第13話:地下迷宮の罠
オルテガ宰相は捕らえられたが、彼は不気味な笑みを浮かべるだけで、動機については一切口を割ろうとしなかった。
「本当の恐怖は、これからだ。この城と共に、エクリア王家の偽りの歴史も終わるのだ」
そう謎めいた言葉を残すだけだった。
優馬は、彼の言葉が古文書に残されていた暗号と関係があるとにらんだ。エリザールの協力を得て、暗号の最後の部分『星の導きが、深き闇に眠る真実の道を示すだろう』の解読に取り掛かった。
エリザールの研究室にあった古い天球儀。それを、国王が殺された日の夜の星の配置に合わせると、天球儀から一筋の光が放たれ、壁に掛かった王城の古い設計図の一点を照らし出した。
そこは、玉座の間。玉座の真後ろの壁だった。
「偽りの壁……ここだ!」
優馬はリリアナ、そして武装したアーロイと共に、急いで玉座の間へ向かった。玉座の裏の壁を調べてみると、星図が示した場所に、僅かな窪みがあるのを発見した。
優馬がそこを強く押し込むと、ゴゴゴ……という重い音を立てて、壁の一部が横にスライドし、暗く、カビ臭い空気を吐き出す地下への階段が現れた。
「こんな通路が……王城の誰も知らなかったぞ」
アーロイが驚愕の声を上げる。
「犯人は、この通路を使って城内を自在に移動し、アリバイ工作を行っていたんだ」
優馬たちは、松明を手に慎重に階段を下りていった。階段の先は、まるで迷路のように入り組んだ地下通路が広がっていた。壁には不気味な紋様が刻まれ、何十年、いや、何百年もの間、人の手が加えられていないことがうかがえる。
「気をつけて。オルテガは、我々がここに来ることを予期しているはずだ」
優馬が警告した直後だった。アーロイが踏み出した床の石板が、音を立てて沈み込む。
「危ない!」
優馬が叫ぶと同時に、天井から巨大な岩が落下してきた。アーロイは間一髪でそれを躱すが、通路は岩で塞がれてしまった。
「くそっ、罠か!」
その後も、進む先々で巧妙な罠が彼らを待ち受けていた。突然床が抜け落ちる落とし穴。幻覚を見せて方向感覚を狂わせる魔法の霧。優馬の鋭い観察力が罠の存在をいち早く察知し、アーロイの卓越した身体能力がそれを切り抜け、そしてリリアナが王家に伝わる古い知識で紋様の意味を解読する。三人はそれぞれの能力を合わせ、絶妙な連携で迷宮の奥へと進んでいった。
何時間歩いただろうか。やがて彼らは、迷宮の最深部と思われる少し開けた空間にたどり着いた。そこは、忘れ去られた古い礼拝堂のようだった。そして、その中央の祭壇の裏に、彼らは衝撃的なものを発見することになる。
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