第4話 奴隷棟
2kmほど移動すると,巨大なドーム状の透明結界,通称『大結界』で覆われた海底都市が出現した。
その手前で,星影がミズキの球体に口部を接触させて,言葉を発した。
星影「その紫色の球は目立ちすぎます。ミズキさまは初級レベル,ユズハさまは基礎レベルで通していただきます。球を解除していただけませんか?」
ミズキ「・・・,了解です。海水で体が濡れるのは慣れていないのですけど,大丈夫だと思います」
星影は,ミズキやユズハが海洋族でないかもしれないと思い,海水中でも呼吸方法を教えた。
星影「われわれ海洋族は,両側の肩の部分に海水の吸入口があり,そこから海水を取り込む。肺部に隣接したエラ構造によって酸素を取り込み,背にある3対のエラ孔から海水を排出する。会話はエラに隣接した振動板があり,それを使って音声を発する」
ミズキがニコッとして返事した。
ミズキ「大丈夫ですよ。ボクたち,妖ナマコ族ですから!」
ポン!ポン!
ミズキとユズハの体を覆っていた紫色の球が破裂して消滅した。その後,ミズキは振動板を使って話しかけた。
ミズキ「星影さん,どうですか? 海中でも聞こえますか?」
星影「なんと,,,まったく海洋族の音声と少しも違いありません! これは驚きです!」
今度は,ユズハが自分の背に構築した振動板を使って声を発した。
ユズハ「どう? わたしの音声? 可愛い声だと思わない?」
星影「・・・,確かに,可愛い声ですが,,,」
声が可愛いのは,この際どうでもいい。ユズハはもともとピンク色の着物1枚しか着ていない。そのため,薄らと半透明になってしまい,Dカップの巨乳がはっきりと認識できた。
そんなエロい姿は,本来なら大歓迎なのだが,今はそんな場合ではない。妖ヒトデ城に入るには,検問所を通ることが義務付けらている。今のエロい姿では,『淫乱誘発罪』で,即,牢獄行きだ。ちなみに,妖ヒトデ城の大結界からの出入りは特別な許可がない限り禁止だ。
星影はユズハに依頼した。
星影「ユズハさまのそのエロい姿では,すぐに逮捕されてしまいますよ。せ
めて,乳房と陰部を隠してください」
ユズハはもっともだと思い,周囲を見渡した。手頃な海草がいくつかあった。それらを採取して,サラシとブンドシ代わりにした。その上に着物を羽織った。
星影「まあ,その恰好なら,最低限,大丈夫でしょう」
ユズハ「でも,わたし,身分証なんてないわよ」
星影「それは大丈夫です。おれたちが身元保証人になって,検問所で身分証を発行してもらいます。海洋族以外なら問題ですが,海洋族なら問題ないですよ」
ユズハ「・・・」
ユズハ自身は海洋族だが,水香の霊魂は海洋族ではない。でも,そんなことは,あまり気にすることではない。
星影「確かに検問所では,最低でも海洋族であることを証明するために,妖力を使って変身することが求められます。大丈夫ですよね?」
ユズハ「は~い。大丈夫で~す」
当然だ。ユズハは妖ナマコ族だ。
そう言って,ユズハはさっさと検問所の方向に泳いでいった。星影も後をついていった。
検問所は大結界の中にある。大門と呼ばれる場所から大結界を通過する。星影はミズキを背負って黄色の球を自分の周囲に展開して,その結界を通過した。星羽はユズハを背負って,同様にして結界を通過した。
結界を通過すると,そこにはもう海水はなく,陸地とほとんど変わらず,新鮮な空気に満ちあふれていた。
検問所では,検問官がミズキとユズハに変身するように命じた。
ボァ~!
ミズキとユズハが裸になって,背面が黄褐色に変化して,トゲが縦4列に並んだ。頭部や体の前面はヒト型のままだった。その形態こそ,妖ナマコ族本来の姿だ。
ミズキとユズハが妖ナマコ族だと分かったので,その場で身分証が発行された。それは,特別な貝殻で,そこに,『12045番,妖ナマコ族・ミズキ』,『12046番,妖ナマコ族・ユズハ』とナイフで削って書かれたものだった。簡単なものだが,この種の貝殻をほかの場所で見つけるのは困難なため,偽造するのは容易ではない。
検問所を通過して,その部屋から出ると,そこは,まさに海底都市『妖ヒトデ城』だった。土と何か特殊な硬化剤とを練ってコンクリートのように硬い材質にして建築物が構築されていた。建築様式は,四角柱のような角形ではなく,角がほとんどないドーム型を基本としていた。妖ヒトデ族の好みの問題なのだろう。
平屋建てから5階建ての建造物まであった。5階建ての建築物は,ぱっと見,食べた後に排出されるアレと同じような形状をしていて,水香にとっては,プッっと笑いたくなるものだった。もしかしたら,海洋族のアレは,大陸族のアレとはまったく違う形状なのかもしれない。
ミズキとユズハは,城下町に行く道すがら,星影から妖ヒトデ城の概略について説明を受けた。
星影「妖ヒトデ城の大結界は,直径50kmほどのドーム状になっている。現在の総人口は,およそ50万人くらいだ。
複数の部族から成っていて,貴族階級の妖ヒトデ族をトップに,隷従部族として,妖ウニ族,妖ナマコ族,妖ヤドカリ族などがいる。特に,妖ウニ族は,貴族階級になるべく勢力拡大を図っている状況だ。もっとも,どの部族も似たり寄ったりだ。妖ヒトデ族だって,貴族間での地位を向上させるため,勢力拡大を図っている」
ユズハ「勢力拡大って,何をするの?」
星影「単純に部族の人数を増すことだ。でも,肝心の食料が不足している。海中の妖海獣たちを効率よく捕獲できればいいのだが,やつらは凶暴で逆に返り討ちにされる。結局は,大陸から巨乳小女たちを確保して,母乳から乳製品を精製するのが確実な方法だと,上層部は判断している」
ユズハ「でも,なんで大陸から連れてくるの? 海洋族でなんとかすればいいんじゃない?」
星影「それは無理だ。ヒト型に変身できる海洋族は母乳をまったく出さない。海洋族の乳房はまったくの『偽乳』だ。それに,母乳を出す妖クジラや妖イルカなどは,ヒト型に変身できる『族』に進化しない」
ユズハ「え? どうして進化しないの?」
星影「そこまでは知らない。類推するに,悠々自適に泳ぎ回るやつらは,大体が『族』に進化しない。海中での生活が好きなんだと思う」
ユズハ「ふ~ん,そうなんだ」
星影はさらに説明を続けた。
星影「治安維持については,憲兵隊が担っているのは当然として,憲兵隊の中から,特殊任務の仕事が振られる。われわれも,憲兵隊の第7分隊所属だが,勤務成績が良かったため,今回の『検収人』としての特殊任務の仕事が与えられた。言ってみれば,ご褒美みたいなものだ。でも,まさか,こんな状況になるとは,,,」
ユズハ「こんな状況って,それ悪い意味なの? わたしの豊満な体を犯しておいて!」
星影は慌てて否定した。
星影「いやいや,そうではないですよ。めっちゃいい経験をさせていただきました! 最高のご褒美ですよ!」
