第8話 大量殺人

 水香がこのメーデルの屋敷に来て,3日目の朝が来た。水香は,赤ちゃんのカイジを密かに連れ出す算段に目処がついたので,ちょっと嬉しかった。でも,そんなことはお首にも出さず,女中部屋にカイジを連れて来た。この女中部屋で,質素な食事を取る。


 水香の体は,食事を必要としない。食事しても構わない。体内に取り込んで,食事から,僅かなエネルギーを取り込むことができる。


 この場所は女中たちの情報交換の場になっている。というのも,働く内容によって,寝る場所が違っているからだ。


 「ねえねえ,聞いた? 昨日,貧民街で変死体が発見されたんだって」

 「うん,聞いた聞いた! それ,町ではかなり大事になっているわよ」

 「わたし,昨日買いだしに出た時,町の掲示板を見たんだけど,変死体って,干からびた死体なんだって。しかも,体に10本の孔が空いていたんだって目撃情報がぜんぜんないから,有益な情報提供者には,金貨100枚の報奨金までもらえるのよ」

 「えーー? 金貨100枚? すっごーい!」


 こんな話を聞いて,2ヶ所,間違っていると思った。体に孔があるのは5ヶ所,それに,顔や乳房,さらには,子宮やあの部分も切除されているよと教えたかった。でも,そんなこと,言えるはずもない。さて,この妖ヒトデ城の憲兵隊はどこまで優秀なのか? 果たして,捜査の手が水香のところまで届くのか?


 そんなことを思っていたら,女中たちは別の話題になった。


 「ねえねえ,そんなことより,もっと大事な事件があったのよ。『イルカ艇』の餌場が荒らされたんですって。その餌場って,貴重な魚を養殖しているところなんだけど,その魚を一時保管している倉庫が荒らされたんですって」

 「ええーー? 『イルカ艇』って,ここのご主人さまが運営している事業じゃない!」

 「そうなのよ。ご主人さまも,昨日,現場に駆けつけて,それっきり,昨日は戻って来なかったわ。どうやら,重大な事件に発展しそう」

 「妖イルカの餌がなくなったら,どうなるの?」

 「定期便が運行できなくなって,重大な損害が出るはずよ」

 「それって,わたしたちのお給金も支払えなくなるってこと?」

 「その可能性もあるわね」

 

 そこまで聞いて,ほかの女中たちは,ことの重大性を理解したようだ。だが,水香は,この話を聞いて,妖ナマコ島で起きた貯蔵庫荒らし事件を思い出した。まったく似たような事例だったからだ。まず間違いなく,犯人は妖ワタリバッタの仕業だろう。


 だけど,今の水香にとって,そんなこと知ったところで何も関係ない。妖ワタリバッタよ,もっともっと食い荒らせ!って感じだ。


 水香は,目立たずに朝食をとっていた。ただ,ちょっと巨乳すぎるのが目立ってしまう。だが,それについて,突っ込む女中はいなかった。


 今日は,メーデルは学院のある日だ。夕方にならないと戻ってこない。それに,マリアンも『イルカ艇』の事件に狩り出されるに違いない。つまり,日中はカイジの世話をしていればいいだけだ。こんな楽な仕事なら,このまま居着いてもいいかもしれない。いずれ,ビルカが頑張って皇太子の妃になれば,ビルカと入れ替わるだけだ。うん,打つべき手は打った。


 水香は,内心ニヤニヤしながら,目立たずに食事を終えて,カイジを世話する部屋に戻った。


 なんと,そこにマリアンが親衛隊の副隊長と,同じく親衛隊の隊員である万九郎と一緒にいた。


 水香「え? マリアンさま? どうしてここに?」

 マリアン「あなたを待っていたのよ。その赤ちゃん,どう? ベビーキャリアに乗せて運ぶことは出来そう?」

 水香「あまり長時間でなければ大丈夫だと思いますけど,それがなにか?」

 マリアン「女中の中で,あなたが一番暇そうだからよ。今日は,わたしの用事を手伝ってもらうわ。赤ちゃんの世話道具をすぐに準備してちょうだい。一緒に出かけるわよ」

 

