ドキュメント02
コインランドリーの乾燥機が、宇宙の端っこで回っている巨大な遠心分離機みたいな重苦しい低音を響かせている。
おいらはその振動を尻の肉で受け止めながら、自分がかつて誰かの息子であったり、あるいは将来的に誰かの死体になったりすることの必然性について考えている。
けれど、思考は湿ったタオルのように重たく、回転の遠心力に負けて思考の壁にべったりと張りついて離れない。
彼女はおいらの隣で、空になったペットボトルのキャップを執拗に噛んでいる。
その歯音は、真夜中の静寂をノコギリで細かく裁断していくような規則正しさを持っていて、おいらは不意にそのリズムに合わせて腰を振りたくなってしまう。
それは欲情というよりは、崩壊していく世界のテンポに自分の肉体を同期させようとする、生存本能に近い切実な衝動だ。
「ねえ、あの乾燥機の中、おいらの魂が入ってないかな?」
おいらは、自分の言葉が安っぽいネオンサインみたいに点滅するのを感じる。
彼女はキャップを吐き出すと、艶めかしい舌先で唇を湿らせ、おいらの耳元で「パンティと一緒に回ってるのよ」と囁いた。
その瞬間、おいらの脳内の神経細胞たちは、一斉に調子外れのバグパイプを吹き鳴らす。彼女の指先が、おいらのジーンズの隙間から、まるで聖域を汚す無邪気な子供のように潜り込んでくる。
悪魔め! 悪魔め!
おいらは彼女を、プラスチックの椅子の硬い座面の上で、まるで供物を捧げるような手つきで犯し始める。エクスタシー。
自動販売機の蛍光灯がチカチカと痙攣しながら、彼女の剥き出しの太ももを半額のラベルが貼られた死肉みたいに白く照らし出している。
彼女の喘ぎ声は、冷えたコーラで喉を鳴らす音に似ていて、おいらは興奮しながらも一方では「こんな行為に……何の意味もない」という醒めた確信を抱いている。
いくら陽物を突き立てたところで、おいらたちはただの、熱を持って回転する有機的な肉の塊に過ぎない。エクスタシー。
「ん、あ、あぁ……! もっと、もっと、熱くして……」
そう彼女が叫ぶと同時に、乾燥機が「ピー」という無機質な終了音を鳴らす。
それは世界の終わりを告げる喇叭の音にも似ていて、おいらは彼女の内部に、自分の一部であるはずの熱い液体を無責任にぶちまける。
それは彼女のトロついた愛液と混ざり合い、まるで失敗したパンケーキの生地みたいにドロドロと、床のタイルへとこぼれ落ちてゆく。
ふと見ると、彼女は泣きながら、乾燥機から取り出したばかりのアツアツの洗濯物を一枚ずつ丁寧に口の中へ詰め込んでいる。
「お腹が空いたの。清潔なものが食べたいの」
彼女の頬は、柔軟剤の匂いのする靴下でパンパンに膨らんでいる。
おいらはその光景に、得も言われぬ聖なる感動を覚える。窓の外では、雨がアスファルトを、皮膚病に罹った巨人の背中を掻きむしる爪のように叩いている。
こんな結末になるなんて、おいらのせいじゃない。けれど、誰の責任でもない。
ただ、洗剤の泡がすべてを白く塗り潰して、この世のすべての罪を、ただの汚れとして排水溝に流し込んでくれればいいのに、と。
おいらは彼女が飲み込みきれずに吐き出した、湿ったブラジャーの肩紐を眺めながら、ただぼんやりと思っている。
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