第6話



昼下がりのカフェ。窓から柔らかな日差しが差し込み、リナとひかりがミニコンサートの選曲について語り合っている。




ひかりがリナの故郷について尋ねたとき、リナは少し照れたように、故郷の思い出を言葉を探しながら語り始める。




リナは飲み物を少し飲んでから、一瞬迷うようにひかりを見つめる。






「あ、えっとね……わたしね、海のそばの町に住んでたんだよ。その、あんまり大きくない町なんだけど、すごく綺麗で。」




リナは少し考え込みながら指先でテーブルを軽くトントン叩く。




「それでね、その町の真ん中には教会があるの。」




ひかりが興味深そうに「海が近くにある町かぁ、それで教会があるんだね。どんな感じの教会なの?」と聞く。






リナは頬を赤く染めながら、表情がほころぶ。






「えっと、白い壁でね、すごく……うーん、そう、それで、すごく目立つの。真尖った塔の先っぽに鐘が付いてて……、その鐘の音が聞こえたら、なんか……ほんと安心する…」








リナは少し考えるように目を細め、言葉を探しながら続ける。




「でもね、わたし、その教会の中に入ったことはないの…。いつも外から眺めるだけで……えっと、中はどんな感じなのか知らないけど、その……外から見てるだけでも、すっごく安らぐっていうか。」




ひかりが「どうして入ったことないの?」と尋ねると、リナは少し困ったように笑いながらうつむく。




「その、ちょっと緊張しちゃうっていうか。たまに扉が開いてるのを見ても、中に入る勇気がなくて……」






リナは語りながら、思い出に浸るように手元のカップをそっと両手で包む。表情は穏やかで、柔らかさが増していく。




リナはちらりとひかりを見ながら、「えっとね」と小さくつぶやく。




「浜辺にいるとね、その教会の鐘の音がすごく優しいの…。心に響く感じで……すっごく好き。本当に気持ちがほっとするんだよ。」




ひかりが「それ、なんだかロマンチックだね」と言うと、リナは照れたように微笑む。






ひかりが「その海ってどんな場所?」とさらに話を広げると、リナは少しうれしそうに体を前に乗り出す。




「あのね、海はね、すっごく広いの。えっと、波は静かで遠浅の浜辺でね……夕方になるとオレンジ色になるんだよ。太陽が沈み始めると、海と空が混ざったみたいになって、綺麗なの…」




リナはときどき言葉を探しながらも、とびきりの笑顔で続ける。




「その景色を見ながらね、家族みんなで砂浜に座って、わたしはずっと波を眺めてたりしたの。夜になるとね、星が本当にいっぱいで……その星が海に映るの…」








リナは故郷での情景を語り終えると、少し恥ずかしそうに言葉を切る。


しかし、ひかりが「その感じ、ミニコンサートの曲にピッタリじゃない?」


と言うと目を輝かせる。






「えっと、波のリズムとか……」




ひかりが「絶対いいよ。きっとみんな気に入るよ。」と明るく声をかけると、リナは照れながらも微笑み返す。




リナは、ひかりが教会や海を自分の心と結びつけて考えているのに気づき、心が暖かくなるのを感じる。




「みんなに伝わるといいな...。」




2人はその後も曲のアイディアを語り合い、会話は次第に弾んでいった。






(続く)



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