だが,ユズハを犯した思いよりも,あの『すかしっ屁』の強烈な臭いが未だに尾を引いていて,すべてが台無しになった感じだ。
歩くこと,約2時間ほどで城下町に来た。その間,海水で濡れた着物が乾いた。だけど,塩分が残っているので,なんか気持ち悪い。慣れればいいのだが,慣れるまでまだ時間がかかりそうだ。
城下町の境界部分には,特段の塀などはない。そこそこ賑わっていて,貨幣も流通していた。貨幣は特殊な貝殻を加工したものが使われている。金色,銀色,銅褐色の3種類の貝殻の通貨だ。ほぼ大陸の金貨,銀貨,銅貨に相当するので,『金貨,銀貨,銅貨』と呼ぶ習慣だ。
お城の建物は,平ぺったいドーム状構造物が5段積み重なった構造をしていた。大蛇がドクロを巻いたような構造だ。この建物は,通称『ドクロ城』と呼ばれている。
ドクロ城に行く前に,星影たちは露天の料理屋で軽く食事を取ることにした。
ユズハはメニューを見た。そこには,「イモ盛り」,「サトウキビ盛り」,「豆盛り」,「海藻盛り」,「肉盛り」の5種類しかなかった。しかも,「肉盛り」は,ほかの料理の10倍ほどの高額だった。
ユズハ「これって,料理なの?」
星影はニヤニヤしながら言った。
星影「露天は値段が一番安いから,こんなものしかない。でも,食べてみなさい。結構いけるよ」
ユズハは少し不満だった。でも,今のユズハは,表向きは星影たちの奴隷身分だ。文句を言える立場ではない。
まもなくして,上述の5種類の料理が出された。それらを取り分けて食べる方式だ。
ユズハは早速,それらを少量ずつとりわけて,食べてみた。
ユズハ「あら? 意外とうまいわね。これなら,もう少し食べてもいいかも」
星影は得意げに言った。
星影「そりゃそうさ。露天料理屋は安さも大事だが,味も重要だ。マズイ露天料理屋屋はすぐに潰れてしまうのさ」
ユズハ「ふ~ん。それなりに頑張っているのね」
ユズハたちの近くで食事をとっていた2人組の客がある会話をしていた。ヒソヒソ話だったが,ユズハにははっきりと聞こえた。
「おい,聞いたか?今度の泡力中等学院の受験方法が変わるって?」
「なに? 今さら変わるのか? じゃあ,今までも勉強や修練方法は無駄になるのか?」
「なんでも,今回は,個人の能力ではなく,グループでの団結力を重視するらしい」
「ふ~ん。そうか,,,すぐに娘に教えてやろう」
ユズハが,そんなヒソヒソ話に傍耳を点てて居ると,大通りの奥から馬車のようなものが走ってくる音が聞こえた。音が大きくなるにつれて,それが,馬車ではなく,何らかの動力源によって,車輪が回転しているようだった。かつ,動力源から,「バンバンバン!」という小さな連続的爆発音がした。
それは,現代的な自動車に似た乗り物『自動馬車』だった。馬の代わりに濃獣石の動力で動く乗り物だ。ユズハは,そんなものを見るのは初めてだった。
それは現代の自動車とは似ても似つかぬもので,車輪は木製で地面の震動が直接キャビンに響く感じで,乗り心地までは考慮されていないようだ。
ガタン!
その乗り物が,道路の凹みにはまって車輪が外れてしまった。
コトコトコトーー!
その外れた車輪がミズキたちのいる露天料理屋の方向に向かってきた。その車輪は,直径1メートルほどの大きさもあった。
「やべー! 車輪が行ったぞーー!」
「気をつけろーー!」
「逃げろーー!」
などと,近くの通行人が叫んだ。
ミズキたち4名以外の客は,その声に反応して,あたふたとその場から去った。星影と星羽もすぐに退避した。
ユズハもその場から去ろうとしたが,ミズキの体を支配した魃鬼がユズハの手を取って,そこから屍気を流した。
ユズハ「え?」
その直後,ユズハの体は屍気によって覆われてしまい,その場で硬直状態になった。
ドーーン!
車輪が,ものの見事に水香の体に直撃した。ユズハと車輪はそのまま露天の簡易机や椅子などに激突して動きを止めた。
屍気で覆われたユズハの体は,ある意味,結界で覆われている状態だ。そのため,車輪や机,椅子との激突でも,肉体へのダメージはまったくなかった。
魃鬼が,慌ててユズハのそばに来て,彼女の手に触って屍気を回収しながら,小声でささやいた。
魃鬼「水香,すぐにユズハの体を憑依して,体中に血が流れた偽装をしろ!」
この時になって,水香はやっと魃鬼の意図を理解した。水香は,ユズハの体を支配して,明鏡玉から妖力を流して血が流れ出したように偽装した。
その自動馬車のキャビンから若者とメイド服を着た小女,初老の執事,さらに,私服で剣を腰にかかげた若者2名が降りて来た。
若者は部下たちを従えて,車輪が転がった場所に来た。車輪がところどころ欠けていた。
その若者は,欠けた車輪と血だらけの巨乳小女・ユズハを見た。
若者「おい,コラッ! お前か! オレ様の車輪を壊したのは! 弁償しろ! この車輪だけでも,金貨100枚はしたんだぞ! お前の命よりも,何倍も高価なんだぞ!」
この言葉に,魃鬼はなんかおかしな状況になったかもしれないと思った。彼は,水香が大怪我したことで,自動車の所有者に賠償金をせしめるつもりだった。だが,まさか,車輪の賠償を請求されてしまうとは?! どうやら,所詮,今の奴隷身分では,どうすることも出来ないようだ。それに,相手は貴族での高位の身分のようだ。ここは,しばらく様子見といこう。
魃鬼は水香に念話した。
魃鬼『水香が受けた健康被害の賠償を請求しようと思ったが,逆の結果になってしまった。ここは,しばらく流れに任せなさい。ただし,当面の間は,殺人や失踪事件などは起こすな』
水香『はい,は~い』
星影と星羽が慌ててその若者のそばに来て,彼に対して最敬礼を行った。
星影「若様,とんだ失礼をいたしました。わたくし,憲兵隊第7分隊所属の星影と申します。このたび,実験島での貢ぎ物検収の任につきました。その際,貢ぎ物の不足分を,この小女・ユズハと,そこにいる青年・ミズキを奴隷として入手しました。今はまだ,この者たちの処分先がまだ決まっていない状況です」
若者「なるほどな。ともかくも,この小女の体で,金貨100枚を返してもらうぞ。返済が終わってから,憲兵隊に戻してやる。それでいいな?」
若様から,そう言われてはどうしようもない。だが,今の星影は魃鬼の奴隷身分だ。勝手に決めることはできない。
魃鬼は近くにいた星羽に耳打ちした。それを受けて,星羽は星影に耳打ちした。星影は軽く首を縦に振った。星影は若様の提案に同意した。
星影「若様,了解しました。どうぞ,ユズハを持ち帰りください。では,その旨,憲兵隊隊長に報告させていただきます」
星影と星羽は若様に深々とおじきした。
若様「物わかりが良くて結構だ。では,小女を連れていくぞ」
