夜中のことは記憶がない。ピン子がしゃべったぁー そんなバカな・・・


 その時、携帯が鳴って、こころちゃんからだった。


「なぁ 今日 お昼 ジョリパにいこうよー ウチ モッツレラとウィンナーのん すごく 食べたいねん」


「えっ まぁ いいよー」


「うん ウチ もう直ぐ でるからネ!」


「はっ どこに・・・」


「なんやねん 寝ぼけとるんかぁー 図書館よ! 一緒に勉強しようって約束やんかー」


「あっ あっ そう そうなんやね」


 電話を切って、私 戻ってきたんだ。高校の2年生。不思議な感覚のまま、携帯の時間を見ると、7月の28日 もう 夏休みになっていたんだ。でも、もう 期末試験も終わっていて 良かったぁーと安心していた。


 濃紺のTシャツにロイヤルブルーのラップスカートで こころちゃんはサーモンピンクのフレァーなスカートなんだけど、上はスカイブルーのタンクトップで、ずいぶん攻めていた。彼女とは小学校の時からなので、ずいぶんと付き合いが長いのだ。


 午前中 勉強して、お昼にジョリパでこころちゃんが


「ねぇ つぐみの隣の席の人 恰好いいよねー 適度に陽焼けしてさー スポーツマンだよ」


「うん そーだね 児童心理学とかの本を見ていた 先生なのかなー でも ノートに書き写していたから まだ 大学生なのかなー」


 次の日も隣には その人が座った。だけど、今日は鼻がグズグスとしていて、マスクもしているのだけど、さっきから、しきりに席を立って、鼻をかみにいっている見たいなのだ。しばらくして、


「すみませんねぇー 落ち着かないでしょう? 今朝から 夏風邪なのかなぁー あのー 厚かましいんですけど ティッシュ 持ってたら 借りれません? なくなってしまったので・・・」


「はっ あぁー ありますよ どうぞ」と、私はバッグの中から取り出して、渡した。


「すみません あっ ミッフィーの絵が・・・ こんな可愛いの 申し訳ないなぁー」


「いいんだよ どうぞ使ってください」


「ありがとうございます」と、又 席を立って行って、戻ってきた時


「有難うございました。今度 お返ししますね」


「いいんです それよりも 風邪 移さないでくださいネ」


「ははっ ですよねー そっちは 向かないよーにします 可愛いんだけどなぁー」


「ふふっ いいのよー そんなに気を使わなくても・・・」


「ふっ 僕は教育大の4年でね 教員採用試験 控えているんだ 小学校の先生目指しているんだよ」


「そーなんですか 頑張ってください 私 今 高2 神崎つぐみです」


「僕は 葛城欣五 よろしく なんだろなー 初めてじゃぁ 無いような― そんな訳ないよね」


 そーなのだ 私も 前にも会ったような気がしていた。そんな訳無いよねぇーと・・・。でも この人 感じ良い! ビビッと来ていたのだ。ピン子が言っていたへんな男じゃぁ無いよねー・・・


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