第3話 グラン聖窟へ!

 二人は洞窟の前に立ち、松明に火をつける。

 洞窟内には不気味な石像がずらりと並んでいた。

「なんか……見てるよな。絶対見てるよな、これ」

 進んでいくと、石像が突然しゃべった。

  ー ここはグラン聖窟 ー

  ー 命が惜しければ引き返せ ー


「……引き返すか?」

「バカ言うな。引き返したら即死だぞ」


しばらく歩くと、道が三つに分かれていた。それぞれに石板が掲げられている。

【右の道:猛獣注意】

【中央の道:落とし穴注意】

【左の道:とても危険】

「とても危険って、ざっくりすぎだろ…」

「ちょっと待て。右は猛獣だ。中央は落とし穴だ。左は…なんかもう説明すら投げてる」

「どれにする?」

「……一番曖昧な左じゃね?」

「なんで!?」

「猛獣は明らかにヤバい。落とし穴もヤバい。『とても危険』は、逆に“何もないけど注意しろ”っていう罠の可能性がある」

「どこの誰がそんな心理戦仕掛けるんだよ」

「魔神だろ」

 不安と理屈が交錯しながら、結局二人は左の道に進んだ。

 ところが、左の道は――ただの安全な一本道だった。

「……当たったな!」

「やっぱりおかしいだろこの洞窟!」

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