この界隈では,人力車が数台控えている。その一台を呼んで来て,血だらけのユズハを乗せて,若様たちと一緒に城主の後宮に移動した。
・・・
ユズハを見送った星影は,魃鬼に言った。
星影「ユズハさまは,どうなるんでしょうか?」
魃鬼「心配すべきは,ユズハではない。あの若様や周辺の連中だ。それより,ユズハを奪われても,支障はないのだな?」
星影「そこは,正直に言うしかないでしょう。なんせ,相手は,城主のひとり息子,若様ことカツラさまなのですから」
魃鬼「その若様って,どんな人物なんだ?」
星影「まあ,変態なのは間違いないですが,それ以上に,濃獣石を使った科学技術の天才ですかね。あの自動で動く馬車,通称『自動馬車』を開発して商品化にもっていったのも,若様なんです。今では,海水中でも高速に移動できる乗り物の試作も完成したってと聞いています」
魃鬼「ほう?なかなかの人物なのだな」
星影「はい。確か,今は,泡力中等学院の3回生で,3ヶ月後には,王都にある泡力高等学院を受験する予定だと伺っています」
魃鬼「なるほど。ともかく,今は,ユズハのことは気にするな。あいつは,どんな手段をとっても,必ず泡力中等学院に入学するすはずだ。おれも予定通りミズキとして,その泡力中等学院の入学試験を受けて入学しなけばならん。星影,星羽,なんとしても受験資格を確保しなさい」
星影「ミズキさま,全力でその望み,叶えるべく努力します!」
星影たちは,ミズキやユズハが仙人・天女レベルかそれ以上の超がつくほどの強者であることを知っている。ここは,丁重に対応するだけだ。
星影たち3名も,通称ドクロ城に向かった。
・・・
ー ドクロ城・憲兵隊の本部事務所 ー
会議室で,星影たち3名は,憲兵隊の隊長と,城主の娘で,かつ,臨時宰相代理の役職である千草姫(15歳)と面談した。ちなみに,千草姫と若様は双子だ。千草姫の方が姉になる。
最初に,星影から実験島での貢ぎ物の検収を行ったこと,不足分については,ミズキとユズハの2名を奴隷として確保したこと,また,ユズハは,若様であるカツラによって奪われたことなどを報告した。
千草姫「チッ,カツラの奴,勝手に奴隷を奪いやがって! まあいいわ。それで? そのミズキって子は,乳製品製造工場で重労働させることでいいのね?」
千草姫は,年齢が年齢のため,相手の意見を聞きながら決定するスタイルをとっている。また,臨時宰相代理といっても,仕事を任されているのは,実験島や乳製品の製造に関することくらいだ。というのも,彼女も,泡力中等学院の3回生で,3ヵ月後には,王都の泡力高等学院に受験することが決まっているからだ。
ここで,星影がミズキから依頼された件を提案した。
星影「実は,,,ミズキには,ある特殊能力があるんです」
この言葉に千草姫は鋭く反応した。
千草姫「ほう? どんな能力なの?」
星影「では,ミズキ本人から説明していただきます」
千草姫「では,ミズキ,説明しなさい」
ここでミズキの体を支配している魃鬼が話し始めた。
魃鬼「あの,,,能力というほどのものでもないのですが,実は,この黒玉を入手したんです」
魃鬼は,首からぶら下げた黒玉を取りだして,千草姫に見せた。
千草姫「え? この黒玉からは,何も感じないんだけど? これ,いったい何なの?」
魃鬼「ボクも拾った時は,よく分からなかったんですけど,でも,しばらくして,夢の中でその黒玉の使い方を知ったんだ。それ,前の持ち主とコンタクトできる宝具だと分かったんだです」
千草姫「前の持ち主?」
魃鬼「そう。その前の持ち主は,大陸にいて,かなりの人望がある人物のようです。夢の中で,黒玉にお願いすれば,その前の持ち主と接触できるようになります」
ここまで説明して,星影が捕捉説明した。
星影「つまり,ミズキは大陸の前の持ち主と接触することが可能なんです。大陸の巨乳美少女を,指定の場所に来てもらうことも可能です!」
この言葉を聞いて,やっと千草姫がニコッと微笑んだ。
千草姫は,黒玉をミズキに返して命じた。
千草姫「フフフ,ミズキ,では,お前に命じる! 3日後の宵の刻に大陸の王都にある噴水の間に巨乳美少女2名をそこにいるようにお願いしなさい」
魃鬼が返事をする前に,星影が先んじて返事した。
星影「千草姫さま。ミズキに命じるのはいいのですが,もし,本当に大陸から巨乳美少女を召喚するのに成功したら,ミズキになんらかのご褒美を与えてもいいのではないでしょうか?」
千草姫「ふ~ん,,,お前,事前にミズキとなにやら約束でもしたのか?」
この言葉に星影は,ニヤッとした。
星影「千草姫さま,実は,もし,ほんとうにミズキが大陸から巨乳美少女の召喚に成功したら,彼に,泡力中等学院を受験する便宜を与えるよう,千草姫さまにお願いすると約束しました」
千草姫「ほう?」
千草姫は改めてミズキを見た。
千草姫「ミズキ,お前はなんで泡力中等学院に入学したいの?」
ミズキ「ボクは,泡力武術の面では才能はありません。ですが,ヒトデ城の泡力中等学院では,煉丹術,治療術,濃獣石科学などの分野にも力を入れていると聞きます。その方面なら,ボクのようなものでも修得できるかもしれません。
千草姫さま,どうか,どうか,わたしを泡力中等学院への入学資格を与えていただきたいと思います」
ここで,終始だんまりを決め込んでいた憲兵隊隊長が千草姫に耳打ちした。
隊長「千草姫さま。ここは,暫定的にでも,受験資格を与えてはいかがでしょうか? ミズキが受験したとしても,試験官に厳しい採点をさせて不合格にさせればいいんです。その後は,予定通り彼を乳製品の精製工場で強制労働してもらいます。なんら損失はありません」
千草姫は,そのアドバイスにニタッとして,魃鬼に言った。
千草姫「分かったわ。召喚に成功したら,受験資格を与えましょう。でも,受験しても不合格だったら,予定通り強制労働よ」
この言葉に,魃鬼はニコニコした。
魃鬼「千草姫さま,ありがとうございます。その条件で結構です。では,今晩,寝入った際,夢の中で,黒玉に誠心誠意お願いしてみます」
千草姫「忘れないでよ。3日後の宵の刻に,大陸の王都にある噴水の間に,巨乳美少女2名を呼ぶのよ。分かった?」
魃鬼「しっかりと覚えました」
千草姫「では,うまく召喚できたら泡力中等学院への編入試験を受ける許可を与えましょう」
千草姫は星影に命じた。
千草姫「星影,それまではミズキを離れにある奴隷棟で過ごせばいいわ」
星影「分かりました。では,そのように」
星影と星羽は,千草姫と隊長にお礼を言って,ミズキを連れて奴隷棟に移動した。
王宮の離れにある奴隷棟は,王宮内で強制労働をする奴隷たちが寝泊まりする施設だ。ミズキをそこの管理人に任せて星影たちはそこを去った。
管理人といっても,奴隷たちから選ばれた人物が担当する。
