ドキュメント04

 意味不明な腹痛が僕の腹を直撃して、悶絶する暇もなく意識を失い(僕自身、自分が意識を失っているその瞬間を鮮明に捉えることができていたと思う)、次に目が覚めたとき、僕の両足は勝手気ままに動き出していた。

 だから意味不明なんだって……。そういう何か色々なものが、僕の心体に善いのかも悪いのかも分からない影響らしき何かをビリビリと与えて、気を取り戻した頃には想像もついていなかった場所へと達している……そんな気がする。

 ある幼女は、祭りという夏と秋の隙間を埋める世界でりんご飴を母親に要求し、母親も決してその願いを無下にはしなかったけど、僕は決して要求などしなかった。

 想像してほしい、りんご飴のない宇宙を。

 限りない宇宙の中で、この美しい宇宙の中で、僕はどうすれば幼女に近づき、手で直接触れて、いちゃいちゃと愛を育むことができるだろう?

 怒りだとか笑いだとか哀しみだとかが奇妙に混じり合った、そんな僕だけの世界で、僕は一度だって暗い顔はできないし、悦びのバターを塗りたくったフランスパンみたいな心は宇宙を知り、宇宙を飲み込み、それそのものが僕なんだってすべてに対して宣言したい。そう願っている。

 そんな僕に名前なんてない。「なんて贅沢者なんだろう!」とか誰かに云われちゃいそうで、僕はビクビクと全身を四方八方に震わせるばかりで役に立たず、役立たずの僕は無価値なガラクタに過ぎないことを自分だけが理解していたはずで、他人からの意見はむしろ害悪だったように僕には思えてならない。

 グッドナイト。良き夜をお過ごしくださいと云われちゃあ、それに従うほかなくて、僕は絶望の彼岸で呪いの言葉ではなく祝いの言葉を泡みたいに吐きながら、しくしくと泣く。

 そういうコメディはすぐに飽きてしまいそうだけどそれは他人の視点からであって、僕の両目には光る希望が薄く闇を焦がしていた。「僕は幸せ者なんだ……」「そうかな」「そうだったんだ」「そうなんだね」「ふうん」なんていう会話があったとしても何らおかしくなく、つまりは、そういうことだった。




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