 折角,今日は暇できると思ったのに,,,


 水香は,長い布切れにカイジを包んで懐に抱いて,布の両端を首の後ろに縛った。カイジをあたかもハンモックに乗せている感じだ。だって,カイジは,見かけミイラのような赤ちゃんだ。体重だって2kgあるかどうかだ。背負子式のベビーキャリアでは,体がぐらついてしまい安定しない。ミルクやオムツ類については,リュックに詰め込んで準備した。


 水香「マリアンさま。準備できました」

 マリアン「あなた,手慣れていわるわね。赤ちゃんの子守,初めてではないでしょ」

 水香「はい,以前はよく子守の仕事をしていました」

 マリアン「やっぱりね」

 水香「それで,これからどこに行くのですか?」

 マリアン「自動馬車に乗ってから教えるわ」


 自動馬車に乗ってから,マリアンが水香に説明した。

 

 マリアン「お父様は,イルカ艇を経営しているの」


 そこから話が始まった。


 マリアン「イルカ艇って,知っていると思うけど,ほかの海底都市に移動する交通手段なの。そのイルカの餌の一時保管庫が何者かによって食い荒らされたのよ。その対応は,お父と憲兵隊が対応しているわ。でも,どうしても5便だけ運行を中止せざるを得ないのよ。その顧客への対応に,わたしが狩り出されたってわけよ。客にペコリペコリと頭を下げないといけないの。それって,あなた,得意でしょう?」

 水香「え? 頭を下げる役??」

 マリアン「そうよ。あなたが臨時で担当者になってほしいのよ。それに,ミイラのような赤ちゃんを抱いている少女に,誰もつらく当たらないわ」

 水香「・・・」


 要は,水香は客に頭を下げる役割を担わされたってことだ。こんなことなら,犯人に同情しない! もし,犯人を見つけたら,コテンパンにやっつけてやるー!!


 水香は,外の景色を見た。どんどんと大結界に近づいているのが分かった。途中で,『水月公園』という標識が掲げられた公園があった。樹木が豊富な公園のようだ。


 しばらくして,大結界近くにあるイルカ艇の事務所に到着した。すでに欠航になった便の客たちが喚いて現場担当者たちが,ただひたすら謝っている姿があった。その役目を,今度は水香が担当することになる。


 マリアンは,親衛隊たちに大金の入った金庫を持たせて裏口から事務所に入った。水香もその後を追っていった。


 マリアンは,現場の担当者を呼んで,運賃の返却を担当させた。そして,水香には,客の先頭に立って頭を下げる役目を与えた。また,水香ひとりでは,万一のことがあってはまずいので,親衛隊の万九郎に水香の護衛をするように命じた。


 水香としても,こうなった以上その命令に従うしかない。


 水香が現場担当者に換わって,罵倒している客たちの先頭に立った。万九郎は,数歩引き下がった位置についた。


 客A「お? なんだ?てめえ! 巨乳の子守がなんでここにいるんだ!」

 水香「わたしもイルカ艇の担当者なんです。今日は非常事態なので,子守しているわたしも狩り出されました」


 まあ,ウソではない。


 客A「てめえ,勝手に運行中止しやがって! 大事な入社試験を控えているんだ! どう賠償してくれんだ! おれの一生がかかっているんだぞ!」

 水香「では,わたしもすべてをさしあげます。今日の午後1時ちょうどに,ここからそう遠くない水月公園に来てください。そこで,いいことをしましょう」


 そう言って,水香は,カイジを少しずらして,着物の隙間から,Iカップの乳房を半分以上見えるようにした。もう少しで乳首が見えそうだった。


 水香「この続きは午後1時ちょうどに,,,」


 そう言われては,その客もつばを飲み込んだ。午後1時まで,まだ3時間以上もある。でも,公園で散策して昼食でも取ればいいか。


 客A「わっ,分かった。約束は守れよ!」

 水香「こんな大勢の前で公言したんです。約束は守ります。わたし,サチエっていいます」

 