この奴隷棟は,収容人数が500名で,1階から5階まであり,それぞれの階には,20名が雑魚寝できる20畳の部屋が5部屋ある。部屋割りは奴隷たちに任している。
管理人は,1階の一番手前の部屋に入るように指示した。魃鬼はどの部屋も同じだと思って,指示された部屋のドアを開けた。
そこは,20畳の部屋で20名が定員なのだが,その倍の40名ほどがすし詰め状態になっていた。
魃鬼「え?これは?」
この人数をみて,この奴隷棟の仕組みがだいたい理解した。たぶん,最上階は,一番偉いやつが部屋を独占しているはずだ。
でも,まずは,この部屋で一番偉いやつに挨拶するのが道理。
魃鬼「ボクは,新しくここに住むように命じられた者で,ミズキと言います。この部屋の主は誰でしょうか? 挨拶したいのですが」
彼の傍にいたひとりの初老の奴隷が声をあげた。
初老人「この部屋では,年功序列で行っている。ミズキとやら,この部屋は,もうこれ以上の人を受け入れることは無理だ。4階もここと同じような状況だ。3階は,やっと規定の人数になっている。4階は2名から5名で一部屋を占有している。そして,最上階の5階は,ひとりで一部屋を占有している。
もし,腕に自信があるなら,4階か5階に行くがいい。それが無理なら,なんとか3階で部屋を確保したほうがいい。お金を渡せば,寝床の隙間くらいは確保できるだろう?」
魃鬼「でも,管理人がこの部屋にしなさいって」
初老人「この棟の管理人の仕事は,お城からの連絡を伝えることだ。新人は自分の技量で部屋を見つければいいだけのこと」
魃鬼「分かりました。自分でなんとかします」
魃鬼は内心ニヤッとした。自分の力を対外的に示したくはないが,でも,ここではやむを得ない。
魃鬼は,5階の一番奥の部屋のドアを叩いた。返事がなかったので,再度,ドアを叩いた。すると,部屋の中から声がした。
「用件があるなら,言ってちょうだい」
それは,女性の声だった。
魃鬼は,この奴隷棟が男性だけの棟だと思った。でも,なんで女性がいるの? でも,ともかく用件を伝えよう。
魃鬼「あの,ボク,新人なんです。この部屋の新しい住民になりたいんです。だから,この部屋にいる方には,その,,,出ていってもらいたいんです」
この言葉に,部屋の中から,女性と男性の声で笑い声が聞こえた。しばらくして,その笑い声が止んで,女性がドアを開けた。その女性は裸姿でガウンだけを着ていた。年齢は13歳くらいだった。
小女「どうぞ,中に入っていいわよ」
魃鬼「え? あっ,はい,すいません。お邪魔します。あの,わたし,ミズキっていいます」
その小女は,魃鬼をソファに座らせて,彼女もソファに座った。その際,ここにいる者たちの紹介を行った。
小女「わたし,テマリっていうの。ベッドにいる小女はクリコ。彼女を抱いている男性はウツギよ」
魃鬼はベッドの方を見た。豪華なダブルベッドだった。ウツキがすべきことを終えた後,ガウンを着てベッドから降りて,ソファに座っているテマリの隣に座った。抱かれていたクリコもガウンを着てソファに座った。
20歳くらいウツギが魃鬼に言った。
ウツキ「話を詳しく聞こうか?」
それを受けて魃鬼は改めて自己紹介を始めた。
魃鬼「ボク,ミズキっていいます。12歳です。対外的には,妖ナマコ族出身で初級レベルで通してます。でも,,,,」
ここまで話して,魃鬼はこれ以上説明するのを止めた。まずは,実力を示す!
魃鬼「これを見てください」
魃鬼は紫色の球を手の平から出した。それが,下手な言葉よりも雄弁に説明できる。
ウズキや小女たちは,始めて見る紫色の球を見て驚いた。
テマリ「な,なんと,,,紫色の球?! あなたは,,,仙人さまですか?!」
クリコ「わたし,紫色の球を始めて見ました」
ウズキは少し軽蔑した顔を見せた。
ウツキ「なるほど,,,あなたは強者かもしれない。でも,おれだって,紫色の球を構築できるぜ」
ウツキは,手の平から紫色の球を構築してみせた。だが,魃鬼のオーラを診る眼を誤魔化すことはできなった。その紫色の球のオーラは緑色だった。つまり,ウツキは,泡力で緑色の球を構築できる上級レベルの強者だ。
魃鬼「なるほど,緑色の球を構築できるのか。しかも,見かけ上,紫色の球を偽造できるようだ。ふ~ん。おれも試してみようかな?」
魃鬼は,手の平から紫色の球を構築した。その紫色が,だんだんと青色に代わり,さらに緑色,黄色,赤色,白色へと変化した。
魃鬼「やれば出来るものだな,球の色を変化させるのは」
ウツキ「・・・」
魃鬼は,彼の脚元から屍気を流して,ウツキの脚を覆っていった。
魃鬼「あなたはもう脚を動かすことはできませんよ。すでにわたしの術にかかっています」
ウツキ「何?」
ウツキは,自分の脚を動かそうとした。だが,すでに遅し。全く動かなかった。
ウツキ「うっ,ほんとに動かん! なんと,,,」
魃鬼「理解してくれましたかな? お望みなら,その体,呼吸も心臓も止めてあげますよ」
ウツキは,その言葉が冗談ではないと分かった。
ウツキは目の前にいる少年が化け物かもしれないと感じた。まずは低調に対応しよう。相手の強さを理解してから反撃しも遅くはない。
ウツキ「ミズキ,いや,ミズキさま! あの,この動かない脚を元通りにしていただけますか?」
魃鬼は不敵に笑った。
魃鬼「では,わたしに服従すると宣誓してくれますか?」
ウズキとしては,戦わずして降伏するのは,今ひとつ癪に障る。ならば,,,
ウズキ「ミズキさま。あなたの強さは分かります。でも,あなたの強さを,もっとはっきりと確認させていただきたい。わたしと戦ってくれますか?それをもって,あなたさまに服従させていただきます」
魃鬼「ほう? そんなにボコボコにされたいのか?」
ウズキ「はい,ぜひ,お願いします」
魃鬼はその提案を受けることにした。自分の実力を示すいい機会だ。その後,彼はウズキの脚部に展開した屍気を回収した。
この部屋は,ソファとベッド以外何もない。なので,何もない空間が10畳ほどもある。そこに,魃鬼とウズキが立った。
ウズキ「戦いでは,拳だけでお願いします。ただし,泡力を展開するのはOKとします」
魃鬼「ほう? まあいいでしょう。ただし,相手を殺すのは禁止ですよ」
ウズキは軽く頷いて,両手から緑色の球を繰り出した。それが,長さ2メートルほどの剣に変化した。その後,その長さが徐々に短くなって,長さ30cmほどに短剣まで短縮した。それに伴って,緑色が濃くなり,淡い青色に変化した。泡力が高濃度に凝縮したようだ。
ウズキ「では参る!」
ウズキは,両方の短剣を十字切りの剣技で魃鬼を襲った。
魃鬼は頭の中で手印を切って,泡力による青色の球を自分の周囲に展開した。果たして,青色の球は,理論上,同色以下の泡力攻撃をすべて回避できるはず。それを試すいい機会だ。
バシュー!バシュー!
