第14話
怒号と同時に、黒い影が雷のような速度で三人へ襲いかかった。
カイは素早く弓を引き、次々と影を撃ち落とす。
それでも影は形を変え、何度でも立ち上がってくる。
「影の動き……さっきより速い……!」
ミラが胸を押さえながら呟く。青白い光紋が脈打ち、苦しげに揺れていた。
「ミラ、大丈夫か!」
振り返る暇もないまま、赤炎の剣で迫る影を斬り払う。
「……なんとか。でも……侵蝕災が活性化しているせいで……私の滞在時間が……もう二十五分もありません……」
「それだけあれば十分だ!」
カイの声は短く鋭い。矢が赤光を引きながら影を貫いた。
揺れる地面の奥――赤黒い結晶が心臓のように脈動していた。
それがこの層の“核”。侵蝕災を生み出している中心。
ミラは目を閉じ、光紋を輝かせた。
「核のシールド……ほんの一瞬だけ脆くなる場所があります……右斜め上……そこなら通る……!」
「なら、そこを穿つ!」
力強い叫びとともに、赤炎が爆ぜる。
大地を蹴り、一気に核へ迫る。
しかし影が、まるで意思を持つように壁となり進路を塞いだ。
カイの矢がその壁に亀裂を入れた。
わずかな隙、その一瞬。
「今です!!」
炎を纏った剣が、振り下ろされる。
凄まじい轟音が響き、赤陽層の空気が燃え上がった。
炎の刃は核のシールドに深く食い込み、ひび割れが走る。
「……まだ砕けないのか……!」
「侵蝕災が……核にもっと力を送ってます……!」
ミラの声は震えていた。
影がさらに膨れ上がり、黒い津波のように三人を包み込もうと押し寄せる。
「しつこい……!」
カイが矢を連射し、影の動きを乱す。
ミラは必死に叫んだ。
「でも……これで“道”は開けました……!あと一撃……核に届けば……浄化できます……!」
「よし……終わらせる……!」
息を整え、剣を構え直した瞬間だった。
赤陽層の深部――
そのさらに下から、低い唸りが響き渡った。
赤い地面が揺れ、亀裂が螺旋状に広がっていく。
「……まだ何かいる……?」
ミラの顔が蒼白になる。
「違います……侵蝕災が……核の“中心部”を解放し始めています……本当の姿が……出てくる……!」
赤陽層の底が赤く開き、
その奥から――
巨大な“核の守護者”がゆっくり姿を現した。
赤黒く光る四本脚、歪んだ仮面のような顔。
その存在そのものが層を歪ませる、異形の塊。
赤陽層の真の戦いが、ついに幕を開けた――。
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