 水香は職業紹介所で発行された身分証を相手に見せた。


 客A「サチエだな。よし,分かった。この場は,運賃の払い戻しだけでがまんしてやらあ」


 そう言って,客Aは,やっと運賃の払い戻しのの準備が出来た場所に行って,素直にお金を受けとって戻っていった。


 客Aの対応を見た客Bは,一生の重大事を言えば,水香を抱けるとほくそえんだ。


 客B「おれは,大事な両親の葬儀に間に合わなくなった! その落とし前,どうつけるんだ!」

 水香「では,わたしもすべてをさしあげます。午後1時10分ちょうどに,水月公園に来てください。そこで,この続きをしましょう」


 そして,同じようにIカップの乳房を半分以上見せて,かつ,自分の身分証明書を示した。


 イルカ艇は10人乗りだ。いわゆる高速艇といっていい。ほかの海底都市にわずか2時間で着いてしまう。


 彼らが身ひとつで,海中を泳ぐと,3泊も4泊もかかってしまう。それに,海底で一人で夜を過ごすなど自殺行為だ。そのため,急がない場合は,行き先ごとの護衛が旗を掲げて客を集める仕組みを取る。最低人数が集まったら出発する方式だ。


 5便が欠航になったので,客の人数は50名だ。水香は,客ごとに10分ずらして,約束を取り付けていった。誰も水香の対応に疑わなかった。娼婦1名を差し出すだけで,客50名を満足させるのだから,至極当然の対応だと思った。


 ただし,5名ほど女性客がいた。彼女らには,男性客よりも早く,午後12時に,水月公園にもらうことにした。そこで,別途,賠償金を渡すと約束した。


 50名の対応に,わずか1時間半程度で済んだ。その手際よさに,万九郎は少々驚いた。でも,,,


 万九郎「サチエさん。見事な対応です。あれだけ騒いでいた客がおとなしくなってしまいました。でも,,,本当に,客達にその身を捧げるのですか?」

 水香「10分しかないので,せいぜいおっぱいを触らせるくらいよ」

 万九郎「でも,,,それだけで満足するでしょうか?」

 水香「まあ,なんとかなるんじゃない?」

 万九郎「そう願っています。あっ,おれ,ちょっと,トイレ,,,」


 万九郎は,そう言って,公衆トイレのある場所に向かった。


 ・・・

 万九郎はすぐに戻ってくると思ったが,すぐに戻って来なかった。

 

 水香は,マリアンに,別途,個別対応する客がいるので,屋敷へは歩いて帰ると伝えた。マリアンは,個別対応の意味を明確に理解した。巨乳で可愛い少女が個別対応をするなど,あの行為をする以外に何かあるというのか? でも,護衛に万九郎がいるし,せいぜいおっぱいを触らせて,気持ち良くさせるくらいだろうし,なんといっても,客の対応は最優先だ。マリアンは,水香の個別対応を許可した。


 しばらくして,万九郎が戻って来たので,水香は万九郎を護衛にして,水月公園に移動した。


 5名の女性客らは,水月公園の門の前で待っていた。水香は,この門の前で万九郎を待たせて,彼女ら5名を連れて,遊歩道から少し離れた場所にある林の中に入っていった。


 女性客A「あなた,もうこの辺でいいんじゃない? ほかに誰もいないわよ」

 水香「そうですね,,,じゃあ,この辺でしますか」


 トン!トン!トン!ーー


 水香はあっと言う間に5名の後頭部を強打して気絶させた。まったくの無防備の女性たちを気絶させることなど,霊力のない水香でも,容易なことだった。


 水香「フフフ,ごめんなさいね。わたし,もともとあなた方に賠償金なんて払うつもりがなかったの。これからあなたがたは,わたしの餌になるのよ」


 水香は,そう言って,一番手前で倒れている女性に向けて,右手の指5本を伸ばして,突き刺そうとした。


 スカッ!スカッ!ーー


 水香の5本の指は,その少女にヒットしなかった。ヒットする直前,その彼女はクルッと回転して,水香の攻撃を避けた。


 その少女は,水香の行動に注意しながら,ゆっくりと起き上がった。


 水香は,ビックリして数歩引き下がった。


 水香「え? どうして起き上がれるの? 気絶したんじゃないの?」

 女性「わたし,超強いのよ。あんな後頭部の打撃など屁でもないわ。今度は,わたしの番よ」


 その女性は,両手の指10本を伸ばして水香に襲った。


 ドス!ドス!ーーー


その速度が圧倒的だったので,水香はまったく無防備のまま,突き刺されるままだった。


 水香「え? 10本の攻撃?」


 水香は,女中たちが噂話しているのを思い出した。干からびた死体に10本の孔があったこと。それは事実で,もしかして,この女性が行ったのか?