ウズキの短剣は簡単に魃鬼の構築した紫色の球結界を簡単に切り裂いた。
ウズキは,一瞬,ニヤッと微笑んだ。その直後,ウズキの短剣は,魃鬼の心臓部に向かった。
しかも,その短剣の長さが瞬時に2メートルにも長くなって,魃鬼の心臓部を貫いた。
魃鬼「お前,,,おれを殺そうと,,,」
魃鬼はそう言って,その場に倒れた。剣が刺された部分からは,少しだけ血が出たものの,ほとんど血が出なかった。ウズキや観戦していたテマリやクリコも,血の量が少ないと思ったが,さほどおかしいとも思わなかった。
テマリ「ウズキさま! さすがです!」
クリコ「ウズキさまの双剣による短剣術のまえでは,ミズキの結界もこけおどしに過ぎなかったようですね」
ウズキは得意げに返事した。
ウズキ「まったくだ。いくら,おれの緑色短剣が,通常の5倍の威力には達したものの,まさか,青色結界を紙のように切り裂けるとは思わなかった」
テマリ「でも,相手を殺さないって約束,破ってしまいましたね」
ウズキ「試合をする以上,誤って殺すことはある。避けられないことだ」
でも,テマリやクリコは知っていた。殺すつもりがないのなら,心臓部を狙うはずがない。ウズキは,最初からミズキを殺すつもりだったのだ。
クリコ「でも,この死体どう処理したらいいの?」
ウズキ「そうだな,,,」
・・・
魃鬼がこんな状況になっている一方で,ユズハはというと,後宮にある若様の桂院に連れていかれた。桂院とは,若様の研究施設であり,かつ,寝泊まりする部屋でもある。一応は,泡力中等学院3回生なのだが,自宅で研究テーマに集中する名目で,学院には通っていない。
ユズハは桂院の研究室に案内された。そこは,倉庫のような場所で,自動馬車の試作機や,自動飛行円盤などの試作機まであった。その作りは精巧で,とても若様ひとりで作ったとは思えない。
ユズハ「若様,この試作機は,誰が作ったのですか?」
若様「奴隷たちだ。10名ほどの奴隷を雇って,3週間ほどで作成してもらう。ひとり日当で銀貨5枚支払うので,金貨100枚ほど必要だ。ほかに材料費,陣法師,陣法調整師,符篆師などの雇用費用などで,少なくとも金貨1000枚が必要となる。ユズハが壊した車輪が金貨100枚くらいの価値があるのも理解できるはずだ」
ユズハ「でも,そのお金は城主さまから貰えるのでしょう?」
若様はユズハを睨み付けた。
若様「ユズハ,お前,バカか! 今の妖ヒトデ城は,富国強兵を標榜して,強者をどんどんと採用している状況だ。おれの道楽に廻すお金など一文もない!」
ユズハ「・・・」
ユズハは,若様って,意外とシビアな生活をしていると感じた。若様は話を続けた。
若様「自分で稼ぐしかないんだ。おれは,夜,塾の臨時教師をしてお金を稼いでいる」
ユズハ「え? でも,メイドもいるし,執事もいるのでしょう? いくらでもお金を稼げるのでは?」
若様「メイドは,おれのラフ図案を,正確に書き直す仕事があるし,執事は奴隷たちに仕事の割り振りをする仕事がある。結局,おれが金を稼がないといけない。フフフ,もっとも,今からは,お前がおれの代わりにお金を稼ぐんだ。3日以内に金貨100枚を稼げ。出来なければ,毎日,金貨10枚が追徴されるぞ」
ユズハ「・・・」
実質,そんなお金を稼ぐのはまず無理だ。つまり,毎日延々とお金を稼がなくてはならないことを意味する。ユズハは自分の体の支配権を水香に譲った。とても,こんな状況では,どうやって行動していいのか分からないからだ。
ユズハの体を支配した水香は,そんなのまったく気にしてない。この海底世界が,どんなところかぜんぜん分からないものの,この世界で皇太子の王妃候補になって,食っちゃ寝食っちゃ寝できる生活を享受できることを夢みて,邁進するだけだ。そのうち,悪霊曼荼羅界が屍気の封印を破る方法を見つけるだろう。そしたら,晴れて,精神も肉体も自由だ。
水香「でも,どこでどうやって稼ぐの?娼館って,あんまり稼ぐことできないと思うけど?」
水香は,大陸での経験でコメントした。
若様「娼館か,,,確かに大きく稼ぐのは無理だろうな。店側にかなりのマージンが取られてしまう。だから,単価は低いものの,直接,男連中が大勢いる場所に行けばいい」
若様のメイドであるイロハが若様の話に反応した。
イロハ「もしかして,このお城の離れにある奴隷棟のことを考えているのですか?」
若様「そうだ。娼館でぼけーっとして待つスタイルの商売ではなく,ユズハ自らが訪問して,おまえの巨乳をアピールしてこい。すぐ客がつくはずだ」
若様は秘書のイロハに命じた。
若様「イロハ。お前は,3日間ユズハについて,金貨100枚を稼ぐ手伝いをしろ。金貨100枚が達成しない間は,戻ってこなくていい」
この命令は非常に厳しい命令だ。でも,命令に従うしかない。
イロハ「はぁ,,,なんか,罰ゲームを与えられた気がします」
若様「別にお前が一肌脱ぐわけじゃないだろ。それに,お前の体では,客がつかん」
イロハ「・・・」
確かにイロハの体は,性的に魅力が欠けた。彼女は年齢が22歳で,現在,結婚相手募集中だ。彼女は若様の秘書役ではあるが,お城の符篆制作課の社員を兼務している。
若様が,符篆制作課から最も優秀なイロハを無理やり秘書にしてしまったという経緯がある。上級符篆師以上というのが絶対条件であり,性的魅力などどうでもよかった。
若様の研究の中には,いくつか実用化されているものがある。自動馬車もそうだが,それ以外に,例えば,濃獣石の粉を使った光るボールだ。子供の玩具用として,一般の会社から商品化済みだ。その利益の一定額が彼の収入になる。だが,その額は,月に金貨30枚程度だ。彼の研究費を賄うにはほど遠い。ちなみに,自動馬車の実用化については,若様以外に,多くの開発者が関与していて,そこからの利益は若様のところにはこない。
ともなくも,研究費を賄うため,性的魅力のあるユズハを使う。若様自らがユズハを犯すという発想はしない。決して性に目覚めていないわけではない。でも,常に同い年の異性の姉・千草姫がいることが,異性に対する性的欲望を減衰しているようだ。それに,自分が王族であるという自覚がある。もしかしたら,将来,この海洋族の国王になる可能性がある。あの行為する相手は慎重にするようにと,城主からきつく言われている。
イロハ「あの,,,ほんとうに金貨100枚を稼ぐまでは戻ってこなくてもいいのですか? たぶん,1週間,いや,場合によっては1ヶ月以上かかってしまうかもしれませんよ?」
若様「・・・,そうか,ちょっと言い過ぎた。イロハ。初日だけはユズハについてやれ。2日目以降は,時々ユズハを管理するだけでいい。もし,うまく稼ぐことが出来なかったら,ほかの方法を考えなさい」
イロハ「はい,それが現実的ですね。了解です」
イロハは,若様に軽くお辞儀をしてから,水香を連れて,お城からさほど遠くない場所にある奴隷棟に出向いた。
その道すがら,イロハは水香に聞いた。
イロハ「ユズハさん。あなた,男性に犯されることに抵抗はないのですか?」
まあ,当然の質問だろう。今の水香は外見が11歳くらいで,慎重が140cmのチビだ。もっとも胸だけはDカップほどもある。それでも,どう見たって,処女のようだ。
水香「そうですね,,,」
水香は,徹底して自分が処女であると周囲に認識させなければならない。だって,将来,皇太子の妃の地位を狙っているのだから!
