最初は、ただただ楽しかったです。
あかねちゃんの前では格好をつけたいのに、空回りしてしまうタテノくん。
容赦なく叱ってくるビッグボス。
個性が強すぎるパークの面々。
そして、ジェットコースターを前にしたタテノくんの心の叫びや、どこまでも膨らんでいく恋愛妄想には何度笑ったことか(笑)。
そんな賑やかなテーマパークで始まったのは、まさかのタイムスリップ。
そこでタテノくんが出会うのは、いつも自分を叱っている“出来る人”――ビッグボスの、まだ新人だった頃の姿でした。
今では迷いなく仕事をこなし、誰かを導くことのできる人にも、
迷った日がある。
怖くて動けなかった日がある。
悔しくて泣いた日だってある。
でも、それを知って終わりではないところが、私はとても好きでした。
現代では怒られてばかりのタテノくんが、過去では誰かに「仕事が出来る人」として見てもらえる。
その瞬間、“出来る人”と“出来ない人”の境界なんて、実はそんなに単純なものではないのかもしれないと思わされました。
人は最初から完成しているわけではない。
誰かに教えてもらったり、認めてもらったり、失敗したり、勇気を出して一歩踏み出したりしながら、少しずつ今の自分になっていく。
そして、その一歩が思いもよらない形で誰かの人生にもつながっていく。
読み進めるほど、最初は別々に見えていた物語が一本につながっていく構成も見事でした。
タテノくんとあかねちゃん。
ビッグボス。
シャクレさんとメガネさん、そしてリュウ。
特に“愛の爆弾”の物語では、成功することと幸せになることは、本当に同じなのだろうかと考えさせられました。
数字も、知名度も、華々しい成功も魅力的です。
でも、その先で一緒に笑いたかった人と笑えなくなってしまったら――。
自分は何を手に入れたくて走っていたのか。
誰と一緒にいたかったのか。
そこに気づいていく彼らの姿も、とても印象に残っています。
それでいて、本作は決して重くなりすぎません。
タテノくんの怒涛の独白、軽快な掛け合い、次から次へと現れる濃すぎる面々(笑)。
タイムスリップに歴史改変、恋愛、お仕事、人間ドラマと盛りだくさんなのに、するすると読み進めてしまいました。
そして、各話タイトルに散りばめられた音楽への遊び心にも、気づくたびにニヤリ🤣
最後まで読んで振り返った時、一番心に残ったのは、誰かにもらったものは、その人の中だけでは終わらないのだなということでした。
誰かにもらった勇気が、自分を変える。
変わった自分の言葉や行動が、今度は別の誰かの背中を押す。
そうやって巡っていったものが、いつか思いがけない形で自分のところへ戻ってくることもある。
こんなにあたたかい物語なのに、決して「優しいだけ」でもありません。
笑って、ハラハラして、先が気になって、時には胸がきゅっと切なくなる。
気づけば、このパークとそこにいる人たちをずっと追いかけていました。
読み終えた時には、いつもそこにいる人や、何でもないように過ごしている時間が、とても愛おしく思えました。
タイムスリップ、恋、仕事、友情、そして少しカオスな人間模様。
その全部が詰まったこのテーマパークを、ぜひ一緒に駆け抜けてみませんか?
来年になっても、その先も――
この賑やかなパークで、彼らがまた笑っていますように。
とても楽しい時間をありがとうございました!
皆様もぜひ、このパークへ遊びにいらしてください!
本作は、テーマパークを舞台にしたクリスマスの空気感と、軽妙な掛け合いが魅力のコメディ寄り青春作品だと感じました。冒頭から「ビッグボス」に怒られる主人公タテノくんの弱気さと、同期のあかねちゃんの可愛さがテンポよく提示されて、読んでいてすぐ作品世界に入れます。
日常パートの会話が小気味よく、恋の妬ましさや職場の空気の“あるある”を、やや誇張した独白で笑わせてくるのが上手いです。
そして「ダイブ」ことタイムスリップ。
「マエダ=ビッグボス」……もう、何か恋のようなものが始まる予感を感じます。「きっと可愛いんだろうな」と想像して、ドキドキしながら読み進めました。
また、タイムトラベルの謎や名前の食い違いなど、今後が気になる場面も。クリスマスの甘さも相まって、タテノくんとあかねちゃんの恋がどう転ぶのか、そして“過去のパーク”の真相と「マエダ」さんとの恋愛模様がどのように進むのか──とても気になります。
恋にこの二軸があるのが強いです!
読みやすく、会話の勢いでサクサクと読めます。
十年前のビッグボスと主人公が今後どのように関わり、そこに恋は発生するのか。
設定そのものが面白く、ラブコメとして相当気になる冒頭でした。
続きがめちゃくちゃ楽しみです。
本作の妙は、テーマパーク現場のドタバタ(オタク文化やSNSの騒がしさまで含めて)を笑いに変えつつ、タイムスリップが「言えなかった言葉」と「後悔」の輪郭を鮮やかに浮かび上がらせるところ。
主人公「僕」ことタテノ。小心者らしい内省とセルフツッコミで、テンポよくストーリーの大枠を作り、ジテーマパーク現場の“お仕事”もの×迷惑系・オタク文化を絡めた現代風コメディ×タイムスリップの中の後悔のドラマを接続した、笑いの中に切なさを差し込む構造。
映画・楽曲・恋愛ワードを引用、連想させるタイトル運用での章タイトルの遊びにも気づくと楽しい。作者のこだわりが見えます。
アニメのシナリオっぽい、軽快な読後感の良い作品です。
『ゾンビナイト〜ゾンビな僕はカオスなテーマパークで踊るだけ〜』待望の続編!
テーマパークで働くタテノくんはしょっちゅう失敗して叱られ、あかねちゃんへの恋心も伝えられない日々を送っていた。
そんなある日、タテノくんは突如十年前の世界に来てしまって⁉
『ゾンビナイト』を愛する人たちにとっては、あの個性豊かな面々が帰ってきて嬉しい限り! タテノくんの他、ビッグボスやハナさんたちも登場します。
もちろん『ゾンビナイト』未読の方にとっても、楽しいテーマパークの裏で起こる大騒ぎはとっても楽しく、読んでいると元気を分けてもらえます。
過去へ来てしまったタテノくんの行動は、一体何をもたらすのか。
更にカオスになった物語、ぜひお楽しみください!