 そんなことを思っていたら,その女性が険しい顔をした。


 女性「あなた,生身の体ではないわね? 血をまったく吸えないわ」


 そう言って,伸ばした10本の指を元に戻した。


 水香「あなた,もしかして,貧民街で女性を殺害したわね。しかも10本の孔を空けて!」


 その女性は,ここでは隠し立てするのは意味ないと思い,正直に言うことにした。


 女性「そうよ。血を吸った後,遺体を隠したの。でも,なぜかすぐにわたしの顔もばれて指名手配になってしまったわ。だから,厚化粧して着物も変えて,イルカ艇に乗ってほかの海底都市に移動しようと思ったのよ。その計画がパーだわ」


 その女性は自分の悲運を呪った。この海底都市ではうまく行くと思ったのに,,,


 水香は,オーラを診る眼に変えて彼女を見た。だが,普通のオーラをしていないかった。このオーラは,,,そう,傀儡人形によく見られるオーラだった。


 水香「お前,,,傀儡人形なの? いったい誰がお前を作ったの?」


 水香は,彼女の体全体を注意深く見た。すると,左手に見覚えのあるブレスレットをしていた。それは,まさに雲禅13号だった。


 水香「まさか,,,お前,,,青美なの? 青龍の意識体の?!」

 青美「え? わたしを知るってことは,,,まさか,,,女王さま?」


 青美がマジマジと水香を見た。青美は,水香が『サチエ』だと思い込んでいたので,いくらIカップの巨乳だったとしても,『水香』だとは思ってもみなかった。


 青美「その赤ちゃんって,もしかして銀次さま?」

 水香「いえ,違うわ。この子,霊力がないの。普通の子よ」

 青美「ふ~ん。でも,女王さまからも霊力を感じないわ。どういうこと?」

 水香「わたし,自分の肉体が人質に取られているの。でも,その後,いろいろあって,傀儡陣盤でこの肉体を得たのよ。あなたとはちょっと経緯が違うけどね。でも,青美,どうして海底都市なんかに来たの?」

 青美「実は,,,」


 青美は,獄正教・本部で起きたことを簡単に説明した。


 青美「獄正教・本部内で,人知れず大美女軍団の女性たちを殺して血を吸っていたんだけど,とうとうバレてしまい,ほかの大美女軍団たちに追い込まれてしまったの。もう逃げ場を無くした時に,紫江子が現れて,転移陣法を使われて転移させらたわ。その転移先が変な島の地下3階だったの。

 その後,ある若者と懇意になって,気力から泡力に変換する術を教えてもらったわ。身分証がなくても,夜こっそりと大結界を通過する方法もね。

 この海底都市に侵入して,娼館街で女性を襲ったら,誰かに見られていたんでしょうね。顔写真付きで指名手配されてしまったわ。わたし,襲った女性の身分証を使って,イルカ艇で逃げようとしたんだけど,運行中止だって! もう,運も最悪だわ。このままでは,わたしが殺した女性の身元がバレてしまい,わたしがその身分になりすましていることもすぐに分かってしまうわ」


 青美は溜息をついた。


 青美「海底都市なら,ノンビリと好きなときに血を吸って贅沢できると思ったのに,がっかりだわ」

 水香「ふ~ん。苦労していたのね。ところで,青美は変身できないの?」

 青美「そんな能力ないわ。厚化粧で誤魔化すくらいが関の山よ。どの道,この都市にはもう居られないわ。夜を待って大結界から逃げるわ」

 水香「青美なら,憲兵隊に追われても撃退できるでしょ。よく大暴れしなかったわね

 青美「わたしもバカじゃないわ。そんなことしたら,のんびりと暮らせないじゃない。低調に生きるべきだわ。そうでしょう? 女王さま?」

 水香「フフフ,そうね。まずは,倒れている『餌』をいただきましょう。お腹が膨れたら,いい考えも浮かぶかもしれないわよ」

 青美「は~い,女王さま!」


 水香は,4名の女性たちの乳房を見た。いずれも,BカップかCカップの乳房だった。それでも,それらの乳房を切除して,体内の亜空間収納陣盤の中に取り込んだ。このことにより,先日の3対の乳房と合わせて,合計で7対14個の乳房を確保することができた。