水香「わたし,,,処女なんです。でも,こんな借金背負ってしまって,,,でも,この身を汚したくありません」
水香は,少し半泣きになる演技をした。
イロハ「そうだったの,,,ゴメンね。変なことを聞いて。でも,どうして,若様の無謀な借金のことで,弁解しかなったの? 車輪を破損させたことなど,ユズハさんにとっては,まったく関係のないことでしょう。あれ,若様の一方的ないいがかりよ」
水香「若様に楯突いて,いいことないと思ったんです。今は,流れに身を任せる時期だと思ったんです。でも,,,」
水香は率直な疑問をイロハに聞いた。
水香「でも,どうして,若様はわたしを犯さなかったのでしょう? わたし,おっぱいだって大きいし,殿方にとっては性的魅力のある体だと思っているのですけど?」
イロハ「若様は,自分が将来,城主になることを懸念しているのですよ。それに,もしかしたら,妖ヒトデ族が,この海洋族のトップになることだって夢ではないわ。そうなったら,若様は国王になるかもしれない。だからかな? 女性を抱く相手は慎重になっているんでしょうね。少なくとも,処女であることが絶対条件だと思う」
この話を聞いて,水香は思った。もし,妖ヒトデ族の城主が国王になったら,若様は皇太子になる。その場合,水香の身元が割れている奴隷身分の水香が皇太子妃になる可能性はゼロだ。『食っちゃ寝食っちゃ寝』できなくなる。ここは,どうしたって,着実に奴隷身分から脱却して,妖力中等学院を経て,王都の妖力高等学院へと進んで,自分の身分を『清浄』しなければならない。
水香は,当初の目的を再認識した。将来の食っちゃ寝食っちゃ寝生活を夢見て!
そんな会話をしながら,水香とイロハは奴隷棟に着いた。イロハが,管理人に用件を伝えた。
イロハ「あの,,,この奴隷棟で,商売をしたいのですが,,,」
管理人は面倒くさそうに返事した。
管理人「はあ? 商売?なんの商売だ?」
イロハはなんて言ったらいいのか分からなかった。でも,水香を前面に出して,彼女の胸を半分,開けさせた。
ここで,水香は思った。この海底王国の性的許容がどの程度か不明だが,将来の妃候補が,男たちを前にして,裸になっていいものか? 答えはすぐに出た。決して,裸になってはいけないと! ましてや,肌を触らせるなどもってのほか! 少なくとも,今の水香は『水香』ではなく『処女のユズハ』なのだ。皇太子妃にだってなれる身分だ。
もっとも,星影や星羽には,この体を抱かせている。だが,やつらは魃鬼の奴隷だし,水香の身分を暴露することはない。
水香は慌てて胸元を隠した。もし,水香の裸を見る者がいたら,確実に殺して死体も完全消去してやる!
この水香の動作を見て,管理人はなんの商売かがすぐに分かった。
管理人「商売するなら,奴隷王の了解を取らなくてはいけないよ」
イロハ「奴隷王? それって誰ですか?」
管理人「世の中,ただで情報を入手できると思わないことだ」
イロハ「・・・」
イロハは水香を見た。水香は,イロハが何を要求しているのか分かった。でも,ここで殺人を犯すことは避けたい。トラブルは出来るだけ避けたい。ならば,,,
水香は管理人に言った。
水香「管理人さん,手を貸してくれますか?」
管理人「え?手?」
管理人は思わず手を出した。水香はその手をとって,その手から悪霊25号を侵入させた。その後,その手を離した。
水香「管理人さんの手,ゴツゴツしているのね。仕事をしてきたいい手をしているわ」
管理人は褒められてもまったく嬉しくない。それよりも,情報ほしさに,お金を渡してくれるか,それとも,水香の体を触れるのか,それが楽しみだった。
悪霊25号『女王さま,管理人の頭の中に侵入できました。どうぞ,管理人に質問してください。思い描いた情報を読み取りますので』
水香『了解したわ』
水香は管理人に聞いた。
水香「管理人さん,その奴隷王って誰なんですか?どの階にいるのですか? 何号室なんですか?」
その質問に,管理人は無意識で頭で思い描いてしまった。
悪霊25号『女王さま。判明しました。奴隷王とは,この5階の一番奥の部屋です。名前は,ウズキといいます。この奴隷棟で,いや,この妖ヒトデ城全体でも,トップレベルの強者のようです』
水香『ほう? そうなの? 了解よ。ほかに何か分かったら,逐次情報を送ってね?』
悪霊25号『もちろんでございます。女王さま』
水香はイロハに言った。
水香「イロハさん,そもそも奴隷王の『王』って,名前がつくのだから,一番いい部屋にいるのが道理だわ。それって最上階の一番奥の部屋って相場が決まっているのよ。そこに行きましょう」
イロハ「え? あっ,そっ,それもそうね。じゃあ,管理人さん,今からその部屋を尋ねてみますね。いろいろありがとうございます」
イロハは管理人にお辞儀をした。
管理人としても,このまま,なんの『褒美』もなく,イロハたちを素通りさせるわけにはいかない。
管理人「待て! 勝手に中に入らせるわけにはいかん! 金貨1枚を差し出すか,その巨乳ドチビを抱かせろ! それが条件だ」
イロハに金貨1枚などあるわけがない。イロハは水香にどうしたらいいか尋ねた。水香は,已むなしと思い,管理人に再度,同じ台詞を言った。
水香「管理人さん,もう一度,手を出してちょうだい。いいことしてあげるから」
管理人「おっ? そうか?」
管理人はニコニコとして,自分の手を出しだした。水香はその手をとって,悪霊25号をもとの左乳房にある悪霊曼荼羅界に戻してから,気力を流して,腕の中を通過させて,脳内の視床下部の部位に,微細な爆裂気篆術を構築して爆破させた。
水香は,本来なら霊力を使うところだが,この明鏡玉には霊力がない。勢い,気力や妖力を駆使することになる。
ドン!
その音は,もちろん管理人にか聞こえなかった。
ドサッ!
管理人はその場で意識を失って倒れた。
水香「あれ? 管理人さん? 寝てしまったの? どうしたの?」
水香は,まったくわけが分からない振りをした。イロハも不思議がって,管理人に声をかけた。
イロハ「管理人さん? どうしたの? ほんとうに寝てしまったの?」
水香「どうやら,ほんとうに寝てしまったみたいだわ。イロハさん,もう気にしないで行きましょう」
水香は知っていた。管理人はこのまま植物状態になって,数日後には肉体も死亡する運命だと。でも,その死因を突き止めることなど,絶対に出来ないことも知っている。
イロハ「そうね。もともと寝ていたことにしましょう」
水香「は~い」
水香とイロハは,何事もなかったかのように,奴隷棟の5階へと移動した。水香が5階に着いてみると,水香にしか分からない屍気の臭いを感じた。
水香『え?この階に魃鬼がいるの?』
そう思って,水香は魃鬼に念話した。
水香『魃鬼? この奴隷棟の5階にいるの?』
水香の念話に魃鬼がすぐに念話で返事した。
魃鬼『水香か?! 用件のみを言う。おれは,ウズキが繰り出した泡力の刃によって心臓を貫かれた。ミズキの肉体は死んだ。
水香,お前はすぐにおれのいる部屋に割り入って,ウズキがおれを殺したことを咎めろ。金を稼ぐチャンスだ!』
この魃鬼の話に,水香はニヤッとした。これは,棚からぼた餅ではないのか?
