第2話 第2ホール 風に乗る冒険
[ご主人の本気スイングを初めて体験する、小さな成長の兆し]
朝の光は柔らかく、フェアウェイを温かく照らしていた。
ご主人は第2ホールのティーの前で立ち止まり、クラブを握る手に力を込める。
私――小さなゴルフボール――は、心の中で小さく息を整えた。
第1ホールより、少しだけ自分に自信がついている気がする。
「よし…ここは距離があるぞ」
ご主人の声には、朝より少し真剣な響きがあった。
ぱーん――!
強く打たれ、私は空を切る。
風が体を揺らし、空中でくるくる回りながら、いつもより遠くまで飛んでいく。
スピードに少し驚きながらも、楽しくて心が弾む。
着地はラフの少し深い草むら。
草の匂いが濃く、足元が柔らかい。
ご主人はすぐ近くまで来て、私を拾い上げる。
「お、いい感じだな」
その言葉に、胸がぽっと温かくなる。
小さな冒険はまだまだ続く――
私は少しずつ、ご主人との旅に慣れ始めている。
でも次のホールではどんな風が吹くのか、少しだけワクワクしている自分に気付いた。
⛳️ ゴルフボールとご主人の小さな冒険 深澤澪 @fukasawamio
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