 それだけではない。4名の女性の子宮と陰部部分の組織も切除として体内に取り込んだ。端から見れば猟奇殺人だ。


 さすがの青美も,ときどき目を背けていた。


 その後,水香と青美は4名の女性体から血を吸って干からびた死体にした。水香はセイリスに依頼して,彼女たちの霊魂を悪霊曼荼羅界に格納した。


 もう,死体には用はない。水香と青美は,適当な場所に土を掘って4体の遺体を埋めた。水香と青美,,,ともに,ヒトの肉体を餌としか認識しない化け物だった。


 水香と青美は,埋めた遺体に対して軽くお辞儀した。肉体と命を提供してくれたせめてものお礼だ。もっとも,水香はいずれ彼女たちの霊魂を悪霊にして新しい肉体を与えるつもりだ。そのためか,罪悪感をまったく持っていない。


 水香「青美。わたし,『サチエ』の弟・ユミルの家に行けば,彼があなたに新しい身分証を発行できる手伝いをしてくれるはずよ。今の窮地を逃れるかもよ」

 青美「へぇ~ 女王さまって,意外と人脈があるのね」

 水香「フフフ,わたしもノンビリと,かつ,贅沢して過ごすために,いろいろと手を打っているのよ」

 青美「それって,女王さまのそばにいれば,わたしもそれにあやかれるってこと?」

 水香「そうかもね。あっ,そうそう。神人を敵と認識するビルカがユミルの家にいるかもしれないわ。気をつけてちょうだい」

 青美「わたし,青龍の意識体であって,神人じゃないわ。そもそも死人みたいなものなのよ。そんな心配いらないわ」

 水香「そうなの? とにかく,騒ぎは起こさないでね」

 

 その後,青美はその場から去った。

 

 女性の客たちの対応を終えた水香は,水月公園の門の前に戻って,万九郎と合流した。


 万九郎「女性客のひとりが去っていったのですが,ほかの4名はどうしたのですか?」

 水香「ん? そんなの,お前がしたのと同じことをしたのよ。万次郎,,,いや,清治? それとも,妖ワタリバッタの長(おさ)と呼ぶほうがいいのかな?」

 

 そう言われて,万九郎は,慌てて数歩引き下がった。


 万九郎「お前,,,おれの正体を?!」

 水香「どう? あの時,お腹に穴を空けたけど,もう大丈夫なの?」

 万九郎「お前,,,水香か?!」

 水香「正解よ。万九郎,あなた,妖ナマコ島からよくこの海底都市に逃げてこられたわね」

 万九郎「そんなの簡単さ。気力から泡力に変換する手印さえ覚えてしまえばいいだけのことだ。それに,泡力球は,おれの分体が交代で構築していけばいい。何日でも連続して構築できる。海底を球内で移動することも造作も無い」

 水香「本物の万九郎はどうしたの? 殺したの?」

 万九郎「おれは,殺しに興味はない。食料庫を襲うのが専門だ。万九郎は,あと数時間で意識を取り戻すだろう。もっとも,ロープで縛られているから,さて,いつになったら解けるやら?」

 水香「あなたって,意外と紳士なのね。驚いたわ。どう? わたしの仲間にならない? 新しい身分を提供できるかもよ?それに,わたしのお願いで,利害が一致している間だけでも協力してくれればいいわ。どういいと思わない?」

 万九郎「ほう? それはそれは。おれはイルカ艇で別の海底都市に行く予定だったが,出来なくなった。次の予約をするにも1週間後だ。その間,別の人物になりすます必要がある。よし,その話,乗った。おれの本当の名前は,蝗児(こうじ)だ。これからは,蝗児と呼んでくれればいい」

 水香「分かったわ。もうすぐ約束の午後1時になるわ。男たちが来たら,10分沖に門を通して,右側奥の林の中に行くように言ってちょうだい。そこで,いいことしてあげるって」