水香は急いで奥の部屋に駆けて,ドアを開けようとした。だが,ドアはロックがかかっていた。すぐに魂力による蛇を繰り出して,ドアを通過させて,ドアの裏側からロック用の鎖を外した。
水香は,ゆっくりとドアを開けて,部屋の中に入った。彼女は,死体になっている魃鬼を見た。心臓部が貫かれた跡があった。その部分は少しだけ血が滲んでいた。水香の後からイロハがやってきた。
水香とイロハが断りもなく部屋に入ってきたのをみて,ウズキが怒鳴った。
ウズキ「こらっ!おまえら! なに勝手に部屋に入って来ているんだ!」
この罵倒に対して,水香はニヤッとして反論した。
水香「あなた,奴隷王ことウズキさんですね? そこで死んでいるのは,わたしの兄・ミズキです。ウズキさん,あなた,殺人を犯したんですよ」
ウズキはギクッとして,一歩後退りした。水香は,左指をウズキに指さしていった。
水香「わたしの兄は,千草姫の命令を受けて,この奴隷棟で数日泊まることになっていたんです。その兄を殺したとなると,千草姫さまの顔に泥を塗ったに等しい行為です! ウズキさん,あなた,すぐに死刑になってしまいますよ!」
ウズキは,なんでこの巨乳小女がこのタイミングでこの部屋に来たのか? そもそもロックをしているドアをどうやって開けたのか,いろいろ疑問はあるが,それよりも,この場をどうやって凌ぐか,高速で頭を回転させた。
ウズキ「そもそも,お前は誰だ! 不法侵入っしやがって! それに,おれは殺人行為をしていないし,おまえは殺人現場を見ていない!」
水香は,こんな水掛け論などしたくない。そこで,要点だけを伝えた。
水香「わたしは,殺されたミズキの妹でユズハです。千草姫の弟君,カツラさまに仕える者です。さて,ここで,水掛け論をしても始まりません。
ウズキさま,あなたには3つの選択肢があります。その中から,ひとつを選んでください」
ウズキは,まずは水香の言い分を聞くことにした。
ウズキ「ユズハとか言ったな。まずはお前の選択肢とやらを聞こうではないか?」
水香「では,ひとつめの選択肢です。今すぐに憲兵隊を呼んで,兄の死因を調べてもらうというものです。この場合,まず間違いなく,ウズキさんの立場は悪くなるでしょう。悪くて死刑,よくても10年か20年以上の強制労働でしょう」
ユズハ「・・・」
水香は,言葉を続けた。
水香「ふたつめの選択肢です。それは,わたしが,すべて無かったことにしてしまうというものです。もちろん,兄の死亡も無かったことにします。ユズハさんには,なんのお咎めもありません。ただし,わたしに謝礼として,金貨100枚をください」
この話に,ウズキはアホかと思った。
ウズキ「お前,バカか! 死んだやつが生き返るものか?!」
水香「今は,詳しく説明する時間がありません。ですが,わたしには出来ます。信じる信じないは自由。金貨100枚で,すべてが解決します。もし,兄が蘇えらなかったら,金貨100枚はお返しします」
ウズキ「・・・,じゃあ,3つ目の選択肢は?」
水香「最も簡単なことです。ウズキさまが,わたしたちを殺して,すべてをうやむやにすることです。もっとも,その場合,わたしもむざむざ殺されるわけにはきませんので,抵抗させていただきます」
ウズキ「つまり,殺し合いか,フフフ」
ウズキは,泡力では上級レベルで,剣技もかなりの達人だ。すでに加速3倍速を達成している。奴隷棟の仲間の間で,最強の剣士の証,『奴隷王』と呼ばれている。
ウズキは,もちろん3番目の選択肢を選ぶ腹づもりだ。だが,性奴隷身分のテマリが,ウズキの耳元でささやいた。
テマリ「ウズキさま,ここは,殺し合いよりも,2番目の選択肢を選ぶ方がいいのではないでしょうか?。金貨100枚を与えて,ほんとうにミズキさんが蘇生するのを確かめてから,殺し合いをしても遅くないかと思いますよ」
ウズキ「・・・,確かにそうだな」
ウズキは水香に向かって言った。
ウズキ「おまえがミズキをほんとうに生き返らせることができるのなら,金貨100枚の支払いに同意しよう」
ウズキは,ベッドのクッションの中に隠した蓄えから,金貨100枚を取りだした。蓄えの隠し場所をどうどうと水香にも見えるようにした。これって,バレてもいいってこと?
ウズキは,金貨100枚を巾着袋にいれて,水香に投げて渡した。水香は金額の確認をイロハにしてもらった。
イロハ「間違いないです。金貨100枚あります」
水香「そう,じゃあ,若様に持っていってちょうだい。もうわたしに用はないのでしょう?」
イロハ「え? あっ,そっ,そうですね。はい,では,これで失礼します」
イロハは水香に軽くお辞儀をして,その場から去った。
水香は魃鬼の前に来て,彼に念話した。
水香『魃鬼,屍気を解きなさい。その貫かれた部位を修復するわ』
魃鬼『別にこの肉体,このままでも構わないが?』
水香『いずれ,一緒に学院で楽しく過ごしたいでしょう? だったら,その傷は修復したほうがいいわ』
魃鬼『この肉体は死んでいる。回復術は無効だと思うが?』
水香『屍気は腐敗を遅らせるわ。つまり,この体は死んだばかりの状態よ。肉体細胞は未だに生きているわ。ならば回復術や回復魔法は有効よ』
魃鬼『分かった。では修復を頼む。屍気を解除する』
『ミズキ』の肉体から屍気が,首にぶらさがっている屍気玉に回収されていった。その流れは,一般人には見ることはできないが,水香にはハッキリと診ることができる。
屍気が回収された後,水香は剣で貫かれた傷跡に回復魔法をかけていった。
シューーー!
貫かれた心臓の細胞部分も修復させるため,かなりの時間がかかった。それでも,20分もすると,貫かれた部分の傷跡が完全に消滅した。
テマリ「え? うそーー!」
クリコ「傷が完全に消えてしまったわ」
テマリ「死んだ肉体って,修復できるものなの?」
クリコ「そんなこと,普通はありえないわ!」
ウズキの性奴隷でるテマリとクリコは,感嘆しながらそんな言葉を吐いた。ウズキは驚愕して,ただ見ているだけだ。
治療が終わったので,水香は魃鬼に念話した。
水香『魃鬼,屍気を流していいわよ。屍気で強制的に心臓を動かしてみて。もしかしたら,本当に蘇生するかもよ』
魃鬼『了解した』
魃鬼は屍気で心臓部を覆って,強制的に動かした。
ドクン!ドクン!ーー
それに伴って,肺部も強制的に動かした。屍気で覆われている限り,肉体の腐敗,すなわち,どんな細胞も死滅することはない。つまり,魃鬼の屍気と水香の回復術があれば,ミズキは不死となる。それが,ほんとうに生きているのかは,少々疑問だが,少なくとも肺で呼吸して心臓で体中に酸素を運んでいる。つまり,蘇生できるのだ!
