1-3

 朝起きると、私の横には白黒の・・・ペコだ。


「ゲッ ペコ 戻ってきたのぉー」と、抱き締めると、私のパジャマが赤のストライブ柄なのに気付いた。


「えぇー これっ 中学の時のん」


 私は恐る恐る洗面所に行くと・・・確かに私の顔が それも、中学生の時のザンギリ頭・・・なんでぇー・・・今度は、中学生 ? ? ? 私 どうなって行くの・・・


「つぐみ 何 わめいているんだよ 早くしろよー 俺も急ぐんだよ!」


「お兄ちゃん 何年生?」


「お前 寝ぼけてるんかー 高校1年だよ 期末テストで、急ぐんだからよ! 早く どいてくれ!」と、私を押しのけて、顔を洗っていて


「ということは 私は 中学2年生?」


「だよ! なにをぶつぶつとー お前 頭 打ったんかぁー お前だって 今日から期末テストだろう 大丈夫なんか?」


「えぇー そんなの 聞いて無い!」


「聞いて無いって 自分のことだろう しっかりしろよ」

 

 私が部屋に戻ると、確かに中学の時の制服がハンガーでぶる下がっていた、夏なのでまあるい襟のブラウスに細いえんじ色のリボン、グレーのチェックのスカート。見慣れたものだ。そして、使い慣れたカーキ色のリュック、中はおそらく今日の試験科目なのだろう4冊の教科書が入っている。


「やっぱり ベコだよね}


ベッドではペコが伸びをして、「ニャニォー」と、私を見てあくびをしていた。ペコはこの春に迷い猫としてウチに来て、それから、我が家のペットになったのだ。だから、歳はわからないけど、子猫だったから、まだ1才にもならないだろう。でも、私にすぐに、懐いてきた。


 朝ご飯を食べて、ペコにもあげていると「ふにゃー フニャー フニャニャー」と そうよねー ペコはそうなのよー でも、ピン子も同じように唸っていなぁー。


 家を出ると、後ろからペコがついてきて


「ねぇ ペコぉー 何で 私は こんななのぉー? あんた 何か知ってるんでしょ?」


「ニャンふぁー」と、ピン子と同じような反応だった。学校への道のりは覚えている。電車とバスを乗り継いで、教室も席も何となく記憶をもとに・・・


「つぐみ 何 ぼぉーっとしてるんだよ 座れよ」 生越弘樹だ。そーいえば、私の後ろの席なのだ。


「う うん ここで良いのかなーって」


「お前 大丈夫か? 勉強しすぎで、ボケとんかー?」


「うるさい! ちゃうわー 精神統一やー」


「ふ~ん 変なの」


 3日目の試験最終日 全て終わった後、生越弘樹が


「つぐみ この後 ちょっと付き合ってくれ 中央公園まで」


「えっ なんでよー」


「いいからー ちょっとだよ」


「なんやのーぉー 今 ここやったらあかんのぉー?」


「うん まぁー」


 と、歩いて10分もかからないのだけど、後ろからついていって、公園の中の小山の散歩道に来ると


「あのな 俺と付き合ってくれ!」


「はっ ・・・ それ ゆう為にここまで連れ出したんかぁー」


「そう 教室では 言いにくいやろー」


「生越君 ・・・ せっかくやけどー 私は まだ 特定の人とお付き合いするつもりはございません ただね 仲の良い お友達として、今までどおりにネ 小学校から一緒やもんなー」


「うぅー だめかー 他の誰かを好きなんかぁー?」


「だからぁー さっきもゆうたヤン 特定の人とお付き合いするつもりも無いって! 悪いけど、それに・・・生越君は違うって気がする」


 その時、山のてっぺんの岩にちょこんと座って、こっちを見ていたピン子が飛び降りてあっちに行くのが見えた。


「あっ ピン子 がー」


「お前 何 ゆうとんねん」


「あそこ あぁー ピン子が 何でおるのぉー」


「なんも 居らへんやんかー お前 何か おかしいなぁー 変! なぁ いいっかぁー つぐみがその気になるまで待つよ」


「待ってもらっても 希望無いと思うけどなぁー 私 自分でも、どこ行くかわからへんしー」


「お前 何 ゆうとんねん 時々 おかしいぃー」

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