 蝗児(万九郎)「まさか,男たちを殺すのか?」

 水香「分からないわ。性格のいい子だったら殺さないし,悪い子だったら,悪霊にして再教育かな?」


 蝗児は,今一,その意味を理解できなかった。


 かくして,午後1時になって,男たちが三々五々集まって来た。蝗児は,時間を計って,10分沖に男たちを門に通過させていった。


 最初の客が来た。水香はどうすべきかを知っていた。水香は,カイジを布で木陰の傍に置いてから着物を脱いだ。水香は全裸になった。豊満なIカップの胸が前後に揺れた。


 その客は,眼をギンギンに輝かして,瞬時に自分の服を脱いで,水香を草むらの上に倒して,Iカップの胸に覆い被さった。


 水香は,自分の頭と彼の頭をも接触させて強く念じた。


 『我が命令に従えー!』


 その念じた威力があまりにも強かったため,彼の行動はその場で硬直した状態になった。その数分後,やっと硬直状態が解除された。


 その男は,この状態でも,無意識に何をすべきかを知っていた。本能のように水香のIカップの胸を握り倒して水香を犯した。だが,その行為を続けながら,水香に返事した。


 「はい,あなたの命令に従います」

 

 なんとも,水香の胸を揉みほぐしながら,かつ,水香を犯しながらも,水香の命令に従うと返事した。なによりも,今行っている行動を止めろと命じられていない。


 水香は,自分の強力な念話が功を奏したのはいいが,命令の与え方がまずいと思った。


 水香「わたしから離れなさい」

 男「はい。1mmほど離れます」


 そう言って,水香を延々と犯し続けた。


 水香「・・・」


 水香は,もう何も命令する元気を無くした。もともとは殺すつもりだったが,その元気も無くしてしまった。


 それに,この乳房や陰部は,本物の組織だ。そこから生身の感覚が水香に伝わってくる! 性的快感だ! もう,なすがままにさせよう!


 10分が経過して,もうひとりの男性が来た。だが,水香は,最初の男性に犯されたままだった。そこで,自分のあの部分を水香の口に含ませて犯した。


 その後,最初の男性が粘液を水香の陰部の体内に放出して戦線から離脱した。妊娠する可能性が充分にあった。


 その後,2番目の男性は,水香の口で犯すのを止めて,今度は,引き継いで水香の陰部を攻撃した。


 水香は,もう好きにしてと,もう,なすがままにさせた。3人目が来て,4人目が来て,,,,


 水香は,どうせなら乳房でも犯せるようにと,先日確保した本物の2対の乳房を亜空間から出して,体内から体表に出現させた。さらに,ビルカが解析に成功した妖牛の乳腺生成陣法を3対6個の乳房に発動させた。


 ブーーーン!


 本物の組織体である6個の乳房がどんどんと大きくなっていった。Mカップの乳房は,Zカップ(両方で20ℓ )ものの大きさになった。さらに,その乳房の下部の腹部,さらに腰部に装着された乳房は,いずれもMカップ(両方で8ℓ )になり,しかも乳首が何倍にも大きくなった。水香は,乳首の中心部に右手の先をキリ状にして,孔を空けた。男性のあの部分を充分に取り込めるように乳首改造した。


 人数が増えるにつれて,口,陰部,さらに3対の乳房で,最高8名を同時に相手可能になった。超変態体型と呼ぶにふさわしい。さらに人数が増えても,脱落する客が出てくるので,最高8名の対応で事足りた。


 もう,客どもは,半狂乱になって水香を犯し続けた。だが,一度に8人も同時対応ができる超変態体型になると,脱落する客が出て来て,これ以上の変態体型に変身する必要はなかった。


 しかも,本物の乳房のため,乳首が犯されているのにも関わらず,徐々に母乳が出るようになった。もともと母乳を豊富に出すための陣法だからだ。


 出すべきものを出した男たちは,その場でうずくまって寝るようにして意識を失った。彼が放出すべき粘液だけでなく,精力のすべてを放出したような錯覚を覚えた。


 水香は,犯される行為の中で,精力さえも放出されて来るのを感じ取った。その感覚をいったん覚えてしまうと,霊力がないにもかかわらず,あの行為を経て,かつ,乳首からでも口からでも精力を吸収できるようになった。