それを診た水香はウズキとテマリたちに声をかけた。
水香「ウズキさん,そこの小女たち。今から,ミズキお兄さまの霊魂を呼び戻して,この肉体に宿します。あなたがたも,この肉体にミズキお兄さまの霊魂が戻ってくるように強く願ってください。お願いします」
水香がそんなことを言ったのは,ある種のポーズだ。今の水香は偽霊媒師になったようなものだ。水香は,なにやら小言でブツブツ言いながら,大げさに両腕を前後左右に動かして摩訶不思議な動作を何度か繰りかえした。
20分後,,,
水香「えい! やー! えい! やー!」
水香は大きな声で気勢を挙げた。水香の顔から汗がどっと溢れた。それも,ポーズだ。果たして,ウズキ相手にここまでの演技が必要なのかは甚だ疑問だ。でも,今の水香は,皇太子の王妃候補になりたい。少しでも変な疑問を持たれるのは避けたい。もっとも,そんなことを言っても,すでに管理人を植物状態にしてしまったのだが,,,
水香「ふ~ぅ,,,どうやら,ミズキお兄さまの霊魂が戻ってくれたうようです。お兄さま!お兄さま! 起きてください!」
その声に,魃鬼がゆっくりと眼を開けた。
テマリ「ええーー!! 生き返った!!」
クリコ「うそーー!! 人って,心臓を貫かれても,生きかえるの??」
ウズキ「・・・」
魃鬼は,ゆっくりと体を起こした。
魃鬼「フ~,ユズハ。お前がすぐに来てくれて助かった。心臓を貫かれた時,秘術で,慌てて自分の体に凍結術をかけた。お前があと1時間ほど遅かったら,蘇生出来なかったろう。助かった。ありがとう」
水香「お兄さまが心臓を貫かれた瞬間,わたしに思念連絡いただきました。ちょうどその時,わたし,この奴隷棟に来ていたんです。だから,すぐに対応できました」
ウズキとテマリたちは,魃鬼と水香との会話で,魃鬼が蘇生できた原因を勝手に想像して納得してしまった。
ウズキは魃鬼に言った。
ウズキ「ミズキ,,,いや,ミズキさま。おれ,あなたの心臓を狙ったのは,別にあなたを殺す意図があってのことではないんです。ついつい,いつも剣術の稽古で心臓を狙う癖がついていたので,つい,,,」
魃鬼「それについては謝る必要はない。幸い,こうやって蘇生できたんだ。それでよしとしよう。それで? こんな結果になってしまったが,改めて聞こう。ウズキ,あなたはわたしの命令に従うのか? それとも,従わないのか?」
ウズキ「・・・」
ウズキは,魃鬼が自分の体に凍結術という,不思議な術で体を凍結する高度な術を展開できる強者だと改めて理解した。その結果,水香の高度な回復術によって完全に蘇生するという,奇跡を見せつけられた。ならば,魃鬼や水香に従っても悪くない!
ウズキ「分かりました。今し方,見せつけられた蘇生術,,,奇跡の術のなにものでもありません。ミズキさまやユズハさまに従う価値があるものと判断します。ですが,不合理な命令には反論させていただきますが,それでよろしいでしょうか?」
魃鬼はニヤッとした。
魃鬼「それで結構だ。ただし,今し方,見た蘇生の事実は,一切秘密にするように。それに,ユズハが高度な回復術が使えることも秘密だ。ユズハは,一度,回復術を使うと,1ヶ月ほどは使えなくなってしまう。それほどに危うい術だ」
水香は,魃鬼のウソも上手になったものだと感じた。
ウズキ「もちろん秘密にさせていただきます。さて,ウズキさま,ユズハさま。あなたがたは,どこでお休みになられますか?」
魃鬼「この部屋でもいいが,できれば,ユズハとふたりっきりにしてほしい。アレンジできるかな?」
ウズキは,少し考えてから返事した。
ウズキ「この階の連中は,部屋を明け渡すことはちょっと無理でしょう。でも,下の階なら,比較的スムーズだと思います。少しお待ちください。ちょっとアレンジしてきます」
ウズキは,テマリたちを連れて部屋から出ていった。魃鬼と水香が部屋に取り残された。
魃鬼「水香,お前も役者になったものだな。お前,もともとそんな性格だったのか?」
ニヤニヤしながら水香は返事した。
水香「わたし,皇太子の妃になるのよ。言動には注意が必要なの。それに,処女で通す必要があるし,裸さえも晒すことができないのよ。だから,いろいろ演技をしないとね」
魃鬼「ほう? じゃあ,おれは,皇太子妃の兄になるわけだ。これは愉快だ」
水香「お兄さまも,言動には注意してくださいね?」
魃鬼「まあ,ゲーム感覚でやってみるか。それより,泡力の攻撃転用は,思った以上に奥が深いぞ。おれが展開したS級の青色の球を,ウズキは簡単に泡力の剣で切り裂いてしまった。屍気で体を少ししか覆っていなかったので,簡単に心臓を貫かれてしまった。ちょっと迂闊だった」
水香「そうなんだ。泡力の攻撃転用,,,ちょっと期待しようかな?」
魃鬼「それよりも,大陸から巨乳美少女2名を召喚する日時が決まったぞ」
魃鬼はその日時を水香に伝えた。
水香「まだ丸々2日ほどあるわね。じゃあ,今日の真夜中にでも,空中に飛んでから超遠距離念話連絡してみるわ」
魃鬼「よろしく頼む。それがうまく行けば,おれたちに泡力中等学院への入学受験資格が与えら得る」
水香「やっと,皇太子妃になる第一歩が歩めるってわけね?」
魃鬼「フフフ」
魃鬼のその笑いは,水香には到底なれるわけはないと思ったからだ。力づくでなることは可能かもしれないが,でも,所詮,『ユズハ』は隷従出身の妖ナマコ族だ。その身分そのものを解消しない以上,決して皇太子妃になることなど,夢のまた夢だ。
その後,ウズキたちが戻ってきて,4階の一番奥の部屋を使うようにと報告があった。そこで,魃鬼と水香はその部屋に移動した。
ウズキたちは,やっと再び静穏が戻ってきた。
テマリ「ウズキさま。やっと静かになりましたね」
ウズキ「まったくだ。あのミズキにしてもユズハにしても,やつらはタダ者じゃない。この海洋族に,あんな蘇生術が使えるものがいるのか?」
テマリ「いえ,いないはずです。もしかしたら,大陸族ではないでしょうか?」
ウズキ「そうかもっしれないが,ここで想像を語り合ってあっても意味が無い。まあいい。われわれがミズキたちの部下として,信頼を勝ち取れば,ミズキたちも,自分たちの正体を明かしてくれるだろう。しばらくは,おとなしくあいつらに従おう」
テマリ「はい。でも,金貨100枚は痛かったですね」
ウズキは,金貨100枚を失ったことを思い出した。
ウズキ「確かにそうだった。でも,もし,第3の選択をしてユズハを攻撃していたら,どうなっていたと思う?」
テマリ「そうですね,,,たぶん,ウズキさまは,一瞬にして殺されていたと思いますよ」
クリコ「わたしもそう思いま~す。だって,あのユズハは,ウズキさまを見てもまったく動じなかったですよ~ そもそも,どうしてロックされていたドアを開けることができたのでしょう? まったくチェーンも破損していませんでした。もう奇跡の術です! ユズハ,,,彼女は,もしかしたら,ミズキよりもやばい強者じゃないでしょうか?」
ウズキ「どうだな。その意味では,金貨100枚で自分の命が救われたってことか?」
クリコ「はい! そう考えましょう。金貨100枚なんて,2ヶ月もあれば奴隷棟の治安費として回収できるのですから」
ウズキ「よし,話は以上だ。気分直しに一戦しようか?」
テマリ「はい!」
クリコ「わたしも!」
テマリとクリコはすぐに全裸になってウズキに抱きついた。
ーーー
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