 この時,水香は霊力がなくても,男どもに犯される行為を経て,思念だけで精力を吸収できる正真正銘の化け物に変化した。


 そんな水香の変化など,まったく気にすることのない客どもは,意識を失った客を退かして超変態体型の水香を犯した。その姿,,,もう色気があるというものではない。まともな男なら,その場から逃げただろう。だが,もうこの場は,すでに催淫香が焚かれているかのように,男どもは性的に半狂乱になって水香を犯す以外何も考えられなかった。


 時間が推移した。意識を失う客がどんどんと増えていった。そして8時間が経過した。


 その場には,45名の気絶した男どもがいた。


 水香は,本物の3対の乳房をどうしようか悩んだ。本物の子宮には,粘液がパンパンになってしまい,途中で別の子宮に変更し,それもパンパンになったので,さらに,3個目の子宮も使った。もしかしたら,3個の子宮で妊娠してしまったかもしれない。

 

 セイリス『女王さま。本物の陰部の組織体を使うと,妊娠してしまいますよ。注意してくだいね』

 水香『それって誰の子になるの?』

 セイリス『生物学的に女王さまの子ではありませんから安心してください』

 水香『・・・』

 セイリス『あっ,でも,女王さまの場合,妊娠しても,その胎児の霊魂が宿すことはないので,自分の予備の肉体にすることができるかもですよ』

 水香『フ~ン』

 

 とにもかくにも,亜空間収納符篆陣法を発動させて,水香の本物の4対の乳房を,亜空間に収納させて,魂力によるIカップの偽乳房を生成させた。


 水香『男たちから霊魂を奪ってちょうだい』

 セイリス『死んでいないので出来ないです。血を吸って殺してください。精魂尽きているのでひとり1ℓ も吸収すれば死んでしましますよ』

 水香『分かったわ』


 バシュー!バシュー!ーー


 水香の10本の指が伸びて,10名の男どもの心臓のある左胸に突き刺さった。刺す行為だけで,充分に死に至らしめる行為だ。1分も吸収すると,優に2ℓ 以上の血を吸収できた。それを5回ほど繰りかえして,45名の男性を僅か5分で殺した。


 その過程を経て,魂力のIカップの乳房が,エネルギーをどんどんと貯めていって,Zカップ(両方で20ℓ )の大きさになってしまった。


 その後,セイリスは悪霊たちを放って,45体の霊魂を悪霊曼荼羅界に回収した。


 セイリス『女王さま。今回は,容易に回収できました。いつもなら,精神的に満足していないので,死体から引き離すのが困難なのですが,今回は,まったくそんなことなく,とてもスムーズでした。今後も,男たちには性的に満足させるのが肝要だと思いますよ』

 水香『分かったわ。どう?悪霊曼荼羅界のエネルギーは充分に確保できたの?』

 セイリス『はい! 今回は,新鮮な精力も確保出来ました。やはり,徹底して性的に奉仕させるのが肝要です。これからもこの方式でお願いします』

 水香『それって,わたしに,正真正銘の娼婦になれってこといでしょう?』

 セイリス『いえ,性奴隷妖豚になれってことです。だって,女王さまは,本物の乳房が,合計で7対14個の乳房を持っているのでしょう? それって,妖豚の乳房と同じなんですよ。だから,女王さまは,性奴隷妖豚なんです!!』

 水香『・・・』


 セイリスはさらに言葉を付け加えた。


 セイリス『今回,女王さまは,あの行為を経て,精力を吸収する能力を目覚めさせました。それって,女王さまが霊力を最初に獲得した時も,今回のように何度も犯されることで,霊力に精力を吸収する能力を与えたのではないですか?』

 水香『はあ??』


 水香はまったく意味不明だった。


 セイリス『女王さまが霊力を身につけた時のことを思い出してください。今回と同じようなことがあったのではないですか? つまり,霊力が精力を吸収し,かつ寿命エネルギーまでも奪うようになった,,,それって,もしかして,女王さまが,何度も犯されることで,女王さまが無意識に霊力にその能力を与えた。そう考えることはできませんか?』

 

 そんなこと言われても,昔のことなどもう忘れてしまった。


 水香『それって,この気力の体にも,そのような能力を付加できるってこと?』

 セイリス『すでに,あの行為を経て精力を吸収できるようになったんです。もしかしたら,寿命エネルギーも奪えるって,女王さまが強く念じれば,魂力の肉体にその能力を付与できると思いますよ』

 水香『ふ~ん。今度,そんな機会があったら,試してみようかな? ところで,この死体の山,どうしたらいいと思う?』

 セイリス『女王さまは,すでに壊劫の炎を生成できるのでしょう? しかも,実際の炎でも,かつ,オーラの炎でも』

 水香『ここは森林の中よ。山火事になってしまうわ。こんな海底都市で山火事が起きたら,さほど時間がかからずに酸欠になって,都市が死滅してしまうわ』

 セイリス『へぇ~ 女王さまって,意外とまともなのね。このまま放置しても,目撃者がいないので,さほど問題とならないかと。でも,安全の意味で,替え玉の身分を確保しておけばいいでしょう。だって,今の女王さまは自由に変身出来るのですから』

 水香『それもそうね。じゃあ,このまま放置するわ』

 

 水香は死体から貴重品を奪って,リュックの中に収納した。


 3対の生身の乳房,ZカップとMカップx2の乳房,しかも,乳首が男性のあの部分を収めてしまうという奇形になってしまったが,それらを体内の亜空間に収納した。


 ちなみに,祭司から預かった亜空間収納陣盤は,4つの隔離された部屋があり,水香が預かった時点で,すでにその2部屋が埋まっていた。本物の乳房などを収納するのに一部屋を使った。残り1部屋だ。


 その気力の乳房は,男どものパワーを吸って,一気にZカップを遥かに超えて,両方で90ℓ もの超巨大な乳房になってしまった。もう,乳房と呼べるものではない! というのも,45名の男どもから,血液を2ℓ ほど奪ってしまった。その血液が,そのまま両方の乳房に振り分けられた。片方で45ℓ もの超超巨大な血液収納乳房に変貌した。


 水香は,この気力の乳房を身に纏うことは無理だと思った。そもそも,まともに歩けない。その残り一部屋を使うか,,,


 水香は,已むなく,残り一部屋を使うことにした。それに,血液なので,数日のうちに吸収されるだろう。その時,気力の乳房は,だいたいIカップ(両方で2ℓ )ほどの乳房になるはず。


 そこで,水香は,自分の胸部に,新鮮なMカップの乳房を気力を使って生成した。


 水香「やっぱり,この大きさがちょうどいいかな?」


 水香は,ちょっと満足して,脱ぎ捨てた着物を着て裸体を隠して,木陰に置いたカイジを抱いて,蝗児のいる水月公園の門のところに戻った。


 水香「蝗児。わたしをマリアンの屋敷まで送ってちょうだい」

 蝗児「まあ,それはいいのですが,男連中はどうしたのですか? 全然,戻ってきませんでしたけど?」

 水香「わたしの餌になったわ」

 蝗児「可哀想に。45名の命が,,,でも,45人もの餌を食べても,水香の体は,全然変化しませんね。亜空間収納でもあるんですか?」

 水香「そうよ。たまたまスペース的に余裕があったから良かったけど,その余裕が無かったら,わたし,まったく動けないところだったわ」

 蝗児「・・・,ところで,水香は,精力を吸収するんですか?」

 水香「精力と妖力も吸収するわよ。でも,今度は,寿命エネルギーを奪えるか試してみるわ」

 蝗児「寿命エネルギー? よくわかんないけど,でも,おれは,倉庫を襲うだけで,不要な殺人はしないぜ。水香って,もしかして殺人狂か?」

 水香「殺人狂,,,そうかもね。でも,たかだか50名くらいよ。めっちゃ少ないわ」

 蝗児「はあ? 少ない??」


 蝗児はあきれてしまった。


 蝗児「水香,いったいこれまで何人殺してきたんだ?」

 水香「そんなの,数えたこともないわ。まあ2万人には達していないと思うけどね。少ないでしょう?」

 蝗児「・・・」


 蝗児はもう何も言えなかった。その後,数時間かかって,水香をマリアンの屋敷に送った。蝗児は,水香の指示で,サチエの弟・ユミルの家に向かった。

 

 ーーー 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

第11節 水香が行く ー地獄界の海底編ー @